[粕谷秀樹]グアルディオラがインパクト超特大の残留宣言 多くの主力も監督に追随するのか

粕谷秀樹のメッタ斬り 029

来季もシティの指揮官続投を明言したグアルディオラ photo/Getty Images

モウリーニョとクロップの対応

「彼らがスポーツ仲裁裁判所に上訴したのだから、現時点では推定無罪となる。同じ立場にいる人間が、他クラブの内情に口を出すべきではない」

トッテナムのジョゼ・モウリーニョ監督が、マンチェスター・シティを慮った。ファイナンシャル・フェア・プレイ(FFP)に抵触した嫌疑で、シティは「3000万ユーロ(約36億円)の罰金とヨーロッパのコンペティションから2年間除外」というペナルティをUEFAから科されたけれど、まだ有罪と決まったわけではない。リヴァプールのユルゲン・クロップ監督も、「監督と選手にはなんの責任もない」と庇っている。これがおとなの対応だよ。いまは事態を静観すべきなんだ。

ユヴェントスのチーフ・フットボール・オフィサー(CFO)を務めるファビオ・パラティチは、口を慎まなくちゃね。「ジョゼップ・グアルディオラ監督の招聘に関してはつねに議論されている」。たとえ事実だとしても、軽率すぎる発言だ。名門ユーヴェのCFOならちゃんとしなさい。マウリツィオ・サッリ監督の神経も逆撫でしているってことに、パラティチは気づいていないのかな。

さて、シティの行く末に世界中の興味が集まるなか、グアルディオラが現地時間2月19日にインパクト超特大のコメントを発した。

「100%残留する。100%だ」

シティにとっては大きなプラスだよね。シーズン終了後の退団を噂されていた主力も、「監督が残るのなら」と思い留まる可能性が高くなる。グアルディオラの去就に関わらず、レロイ・サネは遅かれ早かれ移籍する公算が大きいものの、ラヒーム・スターリング、ケビン・デ・ブライネ、ベルナルド・シウバ、アイメリク・ラポルテといった20代の主力が残留の道を選んだとしても不思議じゃないよね。彼らとグアルディオラの絆は太くて固い。うらやましいほどの師弟関係だ。

欧州のコンペティションに2年間出場できない可能性があるシティ photo/Getty Images

既得権益の侵害に恐れおののく

ところで、シティの疑いはハッカーの訴えによって明らかになった。その後UEFAも独自のルートで動いていたとはいえ、なんか引っかかるよね。ハッキングって犯罪でしょ。そこから得た情報を全面的に信用していいものなの?

また、シティやパリ・サンジェルマンのような新興勢力を、ヨーロッパのフットボール界は嫌う傾向が強い。程度の違いこそあれ、シティが指摘されているカネの動き(スポンサーフィーの過大申告)は、いくつかの人気クラブにもあった。名門や古豪は許され、シティだけ罰せられるのはおかしくないか? 既得権益の侵害を恐れるどこかのお国の政治家みたいじゃん。

FFPは抜け道だらけのルールだから、シティは〈限りなくクロに近いグレー〉かもしれない。さらにFFPがどうのこうのではなく、「UEFAの調査をシティがミスリードしたためのペナルティ」という情報まで飛び交いはじめた。シティのフェラン・ソリアーノ(最高経営責任者)も「われわれは潔白だ。UEFAの申し立てがすべて虚偽であることを証明してみせる」と全面闘争の構えだ。この問題、そう簡単には決着しないと思うよ。

文/粕谷秀樹

スポーツジャーナリスト。特にプレミアリーグ関連情報には精通している。試合中継やテレビ番組での解説者としてもお馴染みで、独特の視点で繰り出される選手、チームへの評価と切れ味鋭い意見は特筆ものである。

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