試合後の記者会見を終えるとメディアから拍手が巻き起こった
第97回天皇杯の決勝が1日に埼玉スタジアムで開催され、延長戦の末にC大阪2-1横浜FMという結果に終わった。8分という早い時間帯に横浜FMが先制点を奪ったが、その後は一進一退の攻防となり、後半になって65分にC大阪が同点弾をゲット。試合は延長戦にもつれ込み、95分にC大阪が決勝点を奪って勝敗は決した。
横浜Fのエリク・モンバエルツ監督は今シーズン限りでの退任が決定しており、この試合がチームを率いる最後の試合だった。現職についたのは2015年で、日本では3年間を過ごした。もともと若手の育成に定評があった同氏は横浜FMでも経験の浅い選手たちに積極的にチャンスを与え、実戦を通じてチーム全体に自信を植え付けていった。
この日は逆転負けを喫したが、先制点を奪うなど勝機があったのも事実。優勝こそ逃したが、モンバエルツ監督は3年間の仕事を振り返って「この3年間でひとつのモデルを落とし込むべく取り組んできた。それがカタチになりはじめており、今後はさらに高いクオリティを発揮してくれると思う。多くの若手が成長しているが、これはチームにとってすごく重要なことだ」と言葉を残した。
また、もっとも手応えを得ていること、チームに残せたものについては、「(選手たちが常に)勝とうとする姿勢、良いプレイをしようとする姿勢を残せたのではないか。この方向性をずっと続けてほしい」とコメント。この“選手が全力を出す姿勢”については、自らサポーターとの関係性の大事さについて語っている。
「横浜Fマリノスにとって、サポーターは特別な存在。私にとっても、これからも心に残り続ける素晴らしいサポートをしてくれて感謝している。おそらく、選手たちのパフォーマンスに対して誇りを持ってくれていると思う。選手が全力を尽くすことで、サポーターが喜んでくれていることが大事。(日本の人々は)3年間私を受け入れてくれた。親切だったことに感謝したい。メディアとも良い関係を築くことができた。私はフランス出身なのでロシアW杯では一番にフランスを応援するが、同じくらい日本のことも応援したい」
モンバエルツ監督に率いられた3年間で横浜FMは若手が成長し、チームの骨格も固まってきた。2017年はJ1で5位となり、天皇杯でも決勝に進出する力を身につけるに至っている。3年間の集大成だった天皇杯決勝では結果を残すことができなかったが、試合後のモンバエルツ監督はメディアから拍手を受けるなか、笑顔で記者会見場を後にした。