[粕谷秀樹のメッタ斬り]どうする? ユナイテッドのCB問題

喫緊の課題はCBの強化

喫緊の課題はCBの強化

クリスタル・パレス戦で右足そけい部を負傷したリンデロフ photo/Getty Images

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隣の芝生は青く見えるどころか、まわりはどこもキラキラしている。だってそうでしょ。マンチェスター・シティのジョン・ストーンズとエメリック・ラポルトは、絶妙のフィードで攻撃の起点になる。トッテナム・ホットスパーのフアン・ホイスは急成長し、チェルシーのアントニオ・リュディガーもひと皮むけた。天性のスピードと優れた状況判断で幅広いエリアをカバーし、柔軟かつ強靭なフィジカルで一対一にもやたらと強い。そしてリヴァプールのフィルジル・ファン・ダイク。センターバックとして完璧で、彼の的確なコーチングはジョー・ゴメス、アンドリュー・ロバートソン、トレント・アレクサンダー・アーノルドといった若手DFの成長を促している。

じゃぁ、マンチェスター・ユナイテッドはどうなのよ!?

近ごろ、昔を懐かしんでばかりおりまする。リオ・ファーディナンド、ネマニャ・ヴィディッチ、ヤープ・スタム、スティーヴ・ブルース、ガリー・パリスター、ロニー・ヨンセン、ヘニング・ベルグ、さらに古くはマーティン・バッカン……。みんな一騎当千の強者だった。サポーターの信頼も絶大だった。
しかし、今シーズンはもどかしい。ジョゼ・モウリーニョ監督がバスを並べようとしても、欠陥車ばかりだ。クリス・スモーリングは楔すら入れられない。イングランド代表のガレス・サウスゲイト監督に、「フィードの意識があまりにも希薄」と指摘されたにもかかわらず、改善しようとする意欲すら感じられない。フィル・ジョーンズはケガが多すぎる。唯一の長所ともいうべき対人能力が陰り、第16節のフラム戦では稚拙な判断ミスも目立った。スモーリングは29歳、ジョーンズは26歳。ともに衰える年齢ではないんだけどなぁ……。

また、エリック・バイリーは第2節のブライトン戦でボールに食いつきすぎた後、なぜかモウリーニョ監督に干され、プレミアリーグの水にようやく馴染んできたヴィクトル・リンデロフは、第13節のクリスタル・パレス戦で右足そけい部を負傷。戦線離脱を余儀なくされた。さらにマルコス・ロホは、ケガとすっかり仲良くなった。あっ、スモーリングもフラム戦でどこかを痛めたよね。もはや壊滅状態。開幕以降、2CBは固定できず、クリーンシートもたったの2試合しかない。

冒頭に挙げた4チームに比べると、CBの質はやっぱり劣る。ナポリのカリドゥ・クリバリ、スパーズのトビー・アルデルヴァイレルト、レアル・マドリードのラファエル・ヴァランといった超一級品は無理だとしても、壊れにくい屈強のタイプだけは冬の市場で確保すべきだ。名より実を取って、ワトフォードのクリスティアン・カバセレを狙えないかな。あるいはモウリーニョ監督が、バイリーを信用すること。動けないネマニャ・マティッチを使い続けて、バイリーをあっさり見限るって人選は不公平じゃん。

とにかく、喫緊の課題はCBの強化でしょ。中盤のフィルター機能が失われているとはいえ、現状は脆すぎる。

文/粕谷秀樹

サッカージャーナリスト。特にプレミアリーグ関連情報には精通している。試合中継やテレビ番組での解説者としてもお馴染みで、独特の視点で繰り出される選手、チームへの評価と切れ味鋭い意見は特筆ものである。

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