[西岡明彦]ビッグチャンスを掴んだウェールズの快速ウィンガー

ギグスも活躍を保証したダニエル・ジェイムズ photo/Getty Images

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ペップも「スピードは脅威」と太鼓判

 スウォンジーからマンチェスター・ユナイテッドに加入することが決まったウェールズ代表のウィンガー、ダニエル・ジェイムズ。突如現れた新星の出現は、大きな話題となっています。

 少年時代にコーチを務めていたマット・シンプソンは、「蜜を求めて動き回るミツバチのようだった」と、彼のプレイを振り返り「6歳の段階で彼の俊敏性は、父兄の間でも話題になっていた」とのこと。12歳から16歳まで、ダニエルはフットボールと並行してクリケットにも熱中していましたが、自らのスピードを活かすために1つの競技に専念する決断をしました。

 9歳から7年間在籍したハルシティのアカデミー時代には、遠征などの影響で学校の授業に出られない日も増えてきたそうです。その度に、担任の先生が自宅に宿題を郵送して学習するよう促していたのですが、全ての宿題を期日までにしっかり済ませて提出していたそうです。勉学を疎かにしないという教育熱心な両親の影響は、彼の人間性や知性に繋がりました。
 今年3月にFA杯準々決勝で対戦したマンチェスター・シティのペップ・グアルディオラ監督は、「信じられないほど速い」と彼のスピードを脅威と話し、ウェールズ代表監督を務めるライアン・ギグスは、「ユナイテッドのようなビッグクラブに移籍すると、相当なハイパフォーマンスが求められる。しかし、ダニエルは才能があるし、色々なポジションでプレイできる柔軟性もある。やってくれるだろう」と、自らの古巣クラブでの活躍を保証しました。

 今夏、姉のハナが結婚することが決まり、ジェイムズ家にとって最高の時を過ごすはずでした。ところが悲劇が起こります。先月、父のケヴァンさんが60歳にして突然亡くなってしまったのです。ユナイテッド移籍という喜びやオールド・トラッフォードで赤いユニフォームを身にまとってピッチに立つ息子の勇姿を観ることもなく……。

 5年契約をしたオーレ・グンナー・スールシャール監督にとって1人目の補強選手となったダニエル。昨季スウォンジーで38試合5得点と活躍したことで、大きなチャンスを掴むことに成功しました。イングランド生まれのダニエルですが、フル代表を選択したウェールズは父ケヴァンさんが南ウェールズ出身であることに起因します。ピッチ狭しと縦横無尽に動き回るダニエル・ジェイムズの活躍に期待しています。

西岡明彦:プレミアリーグ、セリエA、UEFAチャンピオンズリーグ、Jリーグなど国内外のフットボール中継で実況を務めるほか、『Foot!』などの(情報番組のMCとしても活躍中。2009年に、これまでの経験やプレミアリーグの知識を盛り込んだ『プレミア最強ガイド』(講談社)
を発表した

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