2008年にクリスティアーノ・ロナウドがバロンドールを受賞して以降、同賞はリオネル・メッシとロナウドの一騎打ち状態が10年続くことになった。2018年にルカ・モドリッチが獲得したことで変化が起きたが、メッシ&ロナウド時代に呑み込まれてしまった名手が数多くいたのだ。
英『Squawka』は「メッシとロナウド抜きなら、ここ10年で誰がバロンドールを獲ったか」という特集を組んでいる。まず最初は2008年、当時リヴァプールでプレイしていた現サガン鳥栖FWフェルナンド・トーレスだ。
2008年:フェルナンド・トーレス(リヴァプール)
トーレスはこのシーズンに33得点を記録しており、これはトーレスにとってキャリアハイの数字だ。トーレスとスティーブン・ジェラードを中心に組み立てられた当時のリヴァプールも今季に負けないほどの破壊力があり、2008-09シーズンにはリーグ制覇にも近づいた。またトーレスはスペイン代表の一員として2008年のEURO2008に出場し、決勝では優勝決定弾を記録している。当時のトーレスは紛れもなくワールドクラスの点取り屋だった。
2009年:シャビ・エルナンデス(バルセロナ)
2010年:アンドレス・イニエスタ(バルセロナ)
2011年:シャビ・エルナンデス(2回目)
2012年:アンドレス・イニエスタ(2回目)
ここからはジョゼップ・グアルディオラ率いるバルセロナが黄金期を迎えるため、クラブシーンではバルセロナがタイトルを量産することになる。といっても、それはメッシがいたからこそでもある。メッシがいなければ3冠達成などは難しかっただろう。メッシがバロンドールにふさわしかったのは間違いない。
しかし、2010年のイニエスタは受賞しても不思議はなかった。南アフリカワールドカップの決勝でスペインの優勝決定弾を決めたのはイニエスタで、ワールドカップでの活躍を考えるとイニエスタでも良かったはずだ。
2013年:フランク・リベリ(バイエルン)
2014年:マヌエル・ノイアー(バイエルン)
2013年、2014年とバイエルンから立て続けにバロンドール受賞者が出ていた可能性は十分にあった。バイエルンは2012-13シーズンに3冠を達成しており、リベリはそれに大きく貢献した。ただ、それでもバロンドールはロナウドが受賞した。得点数が不十分だったのだろうか。
そして2014年はノイアーだ。DFやGKといった守備の選手がバロンドールを獲得するのは難しいと言われてきたが、ノイアーもその壁に阻まれた1人だ。ブラジルワールドカップでのパフォーマンスはGKの概念をぶち破るものだったが、それでもバロンドールには届かなかった。GKがあれほど注目を浴びる大会も珍しかったはずだ。
2015年:ネイマール(バルセロナ)
2016年:アントワーヌ・グリーズマン(アトレティコ・マドリード)
2017年:ネイマール(バルセロナ)
そこからはリーガ・エスパニョーラでプレイしてきたアタッカー2人が続く。ネイマールはバルセロナでのタイトル獲得数こそ文句なしだったが、それはつまりメッシも同じだけのタイトルを獲得したということだ。メッシと同じチームでバロンドールを奪い取るのは不可能に近いミッションだ。それがパリ・サンジェルマン行きを決意した理由の1つとも言えるが、まだその悲願は達成できていない。
グリーズマンは全てが惜しかった。2015-16シーズンにはチャンピオンズリーグ準優勝、EURO2016も準優勝。しかも両方優勝したのはレアル・マドリード所属のポルトガル代表FWロナウドだった。直接対決での2連敗は致命的だ。仮にこの結果が逆になっていれば、グリーズマンがバロンドールに選ばれていたかもしれない。
同メディアがこうした特集を組んだのは、今年のバロンドールを巡る話題が熱を帯びているからだ。今季チャンピオンズリーグを制したリヴァプールからDFフィルジル・ファン・ダイクがふさわしいという意見も目立つが、ロナウドは先日のネーションズリーグ決勝でファン・ダイク擁するオランダを破って優勝を果たしている。また、ロナウドもメッシも国内リーグを制しており、タイトルの面で完璧な比較をするのは難しい。
昨年に続いてロナウド、メッシ以外から選ばれることになるのか。今年もバロンドールの結果を巡って様々な意見が出ることになりそうだ。