セリエAで芽吹く“新たな才能”たち
ユヴェントス、インテル、ラツィオによる三つ巴の首位争いが白熱している今シーズンのセリエAだが、イタリア国内でも人気回復の傾向が強く、緩やかだが着実に、かつての活況を取り戻しつつある。
もちろん、リーグとしてのレベルは残念ながらプレミアリーグに遠く及ばないが、だからこそ生まれたポジティブな変化がある。プレミアリーグやラ・リーガへとつながる“ステップアップリーグ”としての価値の高まりだ。プレミアリーグで勝負するのはまだ早い。でも、そこを目指してまずは小さくステップを踏みたい。そう考える有望なタレント(あるいは代理人)がセリエAに参入するケースは増えており、それによって近年のセリエAは毎年のように“新たな才能”を発見できる興味深いリーグとなりつつある。
今回は「1997年以降生まれ」をカテゴライズして、今シーズンのセリエAを盛り上げている選手“トップ15”を紹介しよう。
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◯15th セバスティアーノ・エスポージト
インテル/イタリア/FW
2002年7月2日生まれ(17歳)/186cm
第23節終了時点ですでに5試合に出場し、1得点を記録。恵まれた体格を生かしてパワフルにゴールに向かう姿勢は生粋のストライカーそのもの。オフザボールの動きや連動した守備、周囲とのコンビネーションに不安を残すものの、17歳であることを忘れさせる存在感は素晴らしい。
◯14th テオ・エルナンデス
ミラン/フランス/DF
1997年10月6日生まれ(22歳)/184cm
前半戦は低迷したチームで1人気を吐き、リスクを負って最前線に飛び出すプレイでチーム最多の5得点を記録。ワイドに張って仕掛けることもできるし、中に飛び込んでシュートチャンスを演出することもできる万能型だ。イブラヒモビッチ加入でポジティブな変化の渦中にあるチームにおいても中核を担う。
◯13th パオロ・ギリオーネ
ジェノア/イタリア/DF
1997年2月2日生まれ(23歳)/191cm
前半戦のサプライズとして高い評価を得たチーム生え抜きの右サイドバック。この冬はミランやアタランタが獲得に乗り出すなど評価は急上昇中だったが、2月9日のカリアリ戦で全治1カ月の故障を負った。
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◯12th ルカ・ペッレグリーニ
カリアリ/イタリア/DF
1999年3月7日生まれ(21歳)/178cm
シーズン前半戦に快進撃を見せたカリアリ不動の左サイドバック。期限付き移籍でカリアリでプレイしているが、来シーズンはユヴェントスの一員となることが濃厚。抜群のスピードを生かした攻撃参加と高精度のクロス、ビルドアップに加われる駆け引きのうまさが魅力だ。
◯11th フェデリコ・キエーザ
フィオレンティーナ/イタリア/FW
1997年10月25日生まれ(22歳)/175cm
監督が替わる苦しいチーム状況もあり苦しいシーズンを過ごしているが、名プレイヤーだった父エンリコから譲り受けた才能は素晴らしい。抜群の加速力で相手を置き去りにするドリブルと精度の高いシュートが最大の魅力。単独で局面を打開できる数少ないタレントだ。
◯10th アレッサンドロ・バストーニ
インテル/イタリア/DF
1999年4月13日生まれ(20歳)/190cm
デ・フライ、シュクリニアル、ゴディンの3バックが盤石と見られたインテル守備陣において、シーズン中盤からゴディンに代わってその一角を担いつつある20歳の新鋭。対人の駆け引きのうまさとポジショニングの良さは“クレバー”そのもの。後半戦のインテルのキープレイヤーとなりそうだ。
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◯9th マタイス・デ・リフト
ユヴェントス/オランダ/DF
1999年8月12日生まれ(20歳)/189cm
鳴り物入りで加入した“アヤックスの昨季キャプテン”は、キエッリーニの長期離脱でチャンスを得ながら批判の対象となった。それでも、圧倒的な身体能力と試合を重ねながら適応していく順応性は特筆すべきものであり、ボヌッチとの連係も改善されている。
◯8th ガエターノ・カストロヴィッリ
フィオレンティーナ/イタリア/MF
1997年2月17日生まれ(23歳)/176cm
プレシーズンマッチの活躍で一躍評価を高め、キエーザとリベリに頼り切りだったチームのパワーバランスを大きく変えた。中盤にカストロヴィッリがいるかいないかでチームのパフォーマンスは大きく変わる。カウンター主体のチームにおいて、ボールを運べる彼の存在は不可欠だ。来夏のビッグクラブ移籍が有力か。
◯7th ジェレミー・ボガ
サッスオーロ/コートジボワール/MF
1997年1月3日生まれ(23歳)/174cm
今最も勢いのあるヤングタレント。爆発的なスピードとテクニックを駆使したドリブルで小さなスペースを突破する。小柄だが体幹が強く、複数人に囲まれてもボールを失わないキープ力は圧巻。デ・ゼルビ監督の攻撃サッカーにアクセントを加えている。
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◯6th 冨安 健洋
ボローニャ/日本/DF
1998年11月5日生まれ(21歳)/189cm
複雑な守備戦術を採用するボローニャにおいて、右サイドバックとしてその戦術の中核を担っているのが冨安だ。本職はセンターバックだが元来からの攻撃センスを生かして右サイドで躍動。今シーズンにおけるベストの右サイドバックに挙げる声も多い。
◯5th マラシュ・クンブラ
ヴェローナ/アルバニア/DF
2000年2月8日生まれ(20歳)/185cm
躍動するヴェローナで3バックを担う。細身だがポジショニングの良さと正確なパスワークで攻撃の起点となり、対人でもクレバーな守備を見せる。すでにビッグクラブが獲得に動いており、来夏の移籍は確実と見られている。
◯4th サンドロ・トナーリ
ブレシア/イタリア/MF
2000年5月8日生まれ(19歳)/181cm
イタリアが誇るファンタジスタの系譜を継ぐ“ネクスト・ピルロ”。18歳当時からイタリア代表に名を連ねるパスセンスはリーグ屈指。苦しい戦いを続けるブレシアにおいては異彩を放っている。トップスピードの動きの中からラストパスを出せる攻撃センスが魅力だ。
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◯3rd ニコロ・バレッラ
インテル/イタリア/MF
1997年2月7日生まれ(23歳)/172cm
カリアリで大ブレイクしたダイナモは新天地インテルでも抜群の存在感を誇示。攻守両面にフル稼働する無尽蔵のスタミナと、フィニッシュに絡む“貪欲さ”が最大の武器。基本技術や戦術理解に優れ、いまやどのクラブも欲しがる人材となった。
◯2nd デヤン・クルゼフスキ
パルマ/スウェーデン/MF
2000年4月25日生まれ(19歳)/186cm
今季前半戦の大ブレイクで来夏からのユヴェントス加入が決定。有効なスペースを見分けて迷わず飛び込み、そこできっちりと仕事をするフィニッシュワークのレベルが高い。現代的なMFだが守備への貢献度も高く、今後のさらなる成長が楽しみな逸材だ。
◯1st ラウタロ・マルティネス
インテル/アルゼンチン/FW
1997年8月22日生まれ(22歳)/174cm
ルカクとの2トップはインテル快進撃の原動力となった。常にシュートを狙うストライカーとしての姿勢と、ポストワークのうまさは特筆に値する。目に見える結果を残しているという意味で、セリエA1年目の昨シーズンよりもはるかに素晴らしい。
文/細江 克弥
※theWORLD(ザ・ワールド)242号、2019年2月15日発売の記事より転載