ハリルジャパンに岡崎、武藤らを活かす術があるのか 現システムには合わない選手も

マインツで好パフォーマンスを見せる武藤 photo/Getty Images

続きを見る

クラブで好調な選手を活かせないのはもったいない

ここ数週間は日本人アタッカーが海外で大暴れしている。開幕から好調を維持するレスター・シティFW岡崎慎司、見事なループシュートを決めたドルトムントMF香川真司、デュッセルドルフ移籍後2得点を決めているFW宇佐美貴史、スピード、ジャンプ力など身体能力を活かして得点を重ねるマインツFW武藤嘉紀、ポルトガルのポルティモネンセでポルトGKイケル・カシージャスからもゴールを決めたFW中島翔哉、カップ戦とリーグ戦で得点を決めたフローニンヘンMF堂安律、そしてパチューカ移籍後2点目を決めたMF本田圭佑と、日本人選手が次々に得点を決めている。

岡崎、香川、本田ら代表でもう1度定位置を確保しようとする選手や、2018ロシアワールドカップの日本代表メンバーに割って入ることを狙う宇佐美、堂安、中島らが活躍しているのは非常に頼もしく、代表の競争力はさらに高まるだろう。しかし気になるのは、今のハリルJAPANに彼らを活かす術があるのかどうかだ。

特に問題なのは前線だ。岡崎はレスターで継続的に結果を出しており、攻守両面の献身性はイングランドでも高く評価されている。ところが今の日本代表はケルンFW大迫勇也の1トップで固定されており、岡崎を活かす場所がない。大迫は相手に寄せられてもボールを持つテクニックとパワーがあるが、岡崎は1トップになると持ち味を 発揮することができない。大迫と同じ役割を岡崎に求めるのは酷だろう。武藤もパワーのある選手だが、大迫ほどポストプレイを得意としているわけでもない。武藤には大迫にないスピードがあり、前を向いた時に特徴が発揮される選手だ。また岡崎と同じく運動量があり、残留を1つの目標とするマインツでも攻守に走り続けている。その力を何とか代表でも活かしたいところ。大迫と岡崎、大迫と武藤といったように2トップをテストしてみるのも手で、今の1トップで固定していては岡崎や武藤を代表に召集しても能力を最大限引き出すことができない。宇佐美も同じだ。宇佐美を気に入っていた代表監督のヴァイッド・ハリルホジッチはウイングとして起用するケースが多かったが、宇佐美はよりゴールに近いエ リアでプレイした方が得点力を活かせる。少なくとも原口元気や乾貴士がやっていたように、守備面でもサイドを上下動させるやり方は宇佐美に合っていない。宇佐美を活かす場合でも2トップは有効なオプションとなるはずだ。
現状では今のシステムに合っているセンターフォワードは大迫1人で、仮に大迫が負傷で離脱してしまうようなことがあれば日本の攻撃は崩壊してしまう。大迫のキープ力は大きな武器だが、そればかりに頼るわけにもいかない。ワールドカップ本番までに他のFWを上手くチームに取り込む工夫を施すべきだろう。それもただ大迫と試合途中で交代させるだけでなく、別のシステムで彼らを活かす術を模索すべきだ。岡崎、武藤、宇佐美など所属クラブで結果を出している選手を活かせないのは非常にもったいない。

特に武藤と岡崎は守備面の貢献度も評価されており、2人は運動量も魅力だ。日本がワールドカップ出場を決めた8月のオーストラリア代表戦でも前線からのプレスが1つのカギとなり、日本は守備からリズムを作ることができていた。武藤、岡崎もその仕事を得意としている選手で、得点部分以外でもチームに貢献できるはずだ。岡崎がレスターで実践しているように、守備時には中盤まで下がってスペースを埋めてもらうのも有効なオプションとなる。ワールドカップ本番ではほとんどの対戦相手が格上となるため、まずは守備を固めることが先決だ。その際に岡崎や武藤は貴重なオプションとなり、なおかつ攻撃時には得点も期待できる。システムを大迫の1トップで完全に固定す る必要もないだろう。

10月に日本はキリンチャレンジカップでニュージーランド代表、ハイチ代表と対戦するが、ワールドカップ本番まで時間がたっぷり残されているわけではない。テストは早い段階で行った方がいいが、今回ハリルホジッチは前線の構成に変化を加えてくるだろうか。所属クラブで結果を残している選手の能力を引き出せる環境を作ってこそ、初めてポジション争いが激しくなったと言えるはずだ。

記事一覧(新着順)

電子マガジン「ザ・ワールド」No.299 フリック・バルサ徹底分析

雑誌の詳細を見る

注目キーワード

CATEGORY:コラム

注目タグ一覧

人気記事ランキング

LIFESTYLE

INFORMATION

記事アーカイブ