あの”伝説のハンド”がVAR導入に繋がった!? 元主審が思うサッカー界に衝撃を与えた神の手

4年間の思いを打ち砕く大胆ハンド

元フランス代表アンリ photo/Getty Images

近年は際どいプレイをビデオで判定するVAR(ビデオ・アシスタント・レフェリー)が話題を呼んでおり、このシステムは現在ロシアで開催されているコンフェデレーションズカップ2017でも導入されている。これまでもオフサイドでゴールが取り消しになったり、イエローカードの判定がレッドカードに変わったりと、試合以上にVARのことが話題に挙がっているかもしれない。

そんなVARについてかつてワールドカップ決勝で主審を務めたこともあるハワード・ウェブ氏は、導入するきっかけになったプレイがあると感じているようだ。そのプレイとは、2010南アフリカワールドカップ出場を懸けた欧州予選プレーオフのフランス代表VSアイルランド代表の一戦で起こったフランス代表FWティエリ・アンリのハンドだ。

英『Daily Star』によると、同氏は「個人的な意見では、VARについてはアンリのハンドで変わったと思う。あのハンドのあと主審を務めていたマルティン・ハンソンはワールドカップで主審を務めなかった」とコメントしており、あのプレイの衝撃度が大きかったと明かしている。

あの試合はプレーオフ第1戦をフランスが1-0で勝利していたのだが、フランスのホームで行われた第2戦でその事件は起こった。0-1とフランスが1点ビハインドで迎えた延長前半13分、フランスはセンターサークル付近のフリーキックからゴール前にロングボールを入れた。このボールは誰にも触れずそのまま流れるかと思われたのだが、アンリが左手で軽くボールをコントロールし、右足でウィリアム・ギャラスのヘディング弾をアシストしたのだ。

アイルランドの選手たちは猛抗議したが、判定は覆らず。確かに主審の位置からはアンリの左手が見えにくかったが、別の視点から捉えたリプレイ映像ではアンリが左手でハンドボールのようにボールを手でコントロールする姿がはっきりと映っており、同氏はここにVARの必要性を感じたようだ。結局アンリのハンドから生まれたゴールが決勝点となり、アイルランドはワールドカップ出場を逃した。4年の思いが詰まった試合であることを考えると、その衝撃はあまりに大きい。VARは何かと混乱をもたらしているが、あのような悲劇を生まないためには必要な力なのだろう。

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