[特集/リヴァプール解剖論 02]プレミア最強クラスの豪華スカッド

 昨季の激しい優勝争いとは対照的に、今季のプレミアリーグはリヴァプールのひとり舞台となっている。復活を遂げた名門がついに悲願を達成することとなりそうだ。

 無敗記録こそ止まってしまったが、プレミアリーグ第29節終了時点で27勝1分1敗。特に引き分けの少なさが驚異的で、2位につけているマンチェスター・シティに25ポイントも差をつけて首位を独走している。あの名将ジョゼップ・グアルディオラに「現在、世界で一番強いチーム」と言わしめ、昨年末には早くもタイトルレースで白旗を上げさせるほどだ。

 クラブ史上初の優勝をほぼ確実にし、プレミアリーグの歴史を振り返ってみても、“過去最強クラス”といっても過言ではないリヴァプールのスカッドを改めて紹介しよう!

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モハメド・サラー


FW/エジプト/
1992年6月15日生まれ(27歳)
175cm/26試合出場(16ゴール・6アシスト)

今季も含め3年連続で公式戦20得点以上を記録中のゴールゲッター。スピードとテクニックが売りの選手だが、体の入れ方が上手いため一回り大きな選手を背負ってのボールキープも可能。年々プレイエリアは右から中央に移行している。エジプトの実家に泥棒が入った際に犯人の仕事探しを手伝うほど人格者な一面もある

ロベルト・フィルミーノ


FW/ブラジル/
1991年10月2日生まれ(28歳)
181cm/29試合出場(8ゴール・7アシスト)
毎年変わらず偽9番として縦パスを引き出し、決定的なパスを供給する攻撃の核。守備時にはファーストDFとしてプレッシングやボール奪取も積極的に行う。ゲームメイクからフィニッシュまで関与するプレイが多いため、不在時は攻撃パターンが大幅に減少する。陽気な性格で、ゴールパフォーマンスでファンを楽しませる



サディオ・マネ


FW/セネガル/1992年4月10日生まれ(27歳)
175cm/26試合出場(14ゴール・7アシスト)




ワールドクラスの瞬発力としなやかな肉体で、対面するDFを突破して独力でゴールを奪うことが可能。圧倒的な火力を持ちながら、エゴは少なく攻守共にチームのために質の高いランニングを継続することも可能。また怪我も少なく常にトップコンディションが維持できる点も特筆に値する。現在のチームに最も欠かせない選手だ

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ジョーダン・ヘンダーソン


MF/イングランド/
1990年6月17日生まれ(29歳)
182cm/25試合出場(3ゴール・5アシスト)

チームの精神的支柱で、激しいプレイや的確な指示でチームを引っ張る。インサイドハーフが本職だがアンカーを務めることも。今季の存在感は特に際立っており、このキャプテンの出場しない試合では、普段より勝率が半減するというデータもある。ファンが選ぶイングランド年間最優秀選手賞を2019年に初受賞した







ジョルジニオ・ワイナルドゥム


MF/オランダ/
1990年11月11日生まれ(29歳)
175cm/28試合出場(3ゴール)

チーム全体のバランスをとる縁の下の力持ち。運動量が最大の武器で、時には中盤の位置からボックス内に飛び込み重要なゴールを決めることも。年々プレイの幅が増えており、攻撃面ではドリブルでボールを前進させるだけでなく、サイドチェンジの精度なども高まっている。トレードマークはさわやかな笑顔









ファビーニョ


MF/ブラジル/
1993年10月23日生まれ(26歳)
188cm/20試合出場(1ゴール・1アシスト)

長いリーチを生かした巧みなボール奪取技術を持つフィルター役。その吸引力を買われて「ダイソン」の愛称で呼ばれることも。大柄だがテクニックもあり、アンカーの位置からビルドアップやチャンスメイクで貢献も。課題は被カウンター時にスピード系と対面した際の対応か。今季は年明け以降やや調子を崩した









ジョー・ゴメス


DF/イングランド/
1997年5月23日生まれ(22歳)
188cm/19試合出場

スピードはトップクラスで広範囲をカバー可能なCB。SBでもプレイ出来るユーティリティ性を兼ね備える。このタイプにありがちだが、身体能力でカバーできる分ボールウォッチャーになりがちなのと、怪我が多いのは難点。今シーズン中盤に怪我から復帰すると、11試合中10試合でクリーンシートを記録する大活躍

