2017年はサッカー界の転換期だったのかもしれない。これまでサッカー界を引っ張ってきてくれたレジェンドたちが次々と引退したのだ。そこで米『ESPN』は、2017年に引退した選手11人を紹介。どの選手もワールドクラスと呼ばれた名手ばかりとなっている。
GK:ビクトール・バルデス
バルセロナでジョゼップ・グアルディオラから全幅の信頼を受けていたバルデスは、繋げるGKの価値を飛躍的に高めた存在だ。果敢に飛び出してのクリアや、正確なビルドアップなど、チームの黄金期を支えた名手も今夏に引退を表明している。
DF:フィリップ・ラーム、マルティン・デミチェリス、アルバロ・アルベロア
グアルディオラから最もクレバーな選手と評され、サイドバックだけでなくインサイドハーフなどもこなしたラームは昨季限りで引退。まだ現役を続けられる状態だったはずだが、バイエルンとドイツ代表で数多くのタイトルを獲得した英雄はベストな状態のまま現役を終える道を選択した。そのラームと同じく渋いサイドバックだったアルベロアは昨夏からウェストハムでプレイしていたものの、今夏に引退を発表。プレミアリーグとリーガ・エスパニョーラの両方で活躍できたことが適応能力の高さを示していると言えよう。
デミチェリスはアルゼンチン代表でも長きにわたって最終ラインを任されてきた選手で、バイエルンやマラガ、マンチェスター・シティと複数のリーグとクラブで活躍した。現在のアルゼンチン代表にはいない武闘派タイプのセンターバックだった。
MF:アンドレア・ピルロ、フランク・ランパード、カカー、シャビ・アロンソ
欧州を離れてMLSでのプレイを選んだピルロ、ランパード、カカーの3人も今夏に引退を決意した。この3人は2000年代のチャンピオンズリーグを何度も沸かせるなど、近年の欧州サッカー界を代表する名選手だ。MLSへの挑戦でアメリカサッカー界を盛り上げることにも尽力し、ピルロとランパードはニューヨーク・シティFCで、カカーはオークランド・シティSCでプレイした。
リヴァプール、レアル・マドリード、バイエルンで活躍したシャビ・アロンソは、チームメイトだったラームと同じく昨季限りでの引退を決意した。若い頃にレアル・ソシエダでブレイクを果たしており、アロンソの所属するチームは全て好成績を収めている。スペイン代表でもワールドカップとEUROを制しており、アロンソが中盤の底でどれだけ重要な選手だったかが分かってくる。パサーながら守備面でも奮闘できる万能型な選手だった。
FW:フランチェスコ・トッティ、アントニオ・カッサーノ、ディルク・カイト
キャリアの最後は愛するローマと少し揉めるようなこともあったが、現在では珍しい1つのクラブに愛を注ぎ続けたトッティも41歳での現役引退を決意した。過去に噂されたレアル・マドリードなど他の強豪クラブに移籍する道を選んでいれば、もっとタイトルに恵まれたキャリアを歩んだかもしれない。しかしローマ愛を貫いたからこそ、誰からも愛されるレジェンドなのだ。ベテランになってからもプレイスタイルを変えつつトップパフォーマンスを維持するなど、サッカーセンスは抜群だった。
引退、現役続行、またまた引退表明など二転三転したカッサーノも同メディアは選んでいる。今夏にはヴェローナへ移籍したものの、たった17日で退団。その後も良いオファーを待っていたようだが、相変わらず破天荒なキャリアとなっている。同メディアはトッティやアレッサンドロ・デル・ピエロ、ロベルト・バッジョらのつけたイタリア代表の10番を背負えるだけの逸材だったと伝えており、その才能を活かし切れなかったことが残念だと嘆いている。
決してテクニックのある選手ではなかったが、攻守に走り続けたカイトの存在も忘れてはいけない。とにかく運動量が豊富で、泥臭い仕事もこなしてくれるアタッカーだった。2014ブラジルワールドカップではウイングバックまで務め、オランダ代表の3位に貢献。リヴァプールやオランダ代表が苦戦するようになったのは献身的に動いてくれるカイトが抜けたからとも言われるほどだ。その鉄人カイトも36歳での現役引退を決意した。
こうして見ると、今年は名手の引退が目立った1年だった。時代の移り変わりを感じさせるものがあり、寂しく感じるサッカーファンも多いことだろう。