闘莉王、引退会見全文① サッカーと真剣に向き合った“闘将”のピッチとの別れ

日本サッカーを牽引してきた闘莉王 photo/Getty Images

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1日、京都サンガF.C.に所属する元日本代表DF田中マルクス闘莉王が都内で記者会見を行い、今季限りで現役を引退することを発表した。これまで熱い魂で日本サッカー界を牽引してきた闘将が、会見で現在の心境や19年間のプロ生活などを振り返っている。

質疑応答など、コメントは以下のとおり

「みなさん、こんにちは。本日、たくさんの方々に来ていただき、ありがとうございます。今日をもちまして、あっという間の19年間のプロ生活を引退します。たくさんの人たちが、ファンが、サポーターが、こんなしょうもない人間を支えてくれて、感謝の気持ちで心から胸がいっぱいです。本当にありがとうございます」

ーー最後まで見せたファイティングスピリット。最終節で負傷してしまいましたが、怪我の具合は?


「まさかの最終戦で、救急車に乗るとは思わなかったです。最後の最後まで自分らしいなと思いました。やっぱり、この頭だけで何針縫ったんだろうと。数え切れないほどの怪我がある中で、最後の最後だけは少しでもキレイな顔で出てこようと思ったんですけど、やっぱ神様は自分らしい姿でやってこいとね、そういうメッセージだったと思います」

ーー最初の紹介映像には10代の頃の初々しい姿もあったが


「大昔に、少しでもカワイイ映像が残っている。少しホッとしています」

--引退を決断した経緯とは?


「(サンフレッチェ広島に)入団した当時、『今までにないDF』、守ことだけではなく、攻めることをずっと意識してやってきました。自分の中に一個決めてたものがあって……。いつか、自分の中で燃えている心の炎が少しでも消えかかりそうになったら、どんな時であれ、歳も関係なく、引退しようと。サッカーに対しては失礼なことがないようにやっていかなければいけないかなとずっと自分で決めていました。去年の終わり頃に少しそれを感じて、やっぱり引退しなきゃいけないかなと。最後の1年は、今まで敵として戦ってきた相手チームのサポーターにも挨拶したいなと。サッカーは当然ですが、少しでも感謝の気持ちを伝えたかったので、今年は最後のシーズンにしようと。そのちょっと消えかかってた炎を最後のエネルギーに変えて1年やりました。去年の終わりぐらいから(引退は)決めていました」

PK戦の末にパラグアイに敗れ、ピッチに倒れ込む闘莉王 photo/Getty Images

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――2003年の水戸ホーリーホック時代に日本国籍を取得したが、「闘莉王」の名に込めた想いは?


「カタカナから漢字になる。決めたのはやっぱ、自分の心がもうブラジルではなく日本人の心になっているんだな、そういう風に感じて(日本)国籍を獲得することにしました。日の丸に対する想い、今まで支えてくれた人たちに対する想い、日本に恩返しをするその一心で国籍を変えました。インパクトを残さないといけないなと思って、今振り返ってみればピッタリの漢字だったんじゃないかなと思います」

ーープロ生活で最も印象に残っている瞬間や試合は?


「(2010年南アフリカ)W杯のパラグアイ戦のコマ(駒野友一)ちゃんが、PKを外した瞬間は凄く印象に残っている。次のキッカーが自分だったということもあって……。自分のところまで回ってきたら、どうだったんだろうなと。それも神様の自分に対する嫌がらせかなと。外すんだったら自分でも良かったんじゃないかなと。あの蹴れなかったことでどれだけ眠れない夜を過ごしたか。あのPKで、こんなゴールを決めたいと、こんなキックをしたいと思ったのは今までにはありませんでした。やっぱりあの瞬間で『…』となったのがすごく印象に残っています。あんだけPKを外していたにもかかわらず、岡田さんが『お前蹴るぞ!』と言っていただき、疲れていたのか、ボーとしていたのか、よくわかりませんけど、(岡田監督に)すぐに『はい!』と言ってしまった自分がどうかしていたんじゃないかなと。でも結末を見れずに終わってしまったあの瞬間がやっぱり印象的ですね」

ーープロ生活で一番誇りに思っていること


「サッカーのすばらしさっていうのはグラウンドの中もそうですし、試合に関しては一瞬も一秒も手を抜くことなく、全力で気合を入れてやってきたことを誇りに思います。時には頭が割れていても、筋肉が離れていても、鼻が折れていても、ピッチに戻ろうとした。その気持ちは誇りに思います。あとその全力姿勢で、たくさんの素晴らしい仲間に出会えたことも誇りに思います。

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