“好調”川崎フロンターレのしたたかさが如実に出たゲームとなった。8日、明治安田生命J1リーグの第9節が各地で行われ、首位を走る川崎は14位大分トリニータをホーム等々力陸上競技場へと迎え入れた。
試合は前半から川崎が主導権を握る展開に。開始早々の5分に幸先良く先制した川崎は、24分にも大分のミスを突いて追加点を奪う。序盤に高い位置から相手を捕まえていたかと思えば、30分頃からは大分にボールを持たせて落ち着いたディフェンスも披露。追加点こそ奪えなかったものの、後半も盤石の戦いぶりで終始ピッチを支配し、2-0で大分を下した。
ピッチに立った全員が自分たちのサッカーを理解し、実行できている。川崎の選手にそんな印象を受けた試合だったが、その中でもひときわ輝いていたのが左ウイングで先発した三笘薫だ。積極果敢なミドルシュートでこの試合の決勝点を挙げたルーキーは、守備面でも随所に顔を出しチームの勝利に貢献。77分にピッチを後にするまで精力的にスプリントを繰り返した。
素晴らしいパフォーマンスを披露できたと言える大分戦の三笘。試合後、大卒ルーキーはこのゲームを次のように振り返っている。
ーー5日のルヴァン杯・鹿島戦に続き公式戦2連発となりましたが、感想はいかがですか
「ミスキックだったんですけど、相手DFがブラインドになってうまくGKの逆を突けました。それほどスペースに入り込まずにヤス君(脇坂泰斗)がボールを置いてくれたので、うまくシュートモーションに入ることができました。それも大きかったのかなと思います」
ーー攻撃面だけでなく、切り替えや守備の部分も良い印象を受けましたが、今日意識していた点を教えてください
「切り替えの部分はよく言われていますし、今日であれば“外切り”をして、相手に中央へパスを出させることを意識していました。そういったところはノボリさん(登里享平)や僚太君(大島僚太)の声を聞きながらやっていましたね。後ろの選手のサポートが大きかったです」
ーー今日の試合における守備面での自己評価はいかがですか
「大分さんはリトリートというか、後ろに引いた感じだったので自分たちがうまく切り替えをすればボールを取れるケースが多かった印象です。そこは良かったですね。ですが、ボールを持たれたり、違う形になった際に守備の部分で脆さが出ました。そこは今後意識したいです」
ーー湘南戦ではゴールを決めても笑顔がありませんでしたが、今日は笑顔がありました。手応えを得られたからでしょうか
「湘南戦ではボールロストが非常に増えてしまいました。そういった点で改善の余地は多かったです。ですが、今日は比較的距離感よくボールをつなぐことができました。後半に入ってから左サイドでのランニングもある程度できましたし、そこは評価していいと思っています」
ーーデビューシーズンで良い結果を出せている点についてお聞かせください
「自分自身、毎試合結果を出さないと試合に出ることができないという危機感を持ってやっています。今は長谷川竜也選手が怪我をしていますけど、復帰したらどうなるかはわかりません。マナブ君(齋藤学)もベンチに入っていますし、競争は激しいです。そういったところで常に危機感を持ってプレイできているのが結果に繋がっているんだと思います」
プロ初ゴールを奪った湘南戦では手応えよりも課題を多く口にしていた三笘だが、出場を重ねるごとにイメージと実際のプレイがリンクし始めたか。“好調”川崎で結果を残すルーキーの進化はまだまだ続きそうだ。
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