ゴタゴタが噴出したナポリ 新監督招聘も浮上の気配なし
ナポリの現状を考えると、波乱なくバルセロナが勝ち上がると考えられる photo/Getty Images
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CLでラウンド16に進出したが、ナポリはチーム内に問題が多く、いまは健全な状態で戦えていない。カルロ・アンチェロッティ前監督を解任した昨年12月10日時点では、セリエAで首位インテルと勝点17差の7位となっていた。その後、ジェンナーロ・ガットゥーゾを新監督に招聘したが、そこからの4試合に1勝3敗と状況を改善できず、首位ユヴェントスと勝点24差の11位まで順位を下げている。
成績不振がチームに不協和音を生むのか、チームに不協和音があるから成績不振となるのかわからないが、今シーズンのナポリにはゴタゴタが多く、ネガティブなニュースが飛びかっている。11月中旬のこと。チームが強化合宿を計画するも、選手たちがこれを拒否。すると、ドリース・メルテンスとホセ・カジェホンが合宿ボイコットの首謀者とされ、移籍候補にリストアップされたという。とはいえ、両者はともにナポリで7年目のシーズンを迎えており、メルテンスに関しては今シーズン限りでの退団が濃厚となっていた。そう考えると、すでにチームへの忠誠心が薄れているとも受け取れる。しかし、それにしても……という内紛である。
悪いことは重なるもので、左SBのエルセイド・ヒサイが胸骨骨折で離脱し(年明けに復帰済み)、CBのカリドゥ・クリバリもガットゥーゾ監督の初戦となった第16節パルマ戦で右太もも裏を痛め、こちらはいまも離脱している。さらには、複数のクラブがこのクリバリに目をつけており、英紙『Daily Express』によればマンチェスター・シティが今冬の移籍市場での獲得を狙っているという。
こうした状態のなか、ガットゥーゾ監督は[4-3-3]を選択し、CBに本来は右サイドでプレイするディ・ロレンツォを起用して戦っている。クリバリの復帰が間に合わなかった場合、あるいは移籍した場合は、このディ・ロレンツォをCBとするカタチでバルセロナ戦に挑むことになるだろう。
こうした今シーズンのナポリの歩みをみると、よくCLのグループステージを突破したなという感想になってくる。状況は好転しておらず、いまのところ浮上する気配も見られない。この状態でバルセロナを倒すのは不可能だと考えられる。
バルセロナが8強へ 安部にチャンスはあるか
ファティに指示を与えるバルベルデ。世代交代を進められず、解任となった photo/Getty Images
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バルセロナにとってラウンド16のナポリ戦は勝ち上がる過程のひとつで、よほどのミスがない限り挑戦を退けてベスト8に進出するだろう。この試合での波乱はなく、2014-15シーズン以来となる欧州制覇を目指すバルセロナは順当に勝ち上がる。
とはいえ、すべてが順調に進んでいるわけではない。就任3年目を迎えたエルネスト・バルベルデが解任され、キケ・セティエンが新たな監督となった。キケ・セティエンには新たな戦力の発掘、世代交代が求められるが、勝利を追求するとピッチに立つのはお馴染みの選手となるのが必然で、30代がだいぶ多い状況だ。前線ではルイス・スアレス、リオネル・メッシが替えの利かない絶対的な選手となっているが、試合数が多いなかできることならフル稼働させたくないところだ。
そうなってくると、カルレス・ペレス、カルレス・アレニャ、アンス・ファティといった若い選手たちの活躍が期待されるが、決勝トーナメントで彼らをキケ・セティエンがどれだけ起用するか……。グループステージ最終戦のインテルとのアウェイゲームではバルベルデが若手を積極的に起用し、カルレス・ペレス、ファティが得点して2-1で競り勝っている。迎えるナポリ戦でも第1戦のアウェイゲームに勝利してある程度のアドテンテージを持つことができれば、カンプ・ノウでの第2戦ではキケ・セティエンが思い切った選手起用をしてくると考えられる。
もっとも期待されるのがウスマン・デンベレだったが、昨年11月下旬に右足ハムストリングを痛め、約10週間の離脱となることが発表されている。復帰できたとしても、ナポリ戦ではまだトップコンディションではないだろう。また、今冬にデンベレの獲得を希望するクラブがあれば、バルセロナが放出する可能性もある。
攻撃のコマを考えれば、展開次第ではナポリとの第2戦では背番号37で選手登録されている安部裕葵にも出場のチャンスがあるかもしれない(※編注:2月2日のプラート戦で負傷)。いまだトップでの公式戦出場はないが、“場”の雰囲気を経験させるという意味で、余裕があれば声がかかる可能性がある。
そういう展開になることを期待し、ナポリ×バルセロナは第1戦を終えて2点差、3点差がつくと予想する。さらに第2戦で点差を広げ、2試合トータル4-1、5-2といった大差でバルセロナが勝つだろう。
文/飯塚 健司
※電子マガジンtheWORLD241号、1月15日配信の記事より転載
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