[ロシアW杯#48]熱すぎた消化試合! 40年ぶりの勝利目指したチュニジア、W杯初勝利を狙うパナマ 

最終節とは思えないハイテンションゲーム

最終節とは思えないハイテンションゲーム

スコアをひっくり返し、ゴール後に喜びを爆発させるチュニジアメンバー photo/Getty Images

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グループGは最終節を残して、グループリーグ突破か否かはすでに決まっていた。2強とされたイングランド代表とベルギー代表が決勝トーナメント進出を決めており、最終節は一部の主力を休ませながら首位通過の可能性を探っていく少し退屈なゲームだった。一方で、消化試合とされたチュニジア代表とパナマ代表の一戦は全くそうではなかった。

どちらも2敗しているため、グループステージ敗退がすでに決定している。しかし、ピッチにいる22人全員が勝利を求めてプレイしていた。チュニジアは1978年アルゼンチン大会以来となる勝利を、初出場のパナマは記念すべきW杯初勝利を。どちらも敗退が決まっているとは思えないほどテンションが高かった。

戦い方としてはチュニジアは前線のハズリを中心に細かくパスを繋いでいき、一方のパナマはボールを奪うと一気に縦へ加速する。序盤から攻守の切り替わりが激しく、この日行われた最終節の中では最も盛り上がるカードになったと言えるのではないか。それほど両チームは勝利のために全力でプレイしていた。
試合が動いたのは33分だった。パナマのホセ・ルイス・ロドリゲスがシュートを放つと、これがチュニジアDFの足に当たってコースが変わり、ボールはゴールに吸い込まれた。今大会何度か目にしているDFに当たってコースが変わるシュートが決まり、初勝利を目指すパナマが先制に成功した。

最終節でようやく見せれた自分たちのサッカー

最終節でようやく見せれた自分たちのサッカー

66分、左クロスをファーサイドへ走り込んだハズリが合わせ、ついにチュニジアが逆転に成功した photo/Getty Images

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チュニジアとしては嫌な展開となったが、後半に入ると状況は変化。ハズリ、スリティらを中心により一層パスが回るようになり、51分には右サイドに開いていたハズリのクロスにF・ベン・ユセフが合わせて同点に。完全にパナマ守備陣を崩したビューティフルな攻撃だった。

さらにその直後にもハズリがボールを運んで潰れ、こぼれ球を再びF・ベン・ユセフがシュート。これはGKがセーブしたが、チュニジアがゲームを支配し始める。66分には途中出場のバドリ、サイドバックのハダディのコンビネーションで左サイドを崩し、ハダディのクロスをファーサイドのハズリが押し込んで2‐1に。チュニジアが魅惑のパスサッカーで逆転に成功した。

縦に速いスピーディーなフットボールを見せたパナマ、パナマを上回るテクニックで華麗なるパスサッカーを披露したチュニジア。両チームともイングランド、ベルギーと同組だったため、ここまで自分たちの良さを十分に発揮できなかったのだろう。しかし、この最終節では自分たちのやりたいサッカーを存分に発揮してくれた。

試合はこのまま逃げ切ったチュニジアが2‐1で40年ぶりの勝利を手にしたが、パワープレイを仕掛けるなど最後まで勝利を目指したパナマの戦いも世界のサッカーファンの記憶にしっかりと刻まれたことだろう。もう一方では開幕前から大きな注目を集めていたベルギーとイングランドのビッグマッチが行われていたが、チュニジアとパナマのゲームの方が面白いと感じた者もいたはずだ。

[スコア]
パナマ代表 1–2 チュニジア代表

[得点者]
パナマ代表:メリアー(33、OG)
チュニジア代表:F・ベン・ユセフ(51)、ハズリ(66)

文/冨田 崇晃

theWORLD213号 2018年6月29日配信の記事より転載

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