[水沼貴史の欧蹴爛漫009]CLレアル×バイエルン ジダン最大の悩みどころは「イスコを使うべきか否か」

イスコのベンチスタートも考えられます

イスコのベンチスタートも考えられます

攻守両面で重要な役割を担うイスコ photo/Getty Images

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水沼貴史です。DFBポカール準決勝(バイエルン・ミュンヘン対レヴァークーゼン)の解説を終えたばかりですが、決勝に駒を進めたバイエルンの盤石な試合運びに驚かされました。ロベルト・レヴァンドフスキによる安定感抜群のポストプレイも然ることながら、トーマス・ミュラーの巧みなフリーランニング、チアゴ・アルカンタラの正確なパス、アリエン・ロッベンやフランク・リベリによる果敢なサイド突破が光っていましたね。 そんなバイエルンを25日(現地時間)に迎え撃つのが、UEFAチャンピオンズリーグ2連覇中のレアル・マドリードです。来週より行われるチャンピオンズリーグ準決勝(バイエルン対レアル)の展望について、今回はお話ししたいと思います。

MFイスコ(レアル)が起用されるのかどうか。それ次第で試合の様相が大きく変わるでしょう。彼は前線でタメを作ってサイドバックのオーバーラップを促せますし、スルーパスの精度も絶妙です。攻撃面への貢献度が高い彼ですが、彼をトップ下で起用するとなると、中盤をダイヤモンド型にせざるを得なくなります。中央で細かくパスを繋ぐには打ってつけの布陣ですが、守備の局面ではサイドが数的不利に陥りやすいのが難点です。強力なサイドアタッカーを擁するバイエルン・ミュンヘンを相手に、ダイヤモンド型の中盤を敷くことは果たして良策なのか。レアルのジネディーヌ・ジダン監督は今、難しい決断を迫られているはずです。

もしジダン監督がサイドでの数的不利を嫌がった場合、マルコ・アセンシオやルーカス・バスケスをサイドに置く[4-1-4-1]の布陣を採用することが予想されます。この場合はカゼミロが中盤の底、その一列前にアセンシオ、ルカ・モドリッチ、トニ・クロース、バスケスが入り、クリスティアーノ・ロナウドがワントップに配置されるでしょう。こうすることで同じく[4-1-4-1]の布陣を採用するバイエルンとサイドの人数が互角になりますし、アセンシオとバスケスのチェイシングは定評があるので、彼らが相手のサイド攻撃を食い止めてくれる可能性があります。イスコがいる時ほどのボールポゼッションは望めないかもしれませんが、アセンシオやバスケスの走力を活かしたカウンターに賭けるというゲームプランも悪くありません。イスコというファンタジスタを起用してポゼッションサッカーを貫くのか。それともアセンシオやバスケスという働き蜂を起用し、守備重視の戦い方にシフトするのか。スターティングメンバーを見れば、ジダン監督の狙いが分かるはずです。

レアルに求められる“連動した守備”

レアルに求められる“連動した守備”

走力に定評があるバスケス(右)やアセンシオ(左)の先発も考えられる photo/Getty Images

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バイエルンの破壊力抜群の攻撃を止めるにあたり、レアルにはあらゆる局面で複数人による連動した守備が求められます。先ほどもご説明した通り、アセンシオとバスケスがいればサイドでの数的同数(もしくは優位)を活かし、サイドバックとサイドハーフで相手のアタッカーを挟み撃ちにできます。アセンシオとバスケスによるチェイシングが機能すれば、ロッベンやリベリを自陣に閉じ込めることができるかもしれません。問題はイスコが起用された場合ですね。[4-4-2](中盤ダイヤモンド)の布陣を敷いている試合でサイドにボールを運ばれた場合、モドリッチ、クロース、カゼミロの3セントラルMFがボールホルダーに寄り、サイドでの数的不利を解消する必要があります。この3人がボールサイドにスライドし、イスコが3人の移動によって生まれたスペースを埋める。これがイスコ先発時のレアルの約束事です。バイエルンにはミュラーやレヴァンドフスキを筆頭に、敵陣バイタルエリアや最終ラインの背後を突くのがうまい選手が大勢います。イスコがいつも以上に自陣のスペースに気を配り、バイエルンの攻撃を寸断できるか。彼が攻撃面で並々ならぬ力を発揮していることは、皆さんもご存じだと思います。彼がこの試合に出場した際は、守備の局面でどこのスペースを埋め、誰の動きを監視しているのかにも目を向けてみて下さい。

ではでは、また来週お会いしましょう!

※UEFAチャンピオンズリーグの準決勝・1stレグ(バイエルン・ミュンヘン対レアル・マドリード)は、日本時間26日の早朝3時45分にキックオフ!


水沼貴史(みずぬまたかし):サッカー解説者/元日本代表。Jリーグ開幕(1993年)以降、横浜マリノスのベテランとしてチームを牽引し、1995年に現役引退。引退後は解説者やコメンテーターとして活躍する一方、青少年へのサッカーの普及にも携わる。近年はサッカーやスポーツを通じてのコミュニケーションや、親子や家族の絆をテーマにしたイベントや教室に積極的に参加。幅広い年代層の人々にサッカーの魅力を伝えている。




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