[ロシアW杯#31]失点してもあきらめない日本!  難敵セネガルに執念のドロー

ミスからの失点も、ペースを取り戻して乾がゴール

やはり持ってる! 後半投入の本田が貴重な同点弾を挙げた photo/Getty Images

セネガルは各選手の身体能力が高いだけではなく、攻守の組織がしっかりと整えられた好チームだ。この難敵との対戦を迎えて、西野監督は 「(セネガルは)弱点がなかなか見つからないので、頭のほうをしっかり整理しながら戦術を考えていかなければならない」と語っていた。また、「タテに速くてもフィジカル的にも強い相手なので、守備をオーガナイズしないといけない」と警戒していたのは吉田である。

いざキックオフされると、日本はサイドの攻防で苦境に立たされた。とくに右サイドのサール、ワグエの連携は脅威で、11分には先制点につながるクロスをワグエに許した。とはいえ、この失点は原口の判断ミス、 GK川島の中途半端なセーブによるもので、なんとももったいない失点だった。

ただ、1点をリードしたセネガルが前へのパワーを緩めたことで、その後は徐々に日本がポゼッションする展開に。柴崎、長谷部のサイドチェンジで相手を揺さぶり、酒井宏、長友の両SBが積極的に高い位置をとって攻撃参加するシーンが増えていった。迎えた34分、柴崎が左サイドに長いパスを出すと、走り込んだ長友がしっかりとトラップする。サポートにきた乾と入れ代わると、乾がお得意の角度から右足シュートを突き刺して同点とした。

大舞台に強い男の投入で日本、ふたたび同点に

乾の折り返しに合わせる本田圭佑。決して簡単なボールではなかったが冷静に流し込んだ photo/Getty Images

「勝ちきらないといけないというメッセージを送った」(西野監督)という後半も71分に失点し、またビハインドとなった。本来なら厳しい展開だが、この日のセネガルには油断があった。「勝てると思っていた。日本を甘くみることはできない。認めざるを得ない」とはマネであり、「われわれがリードしたが、集中力に欠けていたのかも。全力を尽くさず、自分たちのプレイができていなかった」とはシセ監督である。

この相手に対して、日本はしっかりと攻撃を仕掛けてふたたび同点とした。78分、岡崎が右サイドにパスを出し、受けた大迫がゴール前へクロスを入れる。このボールは逆サイドに流れたが、粘り強く追いかけた乾が拾ってゴール前へ折り返す。待ち受けていたのは、誰よりも大舞台に強い本田だった。左足で冷静にフィニッシュすると、W杯3大会連続、自身4点目となるゴールで試合を振り出しに戻した。

日本の抵抗にあって戸惑っているセネガルの状態を考えると、一気に勝ち越してしまいたいところだった。西野監督もそのための手を打ち、「タカシにワンチャンスくると思った」という考えのもとで宇佐美がピッチに送り出された。しかし、残り時間は少なく、同点のまま終了のホイッスルが鳴らされた。

「グループステージを2試合で勝ち上がるのは最高レベルの目標設定。それは叶わなかったが、3戦目へ有効な結果だった。まだ首位通過することを考えたい」(西野監督)  

相手がみせたスキを逃さず、日本は泥臭く勝点1をもぎとった。これで勝点4となったが、まだなにも決まっていないし、手にしていない。ひとつたしかなのは、しびれる3戦目を迎えるということだ。


[スコア]
日本代表 2-2 セネガル代表


[得点者]
日本代表:乾 貴士(34)、本田 圭佑(78)

セネガル代表:マネ(11)、ワグエ(71)


文/飯塚 健司
サッカー専門誌記者を経て、2000年に独立。日本代表を追い続け、W杯は98年より6大会連続取材中。日本スポーツプレス協会、国際スポーツプレス協会会員。サンケイスポーツで「飯塚健司の儲カルチョ」を連載中。美術検定3級。Twitterアカウント : scifo10

theWORLD209号 2018年6月25日配信の記事より転載

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