[水沼貴史の欧蹴爛漫005]デ・ブライネはなぜこんなに結果を出せる? ヒミツは“守備の上達”にあり!

ボールを奪うための動きが洗練されました

攻守両面でハードワークを厭わないデ・ブライネ photo/Getty Images

水沼貴史です。ロシアW杯開幕まであと3ヶ月を切りましたね。今週は各国代表による国際親善試合が行われます。各チームがW杯本番にむけてどんな準備を進めるのか、非常に興味深いです。今回はロシアW杯に出場するであろう選手の中から、私が特に注目しているMFケビン・デ・ブライネ(マンチェスター・シティ/ベルギー代表)にスポットを当ててみました。昨季よりマンチェスター・シティを率いているジョゼップ・グアルディオラ監督の下での成長が著しい彼(昨季リーグ戦21アシスト、今季は現時点で14アシスト)ですが、具体的に成長した部分はどこなのか。まずはその点からお話ししましょう。

グアルディオラ監督の指導により、彼の守備が洗練されてきたと私は感じています。極力敵陣でボールを奪うという同監督のコンセプトをしっかり理解できていますし、ボールを失った直後に相手のパスコースを消しながらボールホルダーに詰め寄る動きも、板についてきました。キックのバリエーションの多彩さ、空いているスペースを瞬時に見極めてそこにパスを通すスキルは元から優れていましたが、守備時のポジショニングやプレッシングを行う際のランニングの角度などを同監督から叩き込まれたことで、攻守両面で存在感を発揮できるMFに成長しました。ハイプレスでボールを奪うという原則、及びそのための方法論がチーム全体で共有され、必然的に彼が相手ゴール前でボールを受ける回数が増えました。それがアシスト数の増加に繋がっているのだと思います。つまり、彼の守備が良くなったことが、そのまま攻撃にも好影響を及ぼしているんです。

彼が高い足下の技術の持ち主であることはすでに皆さんもご存じだと思いますので、今後マンチェスター・シティの試合をご覧になる際は、チームがボールを失った直後に彼がどんな動きを見せているかに注目してみてください。

ベルギー代表ではボランチも経験! しかし彼の適正ポジションは......

マルティネス監督の采配に苦言 photo/Getty Images

ベルギー代表としてロシアW杯に出場することが濃厚なデ・ブライネですが、ロベルト・マルティネス代表監督のもと、[3-4-2-1]の布陣のボランチで起用されることが増えました。もともとロングパスの精度や長い距離を走り切る力には定評がありますので、彼をこの位置で起用すれば、相手に押し込まれた際にもデ・ブライネを起点にロングカウンターを発動することができます。しかし、私としては彼をもう一列前(トップ下)で起用し、最前線のロメル・ルカク(マンチェスター・ユナイテッド)やエデン・アザール(チェルシー)とのコンビネーションで敵陣を切り裂くプレイが見たいです。デ・ブライネの基本ポジションを上げることで彼が自陣深くで守備に追われることを防げますし、相手からしてもパスセンスに長ける彼に自分たちのゴール前でプレイされるほうが脅威でしょう。

デ・ブライネ自身も違和感を感じているのか、昨年11月に行われた国際親善試合(メキシコ代表戦)終了後に、マルティネス監督に対して「守備から攻撃への切り替えが上手くいっていない」、「布陣が守備的すぎる」などのダメ出しをしたようです。ベルギー代表が豊富なアタッカー陣を活かしきるだけの戦術や布陣を編み出せるのか、また、その中でデ・ブライネがどう活きてくるのかにも注目したいところですね。

ではでは、また来週お会いしましょう!

※デ・ブライネが出場予定の国際親善試合(サウジアラビア代表戦)は日本時間で28日早朝3時45分、プレミアリーグ第32節(エヴァートン戦)は4月1日の早朝1時30分にキックオフ!

水沼貴史(みずぬまたかし):サッカー解説者/元日本代表。Jリーグ開幕(1993年)以降、横浜マリノスのベテランとしてチームを牽引し、1995年に現役引退。引退後は解説者やコメンテーターとして活躍する一方、青少年へのサッカーの普及にも携わる。近年はサッカーやスポーツを通じてのコミュニケーションや、親子や家族の絆をテーマにしたイベントや教室に積極的に参加。幅広い年代層の人々にサッカーの魅力を伝えている。




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