新シーズンも活躍必至!? 久保は海外組で最注目株のひとり photo/Getty Images
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さらなる高みを目指す久保 昨季以上の存在感を!
ヨーロッパにおける2016-2017シーズンを振り返ると、日本サッカーにとって、ひとつの節目となるシーズンだったと言えるのではないだろうか。
長らく日本代表を支え、いわば日本代表の顔として活躍してきた本田圭佑、長友佑都らに代わり、新たな選手が台頭してきたのが昨シーズンだったからだ。
その筆頭格は、原口元気と大迫勇也だろう。ともにドイツ・ブンデスリーガでプレイするふたりは、それぞれ所属クラブでシーズンを通して活躍。と同時に、日本代表においても不可欠な存在となった。
とはいえ、これを喜んでばかりもいられない。年齢的に見て、今年26歳、27歳の彼らはもはや若手と呼ばれる立場ではなく、日本サッカー界の未来を考えれば、さらなる若い世代の台頭が必要不可欠なのである。
そんな期待に応えるべく、来る新シーズンに挑むのが、久保裕也と柴崎岳のふたりだ。なかでも昨季、充実した日々を過ごしたのは、久保だろう。シーズン途中にスイスからベルギーへと戦いの舞台を移したが、動ずることなく主力として活躍。移籍後の11試合で7ゴールという堂々たる結果を残した。ヨーロッパ4大リーグと称される、イングランド、スペイン、ドイツ、イタリアに比べればレベルが落ちるリーグとはいえ、日本とは異なる環境で残した数字としては相当な価値がある。久保自身は最終的に4大リーグでのプレイを望んでおり、現状をあくまでステップアップの途中ととらえている。昨季後半のような活躍をシーズン開幕当初から続けられれば、今冬にも次なるステップの機会が訪れても不思議はない。自らも点を取れるし、味方の決定機を生み出すラストパスも出せる。そんな攻撃の大黒柱らしい存在感を、昨季以上に見せつけてもらいたいところである。
柴崎が移籍を希望するスペイン1部 日本人が苦戦してきた挑戦だが......
リーガ・エスパニョーラ1部でのプレイを希望する柴崎 日本人が苦戦してきた舞台で輝けるか photo/Getty Images
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一方の柴崎も、スペインへ渡った当初こそ適応障害と報じられるなど、主に精神面で苦しんだようだが、シーズン終盤には一転、目を見張るプレイぶりを見せた。
そのハイライトと言えるのが、1部昇格プレイオフでの活躍である。結果的にテネリフェの1部昇格はならなかったものの、柴崎自身は全4試合に出場し、決勝ゴールを挙げるなどのインパクトを残した。異国の環境にも適応できていることは明らかであり、新シーズンでは更なるステップアップが期待される。
ただし、本人が望んでいるというスペイン1部での活躍となると、期待とともに不安も決して小さくないのが事実だ(その後1部のヘタフェへ移籍)。
日本代表での十分な実績に加え、ドイツで数々の経験も得て、満を持してセビージャに移籍したはずの清武弘嗣でも、満足な出場機会が得られなかった難易度の高い舞台である。過去、何人もの優れた日本人選手が挑み、その度に壁に跳ね返されてきたリーガ・エスパニョーラだけに(乾貴士の成功例はあるが、彼にしても1年目から全てがうまくいったわけではない)柴崎の新たな挑戦は大いに注目されるところだ。
海を渡った2人の若手 堂安と鎌田の新たな挑戦
初の海外挑戦で結果を残せるか。今夏に開催されたU-20W杯でも注目を浴びた堂安 photo/Getty Images
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その他にも、小林祐希、浅野拓磨、南野拓実など、次なるステップアップの足掛かりをつかもうとしている選手はいる。彼らの挑戦も忘れてはいけないが、やはり気になるのは、Jリーグからヨーロッパへと新たな一歩を踏み出す選手たちである。
鎌田大地、堂安律がこの夏、新たに海を渡った。鎌田は今年21歳、同じく堂安は20歳と若く、Jリーグや日本代表(A代表)での実績は豊富とは言えないものの、その一方で、伸びしろという点では他の先輩たち以上の可能性を秘める。
ヨーロッパの移籍市場では良くも悪くも青田買いの傾向が強まっており、極論すれば、若さはそれだけで武器になる。もちろん彼らがピッチ内外を問わず、それまでとは異なる環境に適応できるかという課題はあるが、今後のステップアップという点では、先に名前を挙げた選手たち以上に楽しみは増す。
20歳の堂安は、ヨーロッパ進出の第一歩として、フローニンヘンを選択。非常に賢明かつ無難な判断をしたと言えるだろう。オランダはレベル的にも4大リーグほど高くないうえに、本田をはじめ、吉田麻也、ハーフナー・マイクなど、日本人が適応した前例がすでにある。年齢的にも伸び盛りの現在、出場機会を増やすことこそが重要であり、ベンチで燻るような事態だけは避けたいところ。傍目には物足りなさすらある移籍先だが、悪くない選択だろう。
「鳥栖から世界へ」フランクフルトへ移籍した鎌田
スケールの大きさを感じさせる鎌田 photo/Getty Images
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一方の鎌田は、いきなりのドイツ行きとなったが、オランダ同様、すでに日本人選手の活躍が珍しくなく、その価値や特徴を十分に理解してくれているリーグである。ましてフランクフルトには、ドイツでの経験豊富な長谷部誠も所属している。適応するための条件は整っており、あとは本人次第ということになるのだろう。
鎌田は過去にドイツで成功した香川真司や清武などに比べると、俊敏性では劣るものの、プレイメイカーとして周囲を操れるだけの(ある意味でドイツ人選手にも似た)スケールの大きさを感じさせる選手だけに、その挑戦は興味深い。
間もなくヨーロッパで幕が開ける新シーズン。それぞれの新たな挑戦に注目したい。
文/浅田 真樹
theWORLD188号 2016年7月23日配信の記事より転載