ベルギーのスポルティング・ロケレンに期限付き移籍することになったMF天野純(横浜F・マリノス)が、今回の決断に至った経緯を語った。
天野は6日に行われた明治安田生命J1リーグ第18節(大分トリニータ戦)にフル出場。前半1分に惜しいミドルシュートを放ったほか、その後も鋭い縦パスで自軍の攻撃を牽引。F・マリノスの1-0での勝利に貢献した。
同選手はミックスゾーンで報道陣の囲み取材に応じ、大分戦を総括。そのうえで今回移籍を決断するにあたり、体調が崩れるほど悩み抜いたことを明かした。
「(今季の)リーグ前半戦では大分に負けていたので、今日は借りを返そうという思いでプレイしました。今日が(移籍前)最後の試合でしたし、全て出し切ろうという思いで試合に入ったので、最後までその思いが体を動かしてくれて良かったです。みんなも出足が速かったし、体も動いていたので、こういう試合を毎回やれば間違いなくタイトルに近づけると思うんで、僕はベルギーに行ってしまいますけど、(みんなには)監督のサッカーを信じて続けてやってほしいなと思います」
「(移籍するかどうかについて)何ヶ月も悩みました。めちゃめちゃ腹を下しながら考えていた時もありましたし、昨日も緊張しすぎて腹を下して、ご飯を食べれなくて今日の試合を迎えたので不安もあったんですけど、勝てて良かったです。そのくらい悩み抜いて下した決断なので、そこは(みんなに)分かってほしいなと思います」
「(昨年9月に)代表に初選出された時に、海外組が放つ余裕だったり、自信がみなぎっている様子を見て、これは一味違うなと思いました。これはJリーグのレベルがどうこうという事じゃなくて、(自分が)海外に行かないと分からないことだなと痛感しましたし、この時の思いというのが今回の移籍を加速させたという部分は大きいですね」
「自分が海外移籍するまでの選手になれるとは(プロキャリアがスタートした)6年前は想像がつかなかったですし、これは一歩一歩積み上げてきたものだと思うので、海外でも一つひとつ積み上げて、活躍して、いつかまたマリノスに帰ってきた時にその経験を還元していきたいです。(今季はプレイするにあたり)色々と考えすぎていた部分もありましたし、自分のなかで停滞感を感じていた部分もあるので、『何かを変えないといけない』とずっと思っていました。このタイミングでベルギーからオファーが来て、この話に乗らない手はなかったですし、行かないで後悔したくはなかったので。そんな思いで移籍を決断しました」
また、天野はこの囲み取材のなかで『theWORLD』の質問にも答え、今後の抱負などを語ってくれた。
─ご自身のどのような所に“停滞感”を感じていたのでしょうか。
天野 「数年前まで感じていたような成長(が最近感じられなくなった)と言うか、『もう一皮剥けるべきだけどそれができていない』と言うか、成長速度が遅くなったというのを凄く感じていて、何かを変えないといけないなと今シーズンずっと考えていました」
─具体的にどのようなプレイができるようになりたいとお思いになられたのですか。
天野 「もっともっと相手にとって危険な選手になることと、もっと前(敵陣ゴール前)で違いを作れるようになりたいです。そういったプレイが本来の自分の持ち味だと思っているので、まだ27歳という表現が合っているのかは分からないですけど、今が一番脂が乗っている時期だと思いますし、その時に安全牌な(無難な)プレイをしているんじゃなくて、もっともっと危険な選手、(周りの人にとって)見ていて楽しい選手になりたいので、ベルギーではそういった自分を見せていきたいなと思います。海外では(目に見える)結果が求められると思うので、自分にはそこが足りていませんし、個の力をもっともっと伸ばさないといけないとも思っているので、(とにかく)結果にフォーカスしてやっていきたいです」
─ベルギーリーグの各クラブのプレイスタイルについてはどのような印象をお持ちですか。
天野 「僕が行くロケレンというチームはしっかり後ろからボールを繋ぐスタイルをとっていますし、(ボールが常に)自分の頭を越えるようなサッカーではないという印象も受けたので、自分(のプレイスタイル)が活きるかなと思って移籍を決断しました」
─ご自身としてはトップ下でプレイしたいですか。
天野 「そうですね。本音を言えばトップ下でプレイしたいです」
昨年は[4-3-3]の布陣のインサイドハーフで起用されることが多く、思い切りの良いミドルシュートや敵陣ペナルティエリアへの果敢な侵入でF・マリノスの攻撃にアクセントを加えていた天野だが、今季はボランチに入ることが増え、自陣後方でパスを捌きながら相手MFを引き出すという役割を主に担っていた。今季前半戦ではアンジェ・ポステコグルー監督によるボランチ起用に応え、中盤の底で丁寧かつ正確にパスを散らしていたものの、天野としては本来の持ち味であるドリブル突破やミドルシュートなどのフィニッシュワークにより磨きをかけたいという思いや、よりフィニッシュに絡めるポジションでプレイしたいという願望が強まっていたのだろう。不退転の覚悟で海外移籍を決断した同選手だが、異国の地でどれほど成長できるだろうか。
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