ライバル・大迫勇也と開いた大きすぎる差 “セレッソのジーニアス”は目覚めるのか

ここまで10試合でPKの1点のみ

ここまで10試合でPKの1点のみ

セレッソ大阪でプレイする柿谷 photo/Getty Images

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セレッソ大阪が誇るジーニアスはいつ目覚めるのだろうか。

セレッソ大阪はJ2から昇格してきたクラブだが、ここまでリーグ戦10試合を戦って4勝4分2敗で勝ち点16を稼いでいる。昇格組としてはまずまずの滑り出しだろう。メンバーも豪華で、山口蛍、清武弘嗣と現役の日本代表選手も所属している。しかし、1人前線で沈黙している選手がいる。山口や清武と同じく2014ブラジルワールドカップの日本代表メンバーに選ばれていたFW柿谷曜一朗だ。柿谷は昨年セレッソに復帰し、主将を任されるなどチームの中心メンバーだ。しかしここまでリーグ戦10試合で決めた得点はわずか1点のみ。それもPKによるもので、ザックJAPANの最前線を任されていた男としては物足りない結果だ。セレッソではワイドな位置でプレイする機会も多いが、それでも流れの中から1点も決めていないのは問題だろう。

柿谷はここまでシュート0本で終わってしまうケースも珍しくなく、データ上では第3節のコンサドーレ札幌戦、第6節鹿島アントラーズ戦、第10節の柏レイソル戦ではシュートがない。ここまではほとんど全ての試合でフル出場しているだけに、アタッカーとしてシュートがないのは問題だ。相変わらず前を向いてボールを持てば上手さを発揮してくれるが、その機会が少ない。消えてしまう時間帯もあり、現時点では柿谷の良さを活かせているとは言えないだろう。
ザックJAPAN時代の日本代表、さらにはスイスのバーゼルでもそうだったが、柿谷はプレイの引き出しが限定的で才能を活かし切れていないところがある。基本はゴール前の動き出しで勝負する選手で、得点パターンは限られている。サイドから中に切り込んでミドルシュートを決めるようなシーンは少なく、そうした意味では2列目で活かすのが難しい選手でもある。柿谷の得点力を引き出すなら最前線に固定するのがベストな方法で、今のままでは21得点を記録した2013年のような量産体制を築くのは難しいだろう。当時は最前線の柿谷をシンプルに使う速攻がフィットしていただけに、それを見てきたサポーターの中には最前線での起用を望む人もいるはずだ。

また、ポジションとは別に積極性も柿谷に求められる要素だ。天才少年とちやほやされた10代の頃の柿谷は自分勝手ともとれるプレイも多かったが、年齢を重ねてそうしたスタンドプレイを封印。セレッソで主軸を担う頃にはチームを第一に考えられる大人な選手になっていた。しかし、フォアザチームを意識しすぎるあまりプレイの幅が狭くなってしまったところもある。ザックJAPAN、さらにはバーゼルでも遠慮がちなプレイが多く、FWらしく貪欲にゴールを狙う姿勢が欠けていた。現在もサイドで起用された際はチームのことを考えて守備に走っており、もう少しゴールのためにわがままなプレイを選択してもいいはずだ。

一方、2014年のブラジルワールドカップで柿谷とポジションを争っていたケルンFW大迫勇也はドイツの地で結果を出している。ハリルJAPANでも岡崎慎司を抑えてFWのファーストチョイスになっており、3年前に比べると非常に心強い存在になった。ゴールを奪うという意識も強く、この積極性の違いが柿谷との差に繋がったともいえるのではないか。2014年当時は2018ロシアワールドカップでも大迫と柿谷が最前線の座を争っているだろうとの見方もあっただけに、3年間でついた差には驚きもある。それでも柿谷はまだ27歳で、代表入りを諦める年齢ではない。まだ1年後のワールドカップへ向けてチャンスは残されているはずだ。

そのためには、セレッソでゴールという目に見える結果を出していくしかない。チームはここまで10試合で8失点と守備は安定しており、これはリーグ最少の数字だ。しかし得点数は11と少なく、ここまでは守備陣の奮闘で勝ち星を稼いでいる格好だ。もう少し得点を奪えれば優勝争いに絡むことも不可能ではない陣容が揃っているはずなのだが、そのためにはジーニアス・柿谷が得点を決めるしかない。セレッソにとっても柿谷にこのまま眠っていてもらうわけにもいかず、チームとしても活かし方を再考する必要があるだろう。そして柿谷自身ももう少し貪欲に得点に絡む意識が必要で、得点を量産してもう1度日本代表入りを争う位置まで戻ってほしいところだ。

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