天才司令塔の兄を持つ苦悩 弟が掴んだ”もう1つのW杯”「常にトニと比較を」

トニ・クロースの弟フェリックス・クロース photo/Getty Images

兄のキャリアとは異なるが……

自分の兄がレアル・マドリードで圧巻のパフォーマンスを見せ、代表ではワールドカップまで獲得。そんな兄の姿を見せられると、弟は焦りを覚えるものだ。偉大すぎる兄との比較に苦しむことも多いだろう。

今回独『SPOX』が取り上げたのは、ドイツ代表MFトニ・クロースの弟であるフェリックス・クロースだ。フェリックスは現在28歳となったが、これまでビッグクラブに所属した経験はない。ワールドカップでのプレイ経験もなく、チャンピオンズリーグやワールドカップを獲得してきた兄に比べると地味なキャリアに映る。

フェリックスも兄クロースとの比較には苦しんできたようで、受け入れるのに少し時間がかかったのだろう。しかし、フェリックスには自分なりの目標がある。その目標とは所属するウニオン・ベルリンをブンデスリーガ1部に昇格させることで、ついに昨季その悲願を叶えたのだ。フェリックスにとって、ウニオン・ベルリンの昇格はワールドカップ制覇と同じくらいの価値がある。

「僕は自分のキャリアに誇りを持っている。ウニオン・ベルリンの昇格は僕の中でのワールドカップ優勝なのさ。僕にとっては同じ価値だ。もちろん兄との比較はタフだった。それはくぐり抜けないといけないものだった。トニとは比較できないよ。兄がキャリアで達成してきたものには、誰も対抗できない。常にトニとのアンフェアな比較を目にしてきたけど、それは自然と起こるものなんだと理解したんだ。僕は3年半にわたってウニオン・ベルリン昇格のために戦ってきた。今はその成果としてブンデスリーガ1部でプレイできることを楽しみたいね」

ウニオン・ベルリンは5月に行われたシュツットガルトとの1部2部入れ替えプレーオフに勝利し、昇格の権利を勝ち取った。バイエルンやレアルでプレイしてきた兄トニ・クロースが昇格を目指して戦うようなことはなかったが、それでもフェリックスは自身が勝ち取った成果に誇りを抱いている。兄とは異なるキャリアだが、フェリックスにはフェリックスのワールドカップがあるのだ。

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