昨年ヴィッセル神戸にやってきたMFアンドレス・イニエスタを筆頭に、現在のJリーグは外国人選手が1つのブームとなっている。世界的ビッグクラブでプレイしてきた選手もおり、Jリーグの注目度は一気に上がったと言っていい。近年は潤沢な資金を持つ中国のクラブにタレント力で後れをとる部分もあったが、今なら互角に渡り合えるだろう。それほどJリーグにやってきた外国人選手たちは豪華だ。
しかし、やってきた人数が多くて誰に注目すべきなのか分かりにくい部分もあるはず。Jリーグの新シーズンがスタートしたが、新加入の外国人選手から既存の外国人選手まで注目すべきタレントを紹介する。
1.ダビド・ビジャ&アンドレス・イニエスタ&ルーカス・ポドルスキ(ヴィッセル神戸)
今年からJリーグでプレイする選手の中で一番のビッグネームといえば元スペイン代表のビジャだ。EURO2008と2010南アフリカワールドカップではチームを優勝へ導くと同時に大会得点王も獲得。スペイン代表ですらビジャの後継者を見つけることができていないと言われるほどの点取り屋で、37歳となった今も得点力は高い。
2015年からはMLSのニューヨーク・シティFCでプレイしていたが、ここでもビジャは4シーズン全てで二桁得点を記録している。2016年には23得点、2017年には26得点を決めており、単なるネームバリューだけのベテラン選手ではない。今年のJリーグ得点王候補の1人と言っていいだろう。
バルセロナとスペイン代表でチームメイトだったイニエスタ、元ドイツ代表FWルーカス・ポドルスキとどんなコンビネーションを見せてくれるのか。ヴィッセル神戸は最も豪華な外国人集団だ。
2.フェルナンド・トーレス&イサーク・クエンカ (サガン鳥栖)
ビジャとスペイン代表でコンビを組んできたトーレスも得点王争いに加わってほしい選手の1人だ。元スペイン代表の点取り屋2人をJリーグで見られる日がくると予想していた人はほとんどいないだろう。
そのトーレスに加え、バルセロナでもプレイ経験のあるFWクエンカが加入。バルセロナのカンテラ出身者であるクエンカは2011年にトップチームでデビューを果たしており、当時チームを指揮していた名将ジョゼップ・グアルディオラも評価していたサイドアタッカーだ。
バルセロナを離れてからはデポルティーボ、トルコのブルサスポル、イスラエルのハポエル・ベエルシェバなどを渡り歩いており、大成功のキャリアとは言えないかもしれない。しかし当時のバルセロナのトップチームに引き上げられたことが素質の高さを証明している。サイドから仕掛けるクエンカと中で仕留めるトーレスがどんな絡みを見せてくれるのか注目が集まる。
また、鳥栖では新加入のクロアチア人DFコンビにも注目したい。クロアチアの世代別代表でプレイしてきた26歳のニノ・ガロヴィッチ、同じく世代別代表でプレイしてきたカルロ・ブルシッチだ。クロアチア人DF2人が揃うことになり、両者ともセンターバックを本職としている。2人で鳥栖の最終ラインを統率するなんてこともあるだろう。
3.レアンドロ・ダミアン(川崎フロンターレ)
王者・川崎に強力なアタッカーが加わった。16日に行われた浦和レッズとのゼロックススーパーカップではいきなり決勝点を記録していたが、インテルナシオナウやサントスなどブラジル国内リーグで長くプレイしてきたFWレアンドロ・ダミアンの能力は本物だ。ブラジルのA代表に長く定着することはできなかったが、2012年にはロンドン五輪で得点王も獲得している。
ポジション取りが巧みでクロスに合わせることもでき、柔らかい足元の技術でチャンスメイク役にも回ることが可能だ。J屈指の点取り屋である小林悠とともに得点量産のシナリオもあり得る。
4.レアンドロ・ペレイラ(松本山雅)
川崎のレアンドロに続いて松本山雅にやってきたレアンドロにも注目したい。190cmの高さを誇る大型ストライカーのペレイラは、ブラジルのシャペコエンセからやってきた27歳だ。
同じレアンドロではダミアンの方に話題を持っていかれているかもしれないが、レアンドロ・ペレイラは昨年のブラジル1部リーグで得点ランク5位となる11得点を記録している。松本山雅がチャンスボールを供給できれば、自慢の高さを活かして得点量産も可能だ。
