予想とはなかなか当たらないものだ。2012年の6月に米『Bleacher Report』が「2020年のベストプレイヤーTOP10」と題した特集を組んでおり、2012年時点でスーパースターへ成長するであろう選手たちを予想した。
この予想から7年半が経って2020年を迎えたが、あまりに的外れだと注目を集めているのだ。再びスポットを当てたのは英『Sportbible』だが、確かに今考えると奇妙なトップ10になっている。
10位:ママドゥ・サコ
これが最大の衝撃かもしれないが、2012年当時パリ・サンジェルマンにいたサコが将来的なワールドクラスDFへ成長すると予想されていたのだ。確かにサコは17歳でデビューを果たし、リーグ・アン年間最優秀若手選手に選ばれるなど派手なスタートだった。2020年には30歳を迎えるため、実力と経験の両方で世界トップクラスになっていると予想されたのだ。
しかしサコはリヴァプールに移籍した2013年あたりから大苦戦。同メディアはリーダーシップ、デュエルの強さなどを評価していたようだが、現在クリスタル・パレスでプレイするサコをワールドクラスと呼ぶのは難しい。
9位:アレックス・オックスレイド・チェンバレン
チェンバレンも2011年夏にアーセナルへ移籍し、チャンピオンズリーグでのイングランド人史上最年少得点記録を出すなどスタートが派手だった。才能は間違いなかったが、その後は怪我にも苦しんだ。今も実力は確かだが、世界トップ10に含めるのはさすがに難しいだろう。
8位:マリオ・バロテッリ
「ワールドクラスのストライカーになるために必要なスキルを全て備えている」
同メディアは当時バロテッリをこう評している。パワー、テクニック、得点感覚など、この評価も間違いではない。しかし、あまりにもキャリアに波がありすぎる。好不調の差が激しく、ビッグクラブでポジションを守っていくには不安定だ。年齢を重ねても落ち着かない部分もあり、コントロールするのが難しい選手のまま成長してしまった。
7位:ジャック・ウィルシャー
2010-11シーズンのチャンピオンズリーグ・バルセロナ戦にて、ウィルシャーは極上の輝きを放った。バルセロナのプレスを次々とかわし、圧巻のテクニックでチャンスメイクを連発したのだ。この活躍に世界が驚き、ウィルシャーは次代のイングランドサッカー界を背負う存在になると期待された。
しかし怪我が続き、この特集が組まれた直後のEURO2012も欠場。現在も怪我の問題は続いている。
6位:ルーカス・モウラ
この特集から2か月後、ルーカスはサンパウロからパリ・サンジェルマンへの移籍を果たした。当時はブラジル国内でもトップクラスの若きタレントと評価され、欧州での大爆発が期待されていたのだ。
2011年時点でブラジル代表の一員としてプレイしていたため、2014ブラジルワールドカップにも召集されるかと思われた。しかしメンバーから漏れ、パリでも徐々に影が薄くなってしまった。現在はトッテナムで奮闘しているが、さすがにTOP10には入れられない。
5位:クリスティアン・エリクセン
ルーカスに続いてトッテナム組だ。エリクセンは2010南アフリカワールドカップにもデンマーク代表として出場しており、このリストの中でもかなり出世が早い選手だった。その後もアヤックスでエールディヴィジを3度制覇し、2013年にはトッテナムへ。順調なステップアップだったが、その先が続いていない。2020年時点で世界トップ5とは言えないだろう。
4位:チアゴ・アルカンタラ
「EURO2020が開催される時、チアゴがスペイン代表を引っ張る存在だったとしても驚かないように」と同メディアは伝えていた。間違いではないが、恐らくはもっとビッグな選手になると想像していたはず。
それもバイエルンの選手としてではなく、バルセロナの選手としてだ。シャビ・エルナンデスの後継者になるはずだったが、2013年夏にバイエルンへ移籍。巧みなゲームメイカーなのは間違いないが、全盛期のシャビほどの評価は得ていない。
3位:エデン・アザール
これは間違った評価でもないだろう。この特集が組まれる直前にアザールはチェルシーへの移籍を果たしており、チェルシーでも圧巻のパフォーマンスを披露した。現世界ベスト3かは分からないが、昨夏にはレアル・マドリードへ移籍するなどステップアップは果たしている。世界屈指の突破力も誇っており、ベルギー代表としてEURO2020を制すれば同メディアの予想通りの活躍と言っていいだろう。
2位:マリオ・ゲッツェ
「8年後にこのリストの中からゲッツェが世界最高のプレイヤーになったとしても驚かないように」と伝えられているが、ゲッツェの場合は想像以上に花開くのが早かった印象だ。
ドルトムントで急激に成長し、2014ブラジルワールドカップではドイツ代表を優勝へ導く決勝弾も記録した。しかしその後は代謝異常も発覚するなどトラブルもあり、ドイツ代表に入れない日々が続いている。
1位:ネイマール
当時サントスでプレイしていたネイマールも有名な存在で、1年後にはバルセロナへ移籍。メッシ、スアレスとMSNトリオを形成し、チャンピオンズリーグ制覇も経験した。盤石なキャリアだったが、パリ・サンジェルマンへ移籍してからは問題続きだ。自国開催のワールドカップでも優勝は果たせず、メッシやクリスティアーノ・ロナウドの領域には達していない。
パリではキリアン・ムバッペの方が高い評価を得ており、次期バロンドール争いでもリードを許している印象だ。27歳の年齢を考えれば挽回は可能だが、現時点では同メディアの予想通りとはなっていない。
8年前はムバッペ、ジェイドン・サンチョ、フィルジル・ファン・ダイクらの登場も予想することはできず、8年前の予想は大きく外れたと言っていい。今もメッシとロナウドが主役であることに変わりはなく、2012年時点で2人の時代が続いていることを予想するのも難しかったか。
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