[MIXゾーン]攻守に躍動した川崎の“バットマン”田中碧 「新しいものを掴み始めたのかな」

広島戦で先制ゴールをあげた田中碧 photo/Getty Images

フェイスガードは「良い勉強」

2日、等々力陸上競技場で行われたJ1第30節川崎フロンターレ対サンフレッチェ広島の一戦。川崎は前半に1点を先制したのち、後半に追いつかれるも最終的にはDFマギーニョが84分に広島を再度突き放す決勝ゴールを決め2-1と勝利。勝ち点3を手中に収めた。

その中でひときわ輝いていた21歳がいる。川崎のU-22日本代表MF田中碧だ。田中はこの試合、第29節ガンバ大阪戦で鼻骨を骨折した影響でフェイスガードを装着しながらのプレイとなったものの躍動。21分には豪快なミドルシュートでゴールネットを揺らし、チームに貴重な先制点もたらした。10月14日に行われたU-22日本代表の国際親善試合・U-22ブラジル代表戦でもサッカー王国相手にミドル2発をお見舞いした田中。この試合でも意識していたのだろうか。

「いや、意識というか、僕はもともと打つタイプというより、(ミドルシュートが)入るとは思ってない人間だったので。打つことに対して抵抗というか、相手ボールになるということでは“自分たちのボールを捨てる”と考えていたんです。だけど、ブラジル戦で決めてから比較的考えは変わったというか、毎試合毎試合それで決めるというよりは少しスペースがあったら打つっていうのはアリなのかなって。そういう意味では今日の試合も自分の前にスペースができましたし、あれだけ相手が(自陣に)引いている中では、打つことが大事かなと思ったので。それが結果的にゴールにつながったので自分の中では新しいものを掴み始めたのかなって感じですね」

以前までの自分であればシュートを打ったかはわからないと語った田中。では、意識が変わったことで掴み始めた“新しいもの”とは何か。まず考えられるのは具体的な技術面での進歩だが、どうやら田中はシュートを打つ前の段階の話をしていたようだ。

「技術的にもそうですし、チームの雰囲気だったり、いつ打つのかっていう。打てばいいって話じゃないですし、ミドルシュートはそんなに入るものではないです。チームの状況だったり流れも含めて打つタイミングっていうのは自分の中でも掴み始めています。なので、その時に自分が思い切って打てればいいかなっていうのはありますね」

ミドルシュートを打つタイミングを心得始めた田中。対戦相手が自陣に引く戦術をとる事が多い川崎において、エリア外から放つミドルシュートは有効な武器だ。今後チームが攻撃に行き詰まった際には、この21歳が新たに手に入れた飛び道具で閉塞した状況を打開してくれることだろう。続けて、田中はこの日装着したフェイスガードについても言及した。

「もちろんやりづらいですし、見えない部分もたくさんあります。なかなか難しいですけど、ただそれを言い訳にしたくないですし、見えないからミスするっていうのもおかしな話だと思います。なので、僕は見えないなりに(周囲を)見る回数だったり、首を振る回数を増やさなきゃいけないなと思います。もちろん難しいっていうのはわかってますし、まだ慣れていない部分もありますけど、ただ自分の中では良い勉強というか、もっと見る回数を増やせれば(フェイスガードを)取った時にもっと楽にプレイができると思います」

やはり、まだまだ慣れない部分もあるようだ。とはいえ、38分には広島FWドウグラス・ヴィエイラの決定的なクロスをフェイスガードなどおかまいなしに頭でクリアし、チームの窮地を救った。このプレイ直後にうずくまるシーンもあったが、頭からボールに飛び込む際に恐怖はなかったという。

「むしろ来いって思ってました。俺がピンチを救えるって思いながら(笑)。そしたら来てくれたんで、よかったかなと」

気迫溢れるプレイで攻守に躍動した田中。頼れる21歳は今後も川崎の中盤になくてはならない存在だ。

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