名良橋晃の定点観測♯40「川崎が笑い、鹿島が泣いた。劇的な結末に終わった2017Jリーグ。名良橋版ベストイレブン決定!」

堅守だった磐田から続々選出。中盤の両サイドは小池&松原

堅守だった磐田から続々選出。中盤の両サイドは小池&松原

優勝した川崎からは、得点王に輝いた小林を含む2名を選出した

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2017年もJ1、J2、J3でさまざまなことがありました。J1は川崎と鹿島による激しい優勝争いのすえ、最終節を終えて勝点が並んだものの、得失点差で大きく上回った川崎が悲願の優勝を飾りました。両チームに続いて3位に入ったC大阪はルヴァン杯に優勝しており、昇格1年目での躍進が目立ちました。

一方、大宮、新潟、甲府はJ1に残留することができず、J2で上位となった湘南、長崎、名古屋と入れ替わることとなりました。J3は秋田が優勝しましたが、J2ライセンスを持たないため昇格はできず、2位栃木だけがJ2昇格となりました。これを受けて、J2からJ3へ降格するのも群馬だけとなっています。

シーズン終了後には『Jリーグアウォーズ』(Jリーグ年間表彰式)が盛大に行なわれ、自身最多となる23得点を奪ってチームを優勝に導き、なおかつ得点王にも輝いた小林悠(川崎)が最優秀選手賞を受賞しました。こうした華々しいイベントが終了すると、シーズンが終わったのだなと実感します。
そこで今回は、私が選ぶ独自のベストイレブンを発表したいと思います。あくまでも“名良橋版”であり、オリジナルのベストイレブンなのでどうぞ楽しんでください。

GKはカミンスキー(磐田)としました。中村航輔(柏)と迷いましたが、J1で最少失点を記録した磐田の守備神であり、パフォーマンスも常に安定していたので選出しました。

DFは3人で、昌子源(鹿島)、大井健太郎(磐田)、マテイ・ヨニッチ(C大阪)です。昌子源はすごく自信をつけていて、1対1に負けない強さがあり、フィード力も向上しています。替えのきかない選手で、彼がいなかったら鹿島はもっと失点していた可能性があります。大井健太郎は4バック、3バックのどちらにも柔軟に対応し、うまくラインコントロールしていました。高さがあり、セットプレイでは攻撃参加して得点していたのも見逃せません。今シーズンからJリーグでプレイするマテイ・ヨニッチも守備の柱として存在が際立っていましたし、6得点と攻撃面でも勝利に貢献しました。

MFは4人で、守備的MFがエドゥアルド・ネット(川崎)と川辺駿(磐田)。ワイドなポジションが右に小池龍太(柏)、左に松原后(清水)です。エドゥアルド・ネットはボールを奪い取ることができて、キープもできるし正確にさばくこともできます。ドリブルで前方へ運ぶ力もあり、大島僚太とうまくバランスを取って川崎の攻撃を構築していました。個人的には、エドゥアルド・ネットはもっと高く評価されていいと思っています。

川辺駿はポジショニングが素晴らしく、中村俊輔が前へ行ったら後ろに下がり、逆のときはタイミングよく前方へ飛び出して攻撃を活性化していました。さらには、ドリブル、パス、シュートなどすべてのプレイの精度が高く、多くのゴールチャンスにも絡みました。いつ日本代表に選出されてもおかしくなく、広島にレンタルバックされる来シーズンも変わらない活躍が期待されます。

小池龍太は昨シーズンまでJ2の山口でプレイしていましたが、移籍1年目で柏にすぐにフィットし、ほとんどの試合に出場しました。攻守両面で1対1の攻防に強く、精度の高いクロスやスルーパスも出せます。同サイドの伊東純也との連携もよく、来シーズンはさらなる飛躍を遂げるのではないかと予感しています。

左サイドの松原后は、プレイから負けん気の強さが伝わってきます。縦へ仕掛ける積極性があるし、シュート、クロスの質ともに高い。スピードもあり、前方への推進力があります。守備で少し背後を取られるときがあるのが気になりますが、十分に修正可能です。来シーズンは分析、研究されたなかでのプレイになりますが、それでも自分の良さを出してくれると期待しています。

年間最優秀選手はE・ネット。J2はゼロトップを採用

年間最優秀選手はE・ネット。J2はゼロトップを採用

J2はガブリエル・シャビエルを前線に、ゼロトップとした

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FWは1トップ+2シャドーで、前線はなんといってもビクトル・イバルボ(鳥栖)です。突破力があるうえ、前線でターゲットとなってボールをキープし、味方が攻撃参加する時間を作ることができます。コンディションが良いときは破壊力が本当にすごくて、シーズン途中からの加入で強烈なインパクトを残してくれました。

2シャドーには柏好文(広島)と小林悠(川崎)を選出しました。柏好文はシーズン序盤こそケガをしていましたが、復帰後は安定したパフォーマンスを見せました。監督交代によってプレイするポジションや役割が変わるなかすぐに順応し、持ち味であるドリブルを生かして力強くチームを引っ張っていました。チームが不調だったので危機感があったのだと思います。「自分がやらなければ」という感情がひしひしと伝わってきました。

小林悠に関しては、多くの説明は必要ないでしょう。ここ一番で勝負強さを発揮し、得点王に輝く活躍でチームに栄冠をもたらしました。攻撃的なポジションならどこでもこなせる万能型で、監督にとっては実に頼もしい選手です。

これで“名良橋版ベストイレブン”が出揃いました。年間最優秀選手に関しては、小林悠、エドゥアルド・ネット、昌子源で迷いましたが、優勝した川崎から選ぶべきでしょう。そして、小林悠はすでにJリーグアウォーズで年間最優秀選手に輝いています。ということで、私が選ぶ2017年の年間最優秀選手はエドゥアルド・ネットです。技術力が高く、ボールを止める、蹴るが正確で、力強さもある。さらに、プレイがシンプルで動きにムダがありません。繰り返しになりますが、彼は本当にもっと高く評価されていい選手だと思っています。

最後に、J2のベストイレブンも発表しておきます。文字数の関係で詳しく説明できませんが、それぞれ個性を発揮してチームの勝利に貢献した選手たちです。GK秋元陽太(湘南)、DFアンドレ・バイア(湘南)、カルフィン・ヨンアピン(横浜FC)、近藤直也(千葉)、MF島田譲(長崎)、田口泰士(名古屋)、杉岡大暉(湘南)、安西幸輝(東京V)、FW町田也真人(千葉)、小塚和季(山口)、ガブリエル・シャビエル(名古屋)。

以上がJ2の“名良橋版ベストイレブン”です。ポイントは前線で、ガブリエル・シャビエルをトップに、町田也真人と小塚和季がシャドーを務めるゼロトップを採用しました。技術力の高い選手たちが、パスやドリブルを駆使してゴールを目指すベストイレブンになっています。

構成/飯塚健司

theWORLD193号 2017年12月23日配信の記事より転載

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