[粕谷秀樹]華々しくデビューしたヤングガンズ・トップ3!  下部組織の重要性をプレミアリーグ全体で見直すべきだ

粕谷秀樹のメッタ斬り 042

今季チェルシーで大ブレイクを果たしたマウント photo/Getty Images

セスク以来の二桁アシスト

2019-20シーズンのプレミアリーグも、多くの若者が華々しいデビューを飾った。健闘空しくチャンピオンシップに降格したものの、ノリッジのマックス・アーロンズとジャマル・ルイスの両サイドバックは、ビッグクラブが食指を伸ばすほどの逸材だ。ボーンマスのロイド・ケリーも、リヴァプールのターゲットといわれているね。

しかし、すでにビッグクラブでも試合経験を重ね、各方面でスーパースター候補生といわれる若者たちがいる。そこで今回は独断と偏見に満ちた “YOUNG GUNS TOP3” で、彼らの魅力を探ってみよう。なお、人選は19-20シーズンに本格デビューした選手に限定。

チェルシーのメイソン・マウントが第3