[粕谷秀樹]補強部門の見直しと保身に走るベテランの整理 アーセナルの再建には痛みが伴う

粕谷秀樹のメッタ斬り 038

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3人の高給取りは最後の売り時

お祓いでもした方がいいんじゃないか──。

アーセナルに厄介事が続いている。マンチェスター・シティ戦でグラニト・ジャカとパブロ・マリが、ブライトン戦ではベルント・レノが負傷に倒れた。有望株のカブリエウ・マルティネッリは練習中に膝を痛め、長期の戦線離脱を余儀なくされる。しかも頼みのダビド・ルイスが、シティ戦で〈ワンマンライブ〉。イージーミスで失点のきっかけを作り、PKまで献上なさった。

31節のサウサンプトン戦でようやく10勝目。昨シーズンより15試合も遅い。ミケル・アルテタ監督は、西新井大師か寒川神社にお参りするべきかもしれないね。厄除けに御利益あるそうな……。

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ピッチの外でもギクシャクしている。新型コロナウイルスの影響で財務状況が悪化したため、クラブと多くの選手は週給12・5パーセント減で状況の改善を図ろうとしていたってこと、知っているよね? ところがメスト・エジル、アレクサンドル・ラカゼット、ピエール・エメリク・オバメヤンは、「冗談じゃないよ」とクラブ側の要求を突っぱねたわけさ。

だれだっておカネは欲しいけれど、いまは非常時じゃん。いつもどおりってわけにはいかないし、この3人は高給取りでしょ。イメージ悪いよね。最も大切にしなくちゃいけないサポーターの感情も逆撫でしたので、クラブ内の立場が危うくなってきた。

はい、売っちゃいましょう。

エジルとオバメヤンは30代、ラカゼットも29歳。絶好のタイミングを逸したとはいえ、この夏が最後の売り時だ。エジルはともかく、ほかのふたりはエージェントを通じて移籍をほのめかしているのだから、無理して引き留める必要はない。シュコドラン・ムスタフィとかソクラティス・パパスタソプーロスも同じ扱いでいいと思うよ。売れるうちに売っちまった方が、財務上でも得策だ。

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タイトルから遠ざかるけれど……

大きな大きな転換期を迎えているいま、保身に走りがちなベテランはカットしちゃおう。そして今後2~3年をスパンとし、野心に満ちあふれたヤングガンズを軸に据えるべきなんじゃないかな。

少しの間、チャンピオンズリーグの出場権やタイトルやからは遠ざかるかもしれないけれど、改革には痛みが伴うっていうじゃない。

それから補強部門の担当者も見直さなくちゃ。アーセナルの課題は守備陣と、あちらこちらで指摘されているというのに、どうなっているんだかなぁ。D・ルイスは旬を過ぎているし、セドリック・ソアレスはケガを抱えたままサウサンプトンからやって来た。両選手のエージェントはキア・ジョーラブシアンで、アーセナルのテクニカル・ディレクターを務めるエドゥも顧客のひとりなんだな。クラブの実状より、個人の関係を優先してるみたいな疑問がフツフツ沸いてくる。

補強部門の責任者であるにもかかわらず、ラウール・サンジェイもなにもしていない。アルテタ監督がマジでかわいそうだ。人心刷新。アーセナル再建のためには、抜本的な組織改革が必要ってことだね。

文/粕谷秀樹

スポーツジャーナリスト。特にプレミアリーグ関連情報には精通している。試合中継やテレビ番組での解説者としてもお馴染みで、独特の視点で繰り出される選手、チームへの評価と切れ味鋭い意見は特筆ものである。

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