14日に明治安田生命J1リーグ第19節が行われ、FC東京と川崎フロンターレが対戦した。
優勝争いを繰り広げている上位対決ということもあり、 4万人以上の人々がスタジアムへ足を運んだ今季2度目の多摩川クラシコは、アウェイの川崎が試合を終始支配。20分にFW小林悠が先制点を奪うと、54分にMF齋藤学、69分にMF阿部浩之が追加点をゲットした。守ってはDF谷口彰悟を中心に、今季ゴールを量産してきたFC東京の強力な2トップを完璧に抑え込んだ。この結果、3位の川崎が3-0で首位のFC東京に快勝し、1試合少ないながら勝ち点差を「4」まで縮めている。
この試合で川崎のボランチとしてスタメン起用され、攻守にわたって大きな存在感を発揮し、勝利に大きく貢献した期待の若手MF田中碧。試合後のインタビューに応じてくれた。
まず、FC東京戦を「ここ最近の試合ではやっぱりどうしても相手を見ながら、敵の様子をうかがいながら守備をしたり、攻撃をしたりしてしまっていた。まずは攻守で圧倒するじゃないですけど、もっと自分たちからアクションして、ゲームを進めるというのは意識していました。そういう意味では、守備に関してはピンチが少なく、圧倒できていたと思います。攻撃に関しても中を固められている中であえて中にいったりとか、セットプレイもそうですし、ポイントポイントで取るべき選手がゴールを奪えたので、うまくゲームを進めることができたと思います」と振り返った。
そして「やっぱり練習のときから結構気持ちも入っていましたし、去年の良さじゃないですけど、前から奪ってショートカウンターへつなげるシーンが何回か出すことができた。一人一人ハードワークして、連動してうまくゲームを進められました。これだけ攻守で圧倒できた試合というのは、なかなか今シーズンはなかったと思います。やっていても相手がボールを取りに来るのが嫌になるくらい(ボールを)回せたので、本当にやりたいことがやれたのかなと思いました」や「相手はボールを奪いに来るとき人に結構ついてくるので、スペースに誰か入ったりとか、3人目を使ったりとか、うまく相手を見ながらボールを運べたのかなと思います」と語っている。
これまでチームを支えてきたMF大島僚太とMF守田英正の欠場により、下田北斗とリーグ戦で初めてボランチのコンビを組んだ。このことについては「基本的にはチャレンジ&カバーを徹底してやることだったり、攻撃においては常にお互い顔を出し続けたりするのを心がけていました。お互いに気持ちよくプレイすることができたかなと思います」と話した。
ボールの奪取力やカバーリングの広さ、リズムを作るパスなど、陰のマン・オブ・ザ・マッチといっても過言ではない活躍を披露した田中。強靭なフィジカルを誇るD・オリヴェイラにあたり負けない強さも垣間見れた。試合を重ねるごとに増す凄み、急成長を見せているが、彼は決して満足してはいない。「上位対決の多摩川クラシコ、これだけの観客のみなさんが入った試合は人生の中でもなかなかない。その中で自分らしさは出せたかなと思います。ただ、もっともっと欲を言えば、最後の質の部分だったり、ボールを奪い切るところだったり、そいうい所の精度だったりはこのレベルでまだまだ通用していない部分がたくさんあった。そこの部分を突き詰めながら、よりもっと個人として怖い選手になれるよう頑張らないといけないなと感じました」と明かしている。
ポジション争いが激しい川崎のボランチということもあり、「ただ試合に出て勝つだけじゃ、ポジションを勝ち取ることはできないと思いますし、いかに試合に出て結果を残せるか。怪我人もそうですし、ベンチの選手も、ベンチ外の選手も素晴らしい選手がたくさんいるので、1試合1試合が個人としても気を抜けない。違いを見せ続けないと試合に出られない環境」とも述べた。その上で「同じチームにいる守田くんだったり、僚太くんだったりは常にお手本にしていますし、そういう選手を越えないと日本代表、A代表というのは見えてこないと思います。そういう選手たちを越えてスタメンを取れるぐらいの力をつけないといけないのかなと思います」と日本代表への思いなども口にしている。
今季大ブレイクを果たしている田中。ピッチで堂々としたプレイを披露しているが、まだ弱冠20歳であり、今後のさらなる成長と飛躍に期待がかかる。この勢いで結果を残し続けることができれば、来年の東京オリンピック、そしてその先のA代表も十分に狙える逸材だ。