[ロシアW杯#64]フランス、20年ぶりのW杯制覇! 自慢の堅守速攻でクロアチア粉砕

攻勢に出たクロアチアだが、2つの判定に泣かされる 

攻勢に出たクロアチアだが、2つの判定に泣かされる 

ムバッペの快足を活かした速攻で強豪をなぎ倒し、頂点を極めたフランス代表の面々 photo/Getty Images

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世界一のチームとそうではないチームの間にはどんな差があるのか。立ち上がりから主導権を握り、自分たちのペースで攻めたのはクロアチアだった。しかし、フランスには「ならばこう戦おう」というカタチがしっかりとあり、鋭いカウンターに活路を見出した。

勝つチームには運も味方する。18分、劣勢のなかグリーズマンが相手陣内の右サイドで躓いて倒れたようにみえたが、レフェリーの判定はFKとなり、ここからマンジュキッチのオウンゴールで試合が動いた。フランスがワンチャンスを活かしたというより、クロアチアが最初のピンチに対処できず、自らビハインドを背負ったというゴールだった。

それでも、初の大舞台で気合十分のクロアチアには勢いがあり、28分にFKのルーズボールからペリシッチがゴールネットを揺らし、試合はすぐに振り出しに。キッカーのモドリッチがワンテンポ置いてボールを入れており、今大会で各国がみせたタイミングをずらしたセットプレイから生まれた同点ゴールだった。
ところが、勝つチームには運も味方することを裏付ける場面がふたたび訪れた。35分にCKを得て、グリーズマンがゴール前にボールを入れると、マテュイディがヘディングしたボールがペリシッチの手に当たる。受け止め方は人それぞれのプレイだったが、VARによってPKとなり、グリーズマンが決めてフランスが1点をリードした。

引き寄せるまでもなく向こうから訪れた流れであり、これを大舞台の経験がクロアチアよりも上のフランスが手放すはずがなかった。なにより、クロアチアが決勝トーナメントに入ってからの3試合で360分間戦っているのに対して、フランスは270分と両チームの間には1試合分の運動量の差があった。また、準決勝から中3日のクロアチアに対して、フランスは中4日。こうした条件の差が時間の経過とともに大きくなっていった。

フランスの速攻が炸裂 ポグバ&ムバッペが加点

フランスの速攻が炸裂 ポグバ&ムバッペが加点

65分にミドルシュートでゴールを陥れたムバッペ。10代の選手による決勝戦での得点は、1958年大会のペレ以来 photo/Getty Images

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59分、ポグバ→ムバッペ→グリーズマンとつないでカウンターを仕掛け、最後はポグバが左足シュートを決めて3-1。決勝戦を前に「まだ何も達成していないし、誇りにも感じていない。EURO2016の決勝では敗れているので同じミスはしない。子どもの頃からW杯の決勝でゴールすることを夢みてきた」と語っていたのはポグバであり、自身の夢を実現させるゴールとなった。

さらに65分、左サイドをエルナンデスが突破し、中央へ折り返す。これを受けたムバッペが軽快なステップから右足を振り抜き、優勝を決定づける4点目を奪った。その後GKロリスのミスで1失点を喫したが、もはや大勢に影響があるものではなかった。

今大会のフランスは常に試合巧者で、どんなときも強かだった。戦況を見極めてしっかりと流れを掴むとともに、掴んだ流れを渡さない力強さがあった。チーム全体に共通意識もあり、「個」が強いのはもちろん、「組織」としてもまとまっていて最後までバランスが崩れなかった。波乱が続出したロシアW杯を制したのは、安定感と破壊力を兼ね備えた柔軟性抜群のフランスだった。

[スコア]
フランス代表 4-2 クロアチア代表

[得点者]
フランス代表:OG(18)、グリーズマン(38)、ポグバ(59)、ムバッペ(65)

クロアチア代表:ペリシッチ(28)、マンジュキッチ(69)


文/飯塚 健司

サッカー専門誌記者を経て、2000年に独立。日本代表を追い続け、W杯は98年より6大会連続取材中。日本スポーツプレス協会、国際スポーツプレス協会会員。サンケイスポーツで「飯塚健司の儲カルチョ」を連載中。美術検定3級。Twitterアカウント : scifo10

theWORLD223号 2018年7月16日配信の記事より転載

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