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[MIXゾーン]スペースを狙った柏×スタイルを貫いた横浜FM|theWORLD(ザ・ワールド)|世界中のサッカーを楽しもう!

[MIXゾーン]スペースを狙った柏×スタイルを貫いた横浜FM

柏のエース・オルンガはこの日もゴールを奪った photo/Getty Images

タテに急ぎすぎた柏。横浜FMはその狙いを理解してうまく対応した

8日(土)にJ1第9節の横浜FM×柏が開催され、お互いに1点ずつを取り合い、1-1で引き分けて勝点1を分け合った。柏は4連勝でこの試合を迎えており、さらに白星を重ねたいところだった。当然、特徴的な相手のスタイルを事前にしっかりと分析し、狙いを持って臨んでいた。しかし、いかにケガ人が多く本調子ではないとはいえ、前年度王者がそう簡単にやられることはなかった。

「(横浜FMは)攻撃的なチーム。守備から攻撃への切り換え、ネガティブトランジションが早い一方で、守備のカタチが揃わないときもある。ボールを奪ったあとに、そこのスペースを突こうという狙いがあった」

これは、試合後のネルシーニョ監督のコメントである。柏の狙いは前半からみてとれた。6分、横浜FMの最終ラインがほぼセンターラインまであがっている裏を突き、オルンガが右サイドから抜け出してGKと1対1になる。13分、大谷秀和が中盤でボールを奪い、前方にいたヒシャルジソンを経由し素早くタテパスが出され、今度は左サイドからまたもオルンガが最終ラインの裏へ抜け出した。いずれもボールを奪ったあとに素早くスペースを狙った攻撃で、横浜FMのウィークポイントを的確に突いていた。

しかし、横浜FMも相手の狙いは重々承知で、攻守の切り換え時の集中力が高く、この日はボールを失った瞬間に各選手が連動して奪い返しにいくことができていた。すなわち、ネルシーニョ監督が指摘する「守備のカタチが揃わないときもある」というシーンが少なかった。結果として、柏はマイボールになったときに相手のプレスをかわすべくタテに急ぐことでパスやトラップの精度を欠き、前述のシーンの他は、効果的なカウンターをほぼ繰り出すことができなかった。

「うまくポゼッションできず、相手が空けたスペースを効率的に突けなかった。そこが当初のプランとは違った流れだった」(ネルシーニョ監督)

「もう少しボールを持つ時間を増やしたかった。前に急ぎすぎてしまったので、もっと冷静にボールをまわしていたら、落ち着いた展開になったのかなと思う」(三丸拡)

それでも、柏は後半立ち上がりの47分にもチャンスをつかんだ。最終ラインからのロングパスを右サイドで受けた江坂任が抜け出した。しかし、飛び出してきたGK朴一圭のハードタックルを受け、得点には至らなかった(朴はイエローカード)。

その後、1点ずつを取り合い、試合は1-1の引き分けに終わった。「引っかけてからカウンターに出ていくタイミングでタテに急ぎすぎて、またすぐに失ってしまう流れが続いてしまった」と試合を振り返ったのはネルシーニョ監督である。この日の柏は“スペースを狙う”という意識が強すぎたのか、攻撃におけるパス、ドリブルの精度が低かった。逆にいえば、横浜FMが相手のこうした狙いを十分に把握しており、それをさせなかったということになる。

しっかりと狙いを持って臨んだ柏に対して、横浜FMも自分たちのスタイルを貫き、簡単にはやらせなかった。過密日程で試合が続くなか、この日は蒸し暑く、選手たちは明らかに疲労していた。想定を越える戦い、いわゆる“そこから先”の攻防を期待するのは、酷ともいえる厳しい環境だった。お互いにやるべきことをやって、勝点1を分け合った試合となった。

取材・文/飯塚健司


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