[粕谷秀樹]トッテナムは尻すぼみで消化不良気味に終わった プレミアリーグで13敗……負けすぎている

粕谷秀樹のメッタ斬り 012

粕谷秀樹のメッタ斬り 012

CL決勝でリヴァプール に敗れ、思わず天を仰ぐエースのケイン photo/Getty Images

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シティとリヴァプールにはダブルを食らった

最終5試合は1勝1分3敗。アーセナルとマンチェスター・ユナイテッドのガス欠に救われ、4位に滑り込んだといって差し支えない。しかも、優勝したマンチェスター・シティに27ポイント、2位リヴァプールにも26ポイントの大差をつけられ、両チームにはダブルを食らった。トップ6内の勝負も2勝1分7敗。チャンピオンズリーグの出場権を確保したとはいえ、リーグ全体では13敗。負けすぎじゃん。

結局は無冠に終わった。FAカップは4回戦で、リーグカップも準決勝で敗退。チャンピオンズリーグは準々決勝でマンチェスター・シティに、準決勝でアヤックスに奇跡的な勝利を収めたけれど、決勝ではリヴァプールにねじ伏せられたね。勝負の世界は勝ってナンボ。準優勝はもどかしすぎる。チャンピオンと違って、2~3年も経てば人々の記憶から消されていく。18-19シーズンのトッテナムは尻すぼみだったから、どこか消化不良気味ではあるんだよな。じゃぁ、原因はどこにあるのか……。

トッテナムの会長を務めるレヴィ氏 photo/Getty Images

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レヴィ会長には重大な責任がある

第一容疑者はダニエル・レヴィ会長だ。

「新スタジアムの建設にいくつかのトラブルが生じ、補強費を出せなかった」「成立寸前の交渉もあったが、最終段階で相手側の態度が変わった」などなど、いくつかの理由はある。でも、プラス・アルファなしでシーズンに挑むなんて普通ありえないでしょ。よそ様は少なからず増員しているわけだから、夏がダメなら冬にひとりくらいは獲れなかったのかねぇ。

また、新スタジアムの完成が大幅に遅れた。仮住まいは辛かっただろうな。ウェンブリーはキャパがデカいだけで、マウリシオ・ポチェッティーノ監督や選手たちにすれば、ホームアドバンテージを感じられるムードではなかったでしょ。このあたりの責任も、レヴィ会長にあるわけじゃん。業界屈指のやり手らしからぬ対応の拙さが目立ったね。

また、エリック・ダイアーも気を引き締め直す必要がある。ケガや虫垂炎などで、トップチームに定着した14-15シーズン以降では最低となるわずか20試合の出場に終わった。カッとしやすい性格も改善の余地がありすぎるくらいあって、一発レッドのリスクをつねにはらんでいた。ポチェッティーノ監督の評価も決して高くない。当然だよ、期待を裏切りまくったんだからさ。ダイアーの印象はかなり悪かったんじゃない? 序列って、一度落ちると挽回するまでに時間がかかるんだよなぁ。

18-19シーズンのトッテナムに合格点はあげられないな。彼らの完成度を踏まえると、もっとできたと思うんだ。だから新シーズンは……。ウーゴ・ロリス、ヤン・ヴェルトンゲン、トビー・アルデルヴァイレルトはピークを過ぎ、若手の突き上げもイマイチ感じられない。クリスティアン・エリクセンは「新しいチャレンジをしたい」と移籍を示唆し、レアル・マドリード行きが興味津々と伝えられている。さぁ大変だ! いろいろと難しくなるぞ。

文/粕谷秀樹

スポーツジャーナリスト。特にプレミアリーグ関連情報には精通している。試合中継やテレビ番組での解説者としてもお馴染みで、独特の視点で繰り出される選手、チームへの評価と切れ味鋭い意見は特筆ものである。

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