[粕谷秀樹]突然の失速でチェルシーがトップ4維持に苦戦 捨てられる大会はさっさと分別すべきだ

粕谷秀樹のメッタ斬り 027

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21日のアーセナル戦では2度のリードを奪うも、逃げ切りに失敗したチェルシー photo/Getty Images

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次節の結果次第で尻に火がつく

失速した──。

開幕から12節までは8勝2分2敗。本拠スタンフォード・ブリッジは心地よいノイズに包まれていた。「今シーズン、イケてるんじゃないの」。ところが13節から4勝2分6敗。チェルシー・サポーターは不安を抱き、焦っているんじゃないかな。「あれ、ちょっとまずいぞ」ってね。

トップ4は簡単じゃないミッションだ。24節終了時点で5位マンチェスター・ユナイテッド、6位トッテナム、7位ウォルヴァーハンプトンに6ポイント差をつけている。追ってくる3チームも決定打に欠け、なかでも〈赤いところ〉は相変わらず無様だ。とはいえ、残り14試合で6ポイント差は安全圏じゃないでしょ。次節の結果次第では5位以下との差が急接近するので、お尻に火がついたどころの騒ぎじゃなくなるかもよ。
じゃあチェルシーはどうすればいいんだい? とにかく失点を減らさなくちゃね。24節のアーセナル戦は87分に、さらにボーンマス戦、エヴァートン戦、ブライトン戦などを含め、80分台に10失点も喫している。堅守のイメージはどこへやら。24節終了時点の32失点は、脆弱とか貧相とかボロクソにいわれているアーセナルより2点少ないだけなんだな。

チェルシーの守護神を任されているケパ photo/Getty Images

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ケパは下を向いていちゃダメだ

さぁ、ここからはフランク・ランパード監督ご登場プリーズ。チーム全体の守備意識を、もう少し向上させた方がよくないっすか? 250~300億円ほど積んでリヴァプールからフィルジル・ファン・ダイク強奪でもなく、相手ボールになったときにどう対応するのか、より明確にすべきでしょ。アドバンテージを握っているにもかかわらず、なぜかオープンな展開になるケースが多いからね。ボールを奪おうとする者、攻撃を遅らせようとする者、統一感が薄すぎる。

また、GKケパ・アリサバラガの自信回復にも力を尽くさないとね。

「ケパがミスを犯し、失点につながった試合がいくつかある。当然、メディアやサポーターが批判し、ケパの耳にも入る。ただ、神経質にならないことだ。批判を真摯に受け止め、その声を称賛に代えるために闘いつづければ、おのずと結果がついてくる。冬の市場で新しいGKを獲るプランもないよ」

記者会見を通じ、ランパード監督はケパの奮起を促した。枠内シュートのセーブ率が50%(24節終了時点)とリーグワーストでも、ケパを正GKに起用している。この信頼に応えてこそ、男ってもんだろうがっ!! 人間、だれだって浮き沈みがある。いいことも悪いことも永遠には続かない。きっとケパもなにかのきっかけで、昨シーズンの姿に戻れるはずなんだ。ランパード監督が辛抱しているのだから、下を向いていちゃダメだ。

そしてランパード監督は主力を成す若手の経験値、チーム全体の選手層を踏まえ、目標をプレミアリーグに絞るべきだよ。多くのサポーターが欲するタイトルでも、トップ4維持の障壁になるのなら大胆な決断が必要だ。二兎を追う者は一兎をも得ず。捨てられる大会は、さっさと分別した方がいいな。

文/粕谷秀樹

スポーツジャーナリスト。特にプレミアリーグ関連情報には精通している。試合中継やテレビ番組での解説者としてもお馴染みで、独特の視点で繰り出される選手、チームへの評価と切れ味鋭い意見は特筆ものである。

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