[乾貴士独占インタビュー]17-18シーズンで目指す更なる高みとは #2

17-18シーズンで目指す高みとは?

バルセロナの異次元の強さを体感

 昨季のエイバルはUEL出場権を争うなど健闘し、クラブ史上最高の10位でシーズンを終えた。ビッグクラブが存在するリーガで今以上に上位へ食い込むためには、今後どのような力が必要なのか。エイバルのなかで外国籍選手としてプレイする乾は、どうしなければならず、なにを考えて日々を過ごしているのか──。

 さらに、2018年にはロシアW杯も開催される。6月のシリア戦で久々に日本代表に復帰し、ヴァイッド・ハリルホジッチのもとではじめてプレイしたことで、新たな発見はあったのだろうか。リーガ、そして日本代表での今後の挑戦についても語ってくれた。

——— リーガを見ていると、やはりバルセロナ、レアル、アトレティコが別次元という印象がありますが、実際に戦っている選手はどう感じているのでしょうか?

乾 試合を迎えたときのモチベーションや、選手の好不調などいろいろな要素がありますが、エイバルでプレイするボクの印象では、バルセロナが安定しています。波がないというか、いいサッカーをしていて、個人的には別格の強さがあると感じています。もちろんレアルもすごいのですが、なんというか……勝つチャンスがないわけではない。レアルはハマらないときはハマらない。これは、エイバル戦に限っての話ですよ。昨季はレアルが優勝しましたが、対戦した印象としてはバルセロナのほうが強いかなという感じです。

——— アトレティコはどうですか?

乾 いいチームですね。守備が強いイメージがあると思いますが、攻撃の選手たちもめちゃめちゃいい。しっかりパスをつなげて、細かいサッカーもできる。バルセロナなどと対戦するときは守備から入って、攻撃はある程度という感じですが、その他の試合では戦い方を変えています。他のチームとやるときは守備的という感じではないです。

——— そうしたチームが存在するリーガのなかで、エイバルがUCL、UELの出場権を得るためには、なにが必要になってきますか?

乾 正直、難しいですね。個人的には、そこまでUCL、UELに出たいという気持ちはないんです。なぜなら、出たら出たで大変です。というのは、エイバルは今の監督(ホセ・ルイス・メンディリバル)のもと強度のある練習を続けていますが、週2試合となるとサイクルもメニューも変わってきます。これはエイバルにとって大きなマイナスで、いまの強度で練習を続けるためには試合数は少ないほうがいい。そう考えると、UCL、UELがどうとかよりも、まずはリーガに集中するべきで、その結果として上位を狙えるチャンスがあればいいなと思っています。

——— エイバルの練習の強度について、具体的に教えてもらえますか?

乾 試合翌日にリカバリーがあり、次の日がオフ。その次の日から試合までずっと練習ですね。メニューは対戦相手によって違ってきますが、強度は一緒です。ドイツでプレイしていたときより、エイバルのほうが激しいです。削りあいも別に問題なく、むしろ激しくいかないと生き残れない。監督がそういう練習が好きなのだと思います。

——— チームとしての来季の目標設定はどうなっているのでしょうか?

乾 まずはやはり、1部残留です。戦っていくなかでいい結果が出てくれば変わってきますが、基本は残留を目指すチームだと思っているので、謙虚に足元を見つめながら戦っていきます。みんなでしっかり頑張らないと足元をすくわれるという意識があるので、誰ひとり頑張ることを止めないんですよ。全員がしっかりプレイしているから、誰かが手を抜くとすぐに浮いてしまう。エイバルではさぼっているとすぐにバレますよ。そういう環境のなかで、楽しくサッカーができています。

「攻撃のバリエーションを 増やす存在に」

6月7日のシリア戦では果敢なドリブル突破を披露 photo/Getty Images

——— 自身の目標も聞かせてください。

乾 サッカーを楽しみつつ、結果もついてくれば一番いいですね。楽しさを忘れてしまうと自分のプレイが出せなくなるので、そこはしっかり意識して取り組みたいです。なおかつ、得点数、アシスト数を増やしてチームの勝利に貢献する。1年目から2年目にかけて守備のやり方を理解できたことで先発が増え、攻撃でもある程度自分の良さを出せました。あとは得点数が増えてくればもっと監督の信頼を得られると思うので、来季はそこを求めながらプレイしていきます。

——— 日本代表についてもお聞きします。ロシアW杯は今どんな位置づけにありますか?

乾 W杯はサッカー選手みんなが夢見ている大会で、一度は出てみたいと思っています。経験できればサッカー人生のなかで大きな財産にもなります。出場するためにはリーガでやるべきことをやって、エイバルで活躍していないといけない。なので、まずはクラブ、リーガでしっかりと結果を出す。その先に日本代表があると思っています。

——— 6月のシリア戦、イラク戦では久しぶりに日本代表へ招集されました。チームにどんな印象を持ち、自分になにができると感じましたか?

乾 今の日本代表は縦に速いサッカーをしています。これは今までの代表になかったカタチで、うまくいけば攻撃のバリエーションが増えるのでいいことだと思います。チームのやり方、戦い方でそれぞれ適した選手がいますよね。自分は試合を落ち着かせるとか、落ち着かせたうえで素早い判断でさまざまなアイデアを出し、相手を崩すプレイをやっていきたいです。1本のパスで狙うときもあれば、ドリブルやパスを駆使して崩すことがあってもいい。ゴールまで遠回りと言われればそうかもしれませんが、エイバルでも日本代表でも、いろいろなアイデアを出しながらサッカーができればいいなと思っています。


インタビュー・文/飯塚 健司

サッカー専門誌記者を経て、2000年に独立。日本代表を追い続け、W杯は98年より5大会連続取材中。日本スポーツプレス協会、国際スポーツプレス協会会員。サンケイスポーツで「飯塚健司の儲カルチョ」を連載中。美術検定3級。

theWORLD188号 2017年7月23日配信の記事より転載

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