さまざまな話題があるなか、ラウンド16にイタリア勢が3チーム残っています。ユヴェントス、ナポリ、アタランタで、私はとくにアタランタに注目しています。対戦相手は曲者のバレンシアですが、他のビッグクラブと対戦するよりは勝機があるでしょう。
正直、アタランタは他の錚々たるクラブに比べるとネームバリューがなく、あまり欧州のサッカーを見ない方にとっては「アタランタ?」という印象を受けるかもしれません。しかし、グループステージでは3連敗のあとに2勝1分けの成績を残し、勝点7、得失点差-4という数字で大混戦となったグループCで2位を確保しました。シーズン当初から徐々に勢いを増しており、セリエAでも破壊力ある攻撃で第17節ミラン戦に5-0、第18節パルマ戦にも5-0で勝利しています。
就任4年目を迎えたジャン・ピエロ・ガスペリーニ監督のもと築き上げてきたマンマークの守備を主体とするサッカーが、CLの決勝トーナメントに入ってどこまで通用するか? アタランタは本当にみんなが頑張るチームで、ガスペリーニ監督が選手たちの特長をうまく引き出し、各選手が献身的な動きをみせるチームに仕上がっています。同時に、「個」の力で状況を打開できるアレハンドロ・ゴメス、ヨシプ・イリチッチといった質の高い選手もいます。
自分たちのサッカーを貫くなか、勢いを増し、好調をキープしているアタランタがCLの舞台でどこまで勝ち上がるか。ラウンド16のなかで、私はアタランタ×バレンシアにもっとも注目しています。
チェルシー×バイエルンではいまもっとも気になっている左サイドバックを見ることができます。バイエルンのアルフォンソ・デイビスで、前方への推進力があり、タテに突破する力があります。19歳と若く、1対1における守備のポジショニングに雑なところが見受けられますが、このあたりが改善されたなら安定感抜群のダビド・アラバの地位が危うくなってくるかもしれません。
デイビスはカナダ代表なので国際試合で目にする機会があまりありません。ぜひ、バイエルンでプレイする姿をみてほしいです。なかなか国際大会に出場できなかったかつてのウェールズ代表であるマーク・ヒューズやライアン・ギグスといった選手と同じように、クラブでプレイする姿をよく目に焼き付けておきたい選手です。
その他の試合もどれも見逃せません。レアル・マドリード×マンチェスター・シティは調子を取り戻しているR・マドリードに対して、ディフェンスラインにケガ人が出ているシティは全盛期の勢いを失っています。R・マドリードが優勢かもしれませんが、ジョゼップ・グアルディオラ監督がなにか“策”を講じてくるかもしれません。そうなれば、ジネディーヌ・ジダン監督も静観していないでしょう。この一戦は両監督の采配が非常に楽しみです。
繰り返しになりますが、出場規約が変わったことで1月の補強も影響してくると思います。ザルツブルクからアーリング・ハーランドを獲得したドルトムントは間違いなく戦力がアップしています。こうしたプラスアルファが、今後勝ち上がるうえでカギを握ってくるかもしれません。
構成/飯塚 健司
※電子マガジンtheWORLD、1月15日発売号の記事より転載
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