[西岡明彦]かつての輝きを取り戻したいMFの行き先は?

プレミア最強ガイド 065

攻撃的なタスクならオールマイティでこなすことができるコウチーニョ photo/Getty Images

 新型コロナウイルス感染症の感染拡大は収束する気配はなく、欧州各国リーグの再開もまったく先が見えない事態となっています。こんな状況下でクラブができることといえば財政バランスを整えるために電卓を弾くことと、来季に向けた選手補強を水面下で行うことではないでしょうか。

 現在、プレミアリーグで旬な話題といえば、フィリペ・コウチーニョがイングランドに復帰するのではないかという噂です。コウチーニョはかつてリヴァプールの中心選手として主に左サイドからの攻撃を牽引、巧みなドリブルと優れたパスセンス、さらに決定力を兼ね備え、コップスタンドに陣取るファンの心を掴んでいました。2018年1月、彼は惜しまれつつバルセロナへ活躍の場を移しましたが、1億4500万ポンドもの違約金をクラブに残してくれたことも好意的に捉えられました。

 そんなコウチーニョですが、今夏、チェルシーに加入するかも知れないと現地メディアが報じています。フランク・ランパード監督が相当に惚れ込んでいるというのが最大の理由です。そこで懸念されているのが、このブラジル代表MFを獲得するために要する違約金の金額です。

 バルセロナでは居場所を失い、今シーズンは心機一転、バイエルンにローン加入。日々奮起しているにも関わらずレギュラーポジションを確保するまでには至らず、悩ましいサブ暮らしが続いています。スペインの雄は完全移籍での売却を打診したものの、堅実なドイツクラブは首を縦に振りません。そこにチェルシーが手を挙げたというわけです。

 当初チェルシーはローン契約での獲得を目指していましたが、バルサは完全移籍での売却を目論んでいます。もうカンプ・ノウに彼の居場所はないと判断したこと、さらに新型コロナウイルス感染症によるクラブの損失を少しでも埋めたいと考えているのです。そんな彼に、チェルシーは8000万ポンドという値札を付けて交渉しています。

 コウチーニョの代理人は、クライアントの意向を受け、かつての輝きを取り戻すために複数のイングランドクラブに接触を図っています。現所属クラブが要求する費用を捻出できるのも、チェルシーをはじめとするプレミアリーグのクラブぐらいという悩ましい現実があるからです。

 そんな交渉報道に苦言を呈しているのが、かつてチェルシーで主将を務めていた元フランス代表DFのフランク・ルブーフです。『ESPN』のインタビューに応えたルブーフは「ネイマール、クリスティアーノ・ロナウド、メッシ、ムバッペを見たときは、本当にトッププレイヤーだと感じた。しかし、コウチーニョに関してはそこまでの印象がなかった。リヴァプール在籍時のような活躍を見せていない最近の彼に対し、8000万ポンドは正直高額だと思う」と、ランパード監督にメッセージを送ったのでした。

 パフォーマンスを査定することができない悩ましい状況の現在、コウチーニョの処遇は結局どのような結末を迎えるのでしょうか。

文/西岡 明彦

電子マガジンtheWORLD244号、4月15日配信の記事より転載

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