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トレント・アレクサンダー・アーノルド


DF/イングランド/
1998年10月7日生まれ(21歳)
175cm/29試合出場(2ゴール・12アシスト)

幼い頃から下部組織でプレイする生え抜き右SB。質の高いアーリークロスやサイドチェンジでチャンスを次々と演出。今季からは逆足の左足からも精度の高いフィードを連発してファンを驚かせた。リーグのアシスト数は2年連続でDF内トップ。夢はジェラードの様にリヴァプールのキャプテンマークを巻いて長く活躍すること

アンドリュー・ロバートソン


DF/スコットランド/
1994年3月11日生まれ(26歳)
178cm/28試合出場(1ゴール・7アシスト)

縦横無尽に駆け回る左SB。ウインガーの外側にも内側にも顔を出す無尽蔵の運動量が最大の武器で、今季は特に高い位置をとりボックス内にまで飛び込むことも。左足からのクロス精度も高く、ボックス内外からアシストも連発する。7年前にはレジ打ちをしながらスコットランド4部でプレイしていたシンデレラボーイ

フィルジル・ファン・ダイク


DF/オランダ/
1991年7月8日生まれ(28歳)
193cm /29試合出場(4ゴール・1アシスト)

フィジカル、テクニック、カバーリング、リーダーシップ、全てがワールドクラスのCB。どんな状況にも常に冷静に対処できる頼れるリーダーだ。特に対人戦はめっぽう強く、今季序盤に記録は破られたが公式戦では65試合連続で「被ドリブル突破数0」という偉業を成し遂げた。代えのきかない選手で今季もほぼフル稼働だ

アリソン・ベッカー


GK/ブラジル/
1992年10月2日生まれ(27歳)
191cm /20試合出場(10クリーンシート)

セービング、ポジショニング、ロングフィード、全てにおいて高水準な万能型守護神。今季は序盤8試合を負傷欠場するも、クリーンシート数はリーグトップ。2019年にはGK版バロンドールである「レフ・ヤシン賞」の初代受賞者に。キリスト教への信仰が強く、フィルミーノの洗礼を同伴者としてサポートした

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アドリアン


GK/スペイン/1987年1月3日生まれ(33歳)
190cm/11試合出場(2クリーンシート)

今季フリーで加入したセービング能力が売りの第2GK。アリソンの怪我が多いため、定期的な出場機会を得てチームに貢献。しかしCLベスト16のアトレティコ戦の2ndレグでは、決定的なキックミスを犯してしまい批判が集まった。なお陽気な性格で、ロッカールームでは1年目ながら既にムードメーカーに

ジョエル・マティプ


DF/カメルーン/1991年8月8日生まれ(28歳)
195cm/8試合出場(1ゴール)

身長195cmの長身CB。長い手足を活かしたボール奪取が得意。元々中盤のため攻撃性能も高く、パスでリズムを作るだけでなく自らボールを高い位置まで運ぶことも可能だ。ただもともと怪我がちなタイプで、今季も負傷離脱を繰り返し、序列が下がってしまった。怪我さえなければ昨季のようにスタメンになれるのだが……

デヤン・ロブレン


DF/クロアチア/1989年7月5日(30歳)
188cm/9試合出場(1アシスト)

闘争心を前面に押し出して闘うファイター。ただパフォーマンスにムラがあり、今季もシーズン序盤は好調だったが、3月に行われたワトフォード戦では、ミスを連発してリーグ戦の初敗戦の原因に。課題を再び露呈した。ピッチ外では目立ちたがり屋なお調子者。親友サラーとお互いを茶化し合うのがSNS上では定番だ

ジェイムズ・ミルナー


MF/イングランド/1986年1月4日生まれ(34歳)
175cm/18試合出場(2ゴール・2アシスト)

34歳ながら年齢を感じさせないハードワーカー。90分で12km走破もざらだ。サッカーIQが高く、一定の技術と体格の良さを持つためGK以外の全てのポジションでプレイが可能なオールラウンダーで、今季は主にSBや中盤のサブとして活躍。クロップも「今まで指導してきた中でも5本指に入る」と強い信頼を示す

