[水沼貴史の欧蹴爛漫001] 持つべきは矛? それとも盾? 崖っぷちコンテ監督の選択は?

チェルシーは、“中盤&最前線”の人選で全く性格の違うチームに

去就問題に揺れているコンテ監督 photo/Getty Images

水沼貴史です。今週から、電子サッカー誌『theWORLD(ザ・ワールド)』のニュースサイトで、連載『水沼貴史の欧蹴爛漫』を始めることになりました。欧州のサッカーシーンで注目すべき旬ネタを、私見たっぷりに掘り下げて解説していきますので、応援のほど、よろしくお願いします! 

さて今回は、週末に開催されるプレミアリーグの強豪対決「マンチェスター・ユナイテッド×チェルシー」について、お話しします。

チェルシーを率いるアントニオ・コンテ監督にとって、25日に行われるマンチェスター・ユナイテッド戦(プレミアリーグ第28節)と来月4日のマンチェスター・シティ戦(同第29節)は試金石になるでしょう。クラブ首脳との確執やそれに伴う退任説など、連日のように現地メディアが騒ぎ立てていますから、この上位対決での取りこぼしは彼にとって致命的です。

両チームともにUEFAチャンピオンズリーグのラウンド16を消化したばかりで、選手起用がカギを握ります。特にコンテ監督の決断が、試合の流れを決めることになると予想します。20日のバルセロナ戦では守備的なゲームプランを採用しましたが、マンチェスター・ユナイテッド相手でも同じなのか、それとも“攻撃は最大の防御”という姿勢でボールを支配するのか、中盤や最前線の顔ぶれだけで、彼の狙いがはっきりするでしょう。

チェルシーは今季開幕前にモナコからMFティムエ・バカヨコを獲得しましたが、昨季までエンゴロ・カンテと共に中盤を支えたネマニャ・マティッチ(現マンチェスター・ユナイテッド)ほどの安定感をみせていません。多くの試合に出場していますが、まだチーム戦術にフィットしきれていない感があります。中盤はバルセロナ戦と同様に、カンテとセスク・ファブレガスをセントラルMFに配置するのではないかと思います。 パスセンスに長けたセスクを入れると、戦い方が自ずと攻撃的になるので、それが試合の流れにどう影響するかが見所の一つになるでしょう。

最前線もチェイシングを得意とするウィリアンやペドロを起用して手堅く振る舞うのか、アルバロ・モラタやオリヴィエ・ジルーなどの純粋なセンターフォワードを置いて攻撃色を強めるのか。コンテ監督は今、非常に難しい選択を迫られています。この試合の展開を決めるのは彼なのですから。

プレミア最高のGKが競演。“威圧感”を感じてみて欲しい!

セビージャ戦(CL)でも好セーブを連発したデ・ヘア photo/Getty Images

一方のマンチェスター・ユナイテッドですが、今のところ、新加入のMFマティッチがプラスに働いています。ボール奪取力に優れ、独力でもボールを運べる力は流石のひと言。ポジショニングも良いので、より攻撃的なプレイを得意とするポール・ポグバとの補完性も申し分ありません。アンデル・エレーラが21日のセビージャ戦(CL)で負傷したので彼にかかる負担が気がかりですが、彼が本来の力を発揮して攻撃に厚みをもたらせるか。これがユナイテッド陣営の注目ポイントです。

互いにソリッドな守備が持ち味のチームですので、基本的にロースコアの展開が予想されますが、そういった試合ではGKの働きぶりがより勝敗のカギを握ることも……。ティボー・クルトワ(チェルシー)とダビド・デ・ヘア(マンチェスター・ユナイテッド)による高次元のシュートストップは注目して欲しいですね。高身長でありながら、あれほど素早いモーションでシュートを止めるGKは世界でも類を見ません。魅力的なゲームの裏には、必ず優秀なGKが存在します。彼らが相手FWに与える“威圧感”のようなものを、ぜひ感じとってください!

ではでは、また来週お会いしましょう!

※プレミアリーグ第28節、マンチェスター・ユナイテッド対チェルシーは25日(日本時間)の23時05分にキックオフ!


水沼貴史(みずぬまたかし):サッカー解説者/元日本代表。Jリーグ開幕(1993年)以降、横浜マリノスのベテランとしてチームを牽引し、1995年に現役引退。引退後は解説者やコメンテーターとして活躍する一方、青少年へのサッカーの普及にも携わる。近年はサッカーやスポーツを通じてのコミュニケーションや、親子や家族の絆をテーマにしたイベントや教室に積極的に参加。幅広い年代層の人々にサッカーの魅力を伝えている。


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