[ロシアW杯#13]ベルギー、初出場パナマの守備に苦しめられるも…… “個の力”で初戦をものに

序盤から攻め立てたベルギー パナマもカウンターで応戦

序盤から攻め立てたベルギー パナマもカウンターで応戦

69分、デ・ブライネの低弾道クロスにルカクが飛び込んだ photo/Getty Images

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優勝候補の一角に挙げられる今大会屈指のタレント軍団ベルギーは、前評判どおりの攻撃力を示して初出場のパナマを退けた。
 
ベルギーにとって難しい相手だったことは間違いない。初出場のパナマに失うものはなく、待ちに待った大舞台の初戦。相手が格上のベルギーであればなおさら“当たって砕けろ”のメンタリティで臨むことができる。ブラジル、ドイツ、アルゼンチンなど、同じく優勝候補のチームが初戦で勝点3を逃していることも、少なからずプレッシャーとして感じていただろう。
 
それでもベルギーは立ち上がりから格の違いを見せつけた。2列目に位置するE・アザールとメルテンスが自由に動き回り、スペースを見つけてパスを受ける。そこを起点とする攻撃でチャンスを作ると、カラスコとメルテンスが立て続けにシュート。その後も怒涛の攻撃を見せて相手ゴールに迫った。

しかし、15分を過ぎたあたりからその攻撃が停滞し始める。立ち上がりの失点を回避したパナマは徐々に相手のリズムに慣れ、時折見せるカウンターで応戦。決定的なチャンスこそ作れなかったが、フィールドプレイヤー全員が自陣に引く守備でベルギーにゴールを許さなかった。スコアレスで終えた前半は“パナマの善戦”という印象が際立ち、スタジアムでは奮闘するパナマを後押しする声援が勢いを増しつつあった。

試合の流れを変えたメルテンスの“超絶ボレー”

試合の流れを変えたメルテンスの“超絶ボレー”

47分にダイレクトボレーを叩き込み、ご満悦のメルテンス photo/Getty Images

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ところが、後半に入るとその形勢が一変。プレッシャーから解放されたベルギーが、その破壊力を存分に示した。
 
まずは後半開始直後の47分、右サイドでパスを受けたメルテンスのクロスはパナマ守備陣に跳ね返されるが、クリアボールに素早く反応したメルテンスがダイレクトボレー。美しい放物線を描いたシュートがゴール左隅に決まり、待望の先制点はベルギーに生まれた。
 
このゴールで硬さが消えたベルギーは、ボール支配率を一層高めて追加点を狙った。一方のパナマも54分にムリージョ、58分にバルセナスがチャンスを迎えてシュートを放つが、いずれも同点ゴールには至らない。
 
迎えた69分、ベルギーは左サイドでE・アザールが起点となり、デ・ブライネにパス。右足アウトサイドの美しいクロスにルカクが飛び込み、豪快なダイビングヘッドで追加点を奪った。さらに75分、アザールのドリブル突破から始まったカウンターは、ラストパスを受けたルカクがフィニッシュ。GKとの1対1を制して左足でゴールに流し込んだ。
 
前半こそ粘り強い守備を見せたパナマだったが、後半はベルギーの個の能力の高さに圧倒された。球際の攻防では時間の経過とともにファウルが増え、計5枚のイエローカードを提示されるなど苦しい時間が続いた。もっとも、無失点に抑えた前半の出来はポジティブな材料だ。カウンターで仕留める力さえあれば、展開は変わっていたのかもしれない。

難しい相手との初戦をものにしたベルギーは、落ち着いてグループリーグの残り2試合を戦えるだろう。守備の要コンパニの欠場は気がかりだが、やはりデ・ブライネやE・アザール、ルカクを擁する攻撃力は今大会屈指。“強さ”を印象づけた90分だった。


[スコア]
ベルギー代表 3-0 パナマ代表

[得点者]
ベルギー代表:メルテンス(47)、ルカク(69)、(75)


文/細江克弥

『ワールドサッカーキング』『ワールドサッカーグラフィック』などの編集部を経て、2009年にフリーのサッカーライター/編集者として独立。現在も本誌をはじめ、『Number』などさまざまな媒体に寄稿している。欧州からJリーグ、なでしこリーグまで、守備範囲は幅広い。

theWORLD203号 2018年6月19日配信の記事より転載

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