ナビ・ケイタ


MF/ギニア/1995年2月10日生まれ(25歳)
172cm/9試合出場(1ゴール・1アシスト)

ジェラードが背負った背番号8を引き継いだ男。中央での強引な突破で推進力を見せつけるだけでなく、ゴール直結の精密なラストパスも供給可能な多芸に秀でたタイプ。ただし怪我がちなのがネックで、リヴァプールでは未だに本領発揮とは至っておらず、今季もほぼ戦力としてカウントできていないのが実態だ




アレックス・オックスレイド・チェンバレン


MF/イングランド/1993年8月15日生まれ(26歳)
180cm/21試合出場(3ゴール)

2018年4月に前十字靭帯断裂。リハビリ中には日本のファン団体が千羽鶴を送ったことも話題に。1年のリハビリを経て昨季終盤に復帰した。プレイはスピードでちぎるドリブル突破と、強いキックが武器。パスワークでの貢献度は低いが、個で打開できるので崩しきれない展開で使いたくなる選手。憧れの選手はジェラード

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アダム・ララーナ


MF/イングランド/1988年5月10日生まれ(31歳)
172cm/15試合出場(1ゴール・1アシスト)

献身的なイングランド人選手らしさと、らしからぬ繊細なテクニックを併せ持つ希少種。今季はアンカーとして新境地を開くことを監督から期待されたが定着にはいたらず。最終的には通常通りインサイドハーフや2列目のサブとしてプレイがメインに。甘いマスクから女性ファンも多い。ヘンダーソンとは大の仲良し

ジェルダン・シャキリ


MF/スイス/1991年10月10日生まれ(28歳)
169cm/6試合出場(1ゴール)

小柄ながらも相手を吹き飛ばすほどの筋肉の鎧を身にまとうアタッカー。左足からは強烈なミドルだけでなく鋭いクロスも供給される。サラー、フィルミーノ、マネのポジションを脅かすスーパーサブとして獲得されたが、継続的に活躍ができていないため評価が分かれる選手。今季は特に怪我も多く、序列は南野よりも下か

ディボック・オリギ


FW/ベルギー/1995年4月18日生まれ(24歳)
185cm/22試合出場(3ゴール・1アシスト)

昨季は試合終了間際のゴールでチームの危機を何度も救った奇跡のストライカー。ゴールへの嗅覚は人一倍に優れており、ゴールパターンも豊富。クロップもスーパーサブとして絶大な信頼を置いており、リーグ戦での途中出場数はチーム最多の17試合も。ただし今季は昨季ほどの神がかったパフォーマンスは鳴りを潜めている

南野 拓実


FW/日本/1995年1月16日生まれ(25歳)
174cm/3試合出場

リヴァプール初の日本人選手。今季、ザルツブルク所属時にCLでリヴァプールと対戦してゴールを決めたことで、クロップや選手が獲得を熱望したという。DFとMFのライン間で攻撃の起点となるプレイを得意とし、アンタッチャブルな3トップの代役になることがまずは目標。1月のFAカップ・エヴァートン戦でデビュー

カーティス・ジョーンズ


MF/イングランド/
2001年1月30日生まれ(19歳)
185cm/2試合出場

リヴァプール生まれの下部組織出身。今季の12月にリーグデビューし、2月のFAカップで19歳5日でキャプテンマークを巻き、クラブの最年少キャプテン記録を120年振りに更新。卓越したパスセンスだけでなく視野が広いため狭いエリアでも落ち着いてボールをさばき、臨機応変にプレイを変える器用さも持つ大器だ

ハーヴェイ・エリオット


MF/イングランド/
2003年4月4日生まれ(16歳)
170cm/1試合出場

昨夏にフラムから加入。9月リーグ杯では、16歳174日でクラブの最年少スタメン記録を更新した新星。右サイドが主戦場のレフティで、深い切り返しでのカットインからの、ノールックでのスルーパスや、絶妙な位置に転がすアウトサイドキックなどパスセンスを感じさせる場面が多々ある。課題はオフザボールの動き


文/内藤 秀明

※記事中のデータは19-20シーズンのリーグ戦における数字
※電子マガジンtheWORLD243号、3月15日配信の記事より転載



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