久保建、中村敬、菅原ら10代がいきなり躍動! 今年のJリーグは一味違う面白さ

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今後の日本サッカー界を背負う世代が続々登場

早くもJリーグは開幕から2試合を消化したが、今年はこれまでと一味違うスタートになった。何より目を引くのは、若手選手たちの躍動だ。それも20代前半の選手だけでなく、まだ高校を卒業してない者までいる。

話題性があったのはFC東京のMF久保建英だ。長谷川健太監督もトップチームで十分やれるはずとの認識を示していたが、開幕から2試合続けて途中出場を果たしている。前を向いてボールを持つことに全く恐怖心がないようで、体の使い方が非常に上手い。前を向くと同時にボールを守りながら相手の体の前にスッと入ってくるため、相手は足を出すことができない。16歳の若者の小刻みなキックフェイントなどに経験豊富なJリーガーが釣られる姿は快感すら覚える。まだ得点はないが、J1の環境に慣れればゴールに絡んでいくことも可能だろう。

その久保より1つ年上となる17歳の2人も見逃せない。開幕から2戦連続先発出場を果たした名古屋グランパスDF菅原由勢、2戦連続途中出場のガンバ大阪FW中村敬斗だ。菅原は最終ラインの複数ポジションをこなす器用さを持っており、開幕戦からセンターバックに抜擢された。ガンバ戦では失点に絡んでしまったが、相手のクリアボールを頭で正確に味方へ繋ぐなど全体的に落ち着いていた。2000年生まれの選手が開幕から最終ラインを任されたのは何とも頼もしく、今後の成長が楽しみだ。
ガンバの中村も開幕戦からインパクトを残した。名古屋戦ではパンチ力ある右足シュートも披露し、積極的に顔を出してボールをもらおうと動いていた。右サイドでオ・ジェソクにワンツーのパスを通してチームの2点目に関わるなど、早くも結果を出している。ボールをトラップする際の動きもスムーズで、アタッカーらしくシュートの意識を持っているのも興味深い。昨年のU-17ワールドカップで4得点を挙げた素質は確かだ。

久保、菅原、中村の3人はそのU-17ワールドカップを共に戦っていたこともあり、名古屋とガンバの試合では途中出場した中村と菅原が笑顔を交わす場面もあった。開幕戦で17歳の2人がピッチに揃う姿を想像していた者は少ないだろう。U-17世代がJ1でチャンスを得ているのは非常に大きい。

さらにガンバは18歳のMF福田湧矢もボランチとして開幕戦で先発出場させている。なかなか前を向けなかったり、守備時に相手に剥がされてしまうなど気になる点もあったが、大きな期待をかけられているのは間違いない。また福田とコンビを組んだ市丸瑞希も20歳と若く、現在オランダのフローニンヘンでプレイする堂安律と昨夏のU-20ワールドカップも経験している選手だ。市丸は続く鹿島アントラーズ戦でも先発しており、今季は大きく伸びるかもしれない。

他にも鹿島では海外メディアから日本のエデン・アザールと称された19歳MF安部裕葵が開幕から2戦連続出場、サガン鳥栖では19歳FW田川亨介が2戦連続先発出場に加えて開幕戦のヴィッセル神戸戦では得点も記録している。コンサドーレ札幌では19歳FW菅大輝も出場機会を得ており、20歳のMF三好康司も2戦連続先発出場。セレッソ大阪戦ではチャナティップのゴールを見事なクロスでアシストしている。

昨夏のU-20ワールドカップ、さらにその下の世代となるU-17ワールドカップ世代が今季のスタートからチャンスを得ているのは日本サッカー界にとって大きなことで、彼らの成長は2018ロシアワールドカップ後の日本に欠かせないものだ。海外では19歳の堂安も活躍を続けており、この世代が4年後に日本代表の顔になっている可能性も十分に考えられる。昨年の開幕戦ではアルビレックス新潟MF原輝綺、柏レイソルDF中山雄太、サンフレッチェ広島MF森島司、そして堂安が10代プレイヤーとして先発したが、今年の若手はさらに若い。しかも結果を出している選手までおり、今年のスタートは一味違うと感じさせられる。

仮に彼らが今後海外挑戦に踏み切るとなった場合、10代でブレイクしていれば非常に大きな財産となる。海外では22、3歳の選手は若手と分類されないことも多く、この年齢になった時には即戦力として活躍することが求められる。10代の頃からJ1でプレイし、堂安のように早い段階から海外へ視線を向ければ選択肢は大きく広がることになる。ビッグクラブへのステップアップを望むことも可能で、このままJリーグも10代の選手に積極的にチャンスを与えていくべきだろう。

まだ開幕から2試合が経過しただけだが、若い世代の成長は非常に興味深い要素だ。2020年に東京五輪が控えていることを考えても、そこで中心になり得る彼らを今のうちから予習としてチェックしておくのもいいだろう。

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