[西岡明彦]若きスピードスター争奪戦、勝つのはどのビッグクラブ?

プレミア最強ガイド 061

ロンドン出身のサンチョ。カラム・ハドソン・オドイやエイブラハムなどの若きイングランド代表との共演も見てみたい photo/Getty Images

補強禁止処分軽減のチェルシーも参戦か

 新年を迎えると同時に始まる冬の移籍市場。すでに水面下でクラブとエージェントによる事前交渉が行われている状況ですが、1人のイングランド代表を巡る争奪戦が熱を帯びてきました。

 ドルトムントに所属するMFジェイドン・サンチョ、19歳。今季のブンデスリーガ12試合に出場して7得点7アシストの大活躍に加え、9月の代表戦でもゴールを記録。類まれなスピードで相手守備陣を翻弄する将来性豊かなタレントにビッグクラブが揃って興味を示しています。マンチェスター・ユナイテッド、リヴァプール、バルセロナ、そしてレアル・マドリードなど。そのなかでもユナイテッドのオーレ・グンナー・スールシャール監督は今夏にもドルトムント側に獲得の意思を通達したものの、最低でも1億ポンドの違約金を提示しなければ交渉の余地はないと破談した経緯があり、再挑戦する構えを見せています。

 さらにこの1月の移籍期間中に、このスピードスター獲得競争に参戦しそうなクラブが出てきました。チェルシーです。18歳未満の選手の海外移籍に関する規約に反したとして、FIFAから2度の移籍期間での選手補強活動を禁止されていたチェルシーでしたが、スポーツ仲裁裁判所がクラブの訴えを認めたため処分が軽減、来年1月の選手補強が可能となりました。フランク・ランパード監督は同年代のカラム・ハドソン・オドイとサンチョの共演は可能と判断、獲得に乗り出す準備を進めていると英国内各メディアで報じられています。

 一方のサンチョは自身のステップアップが近いことを察しているのか、相応しくない行動も散見するようになってきました。先月27日に行われたバルセロナとのチャンピオンズリーグ・グループステージ第5節。サンチョはベンチスタートでした。試合後にルシアン・ファブレ監督は、「相手を警戒し、ピッチで戦える11人を送り出した」と、先発落ちの理由を明かしませんでしたが、実は試合前のチームミーティングに遅刻していたことが判明しました。これまでにも何度か遅刻し罰則を受けたことがあったサンチョですが、今回の騒動は単に時間にルーズであるだけでなく、指揮官との信頼関係に亀裂が入っているのでは、との憶測を呼びました。

 1億ポンドを超えるサンチョ争奪戦、この冬の大きな話題になることは間違いありません。

文/西岡 明彦

※theWORLD(ザ・ワールド)240号、2019年12月15日発売の記事より転載

西岡明彦:プレミアリーグ、セリエA、UEFAチャンピオンズリーグ、Jリーグなど国内外のフットボール中継で実況を務めるほか、『Foot!』などの情報番組のMCとしても活躍中。2009年に、これまでの経験やプレミアリーグの知識を盛り込んだ『プレミア最強ガイド』(講談社)を発表した。

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