ちなみに昨年ブラジル1部で得点王を獲得したのはインテルから古巣サントスにレンタル移籍しているFWガブリエウ・バルボサだ。そのバルボサが18得点、レアンドロ・ペレイラが11得点だったことを考えると、ペレイラの得点力は侮れない。
5.ジャエル(FC東京)
ジャエルもブラジル人FWだ。186cmのサイズを誇る30歳のジャエルは、フィジカルバトルに優れたストライカーだ。名門グレミオからやってきた選手で、こちらも大いに期待できる。
何より昨季FC東京では同じくパワーのあるFWディエゴ・オリヴェイラが活躍。スピードスターの永井謙佑とのコンビは強烈だった。ジャエルもオリヴェイラ級のパフォーマンスを見せてくれれば文句なしだろう。さらにFC東京は東京五輪世代のFW田川亨介も加えており、前線の層が厚くなった。外国人FW2人と田川ら日本人FWがどう絡むのか楽しみだ。
6.ジョー(名古屋グランパス)
昨季のJリーグ得点王も絶対に外せない。セレソン経験者でもあるジョーは昨季24得点を記録。今季からはチームの副主将も任されることになり、さらなる活躍が期待される。これまで紹介してきたレアンドロ・ペレイラやレアンドロ・ダミアンらブラジル人FWたちと得点王争いを繰り広げる可能性もあり、ブラジル人FWたちの熱い戦いは今季の1つのテーマと言っていい。
7.パトリック&ドウグラス・ヴィエイラ (サンフレッチェ広島)
得点王獲得とはならなかったが、大型FWパトリックも昨季は20得点を記録した。広島は昨季途中まで首位を走っていたが、その立役者こそパトリックだ。また今季は東京ヴェルディからやってきた大型FWドウグラス・ヴィエイラにも注目したい。昨季はJ2ながら13得点を記録し、J1参入プレーオフ2回戦の横浜FC戦で決勝点を記録したことも記憶に新しい。パトリックと同じ189cmのサイズを誇るため、大型外国人FW2人がどこまで得点を量産できるかがカギを握る。
8.マルコス・ジュニオール(横浜F・マリノス)
ここまでは大型FWが目立ったが、ブラジルのフルミネンセからやってきたマルコス・ジュニオールは167cmと小柄なアタッカーだ。26歳と若く、スピードはかなりのものがある。センターフォワードからウイングまでこなすことが可能で、両足でフィニッシュをこなせるところも興味深い。
またドラゴンボールが好きなようで、すでにクリリンなんて呼び名も出来ている。かめはめ波のセレブレーションが連発する展開となればマリノスにとっては理想的だろう。
9.ナ・サンホ(FC東京)
注目すべきは欧州、南米の助っ人だけではない。韓国人選手も見逃してはならない。FC東京には昨季2部ながら韓国の国内リーグで得点王、MVP、ベストイレブンを達成した22歳のFWナ・サンホが加入。スピードを武器としたアタッカーで、アジアカップを戦った韓国代表メンバーにも選ばれていた(負傷で離脱)。
FC東京の攻撃陣にはライバルも多いが、ナ・サンホもブレイクが期待できる実力者だ。ナ・サンホも乗ってくれば今季のFC東京は上位に食い込めるはずだ。
10.ファン・ウィジョ&キム・ヨングォン(ガンバ大阪)
ガンバの韓国人選手2人も注目だ。FWのファン・ウィジョは昨季16得点を挙げてチームの残留に大きく貢献したガンバのエースだ。韓国代表でも重宝されるほど得点力が高く、チームさえ軌道に乗れば得点王をも狙える実力者だ。
そのファン・ウィジョとともにアジアカップを戦っていた新加入DFキム・ヨングォンも貴重な新戦力だ。中国の広州恒大から加わった選手だが、すでに2010年からFC東京と大宮アルディージャでプレイした経験を持っている。韓国代表の最終ラインを束ねる存在としてロシアワールドカップ、アジアカップにも出場しており、計算できる実力者だ。攻撃のファン・ウィジョ、守備のキム・ヨングォンと韓国の助っ人2人がどこまで機能するかがガンバ上位進出のカギだ。
やはり前線に助っ人を加えたチームが多く、今季はこれまでと異なる得点王争いが展開されるはずだ。外国人選手がJリーグで期待通りの大暴れを見せるのか、それとも日本人選手がJリーグはそんなに甘くないと意地を見せるのか。いずれにしても今季のJリーグは面白い戦いが繰り広げられること間違いなしだ。