[ロシアW杯#46]セネガル旋風、紙一重の差で終焉! 決勝Tへの切符をつかんだのはコロンビア

シセ采配が功を奏し、リズムをつかむセネガル

74分、キンテーロのCKをミナが叩きつけ、ついにコロンビアが待望の決勝点をゲット photo/Getty Images

“首位タイ”のセネガルは引き分け以上が、3位で3戦目を迎えたコロンビアは勝利が自力でのグループリーグ突破条件。勝たなくてはならない後者が、2戦目でポーランドを3-0と一蹴した勢いそのままに、キックオフから攻勢に出るだろう――。その見立ては外れ、主導権を握ったのはセネガルだった。3ラインの縦も横もコンパクトな[4-4-2]を敷き、コロンビアのビルドアップを妨げるべく、前線から積極的にボールを狩りに行く。中央を固く閉ざし、サイドに追いやったところで数的優位を確保。選手個々の高い身体能力が物を言い、球際の攻防も高確率で制していく。ケイタを左サイドハーフに配したシセ監督の采配もズバリ的中。抜群の速さと守備への献身性を兼備するこの俊英が攻守に精を出し、2戦目で大車輪の働きを見せたコロンビアのクアドラードを封じることに成功したのだ。

守備でリズムを掴んだセネガルは、 手数も出していく。ビッグチャンスが訪れたのは16分。PA内でボールを受けたマネがD・サンチェスに倒され、PKの笛が吹かれる。しかし、このシーンでVARが介入。主審自らがVTRを見直した結果、判定は覆ることに。気落ちしてもおかしくないジャッジとなったが、セネガルイレブンはその後も集中を切らさない。ゴールこそ割れなかったが、コロンビアのシュートをFKによる1本のみに抑える見事な試合運びを見せ、前半終了のホイッスルを聞いた。

苦しいのは明らかにコロンビア。 31分に頼みのハメスが負傷交代するアクシデントに見舞われ、エースのファルカオは前線で孤立している。前線でのプレスの強度を高めることで、後半は五分の展開に持ち込んだものの、攻撃の歯車が噛み合わない。残り20分を切ったタイミングでも、決定機を作り出すどころか、いまだシュート数は3本という状況だ。 ゴールの気配が、まるで漂ってこない……。

伏兵の一撃でコロンビアが流れを引き寄せる

後半はコロンビアGKオスピナが躍動。決定的なチャンスを何度も防いだ photo/Getty Images

この閉塞感を打破したのは、ファルカオでもクアドラードでもない。CBのミナだ。74分、キンテーロの狙いすましたCKに豪快なヘディングを合わせ、喉から手が出るほど欲しかった先制ゴールを叩き出したのだ。マンマークで守っていたセネガルとしては、クヤテの反応がわずかに遅れたことが命取りに。CK直前、 負傷でピッチ外に出ていたサバリに代え、ワグエを投入した際のインターバルも、セネガルの守りに一瞬の隙を生んだ要因になったかもしれない。

他会場の結果もあり、このままでは敗退が決まるセネガルは、ここから大黒柱のマネを中心に猛攻を仕掛ける。77分にはそのエースのパスに抜け出したニアングがフィニッシ ュ。しかし、この至近距離弾はオスピナに弾かれる。2分後には、やはりマネのお膳立てからサールがダイレクトボレーを試みるも、ジャストミートしない。そのミスを取り返すように、81分、サールが右サイドをごぼう抜き。ゴール前に鋭いクロスを送る。だが、このチャンスも中に絞っていたコロンビアの右SB、アリアスに間一髪のところで阻まれてしまう。結局、これが最後の同点チャンスとなり、ジ・エンド。16年ぶりに臨んだW杯は、フェアプレイポイント(イエローカード2枚の差)でグループリーグ敗退が決まる悔しい最後となった。

文/遠藤 孝輔


theWORLD213号 2018年6月29日配信の記事より転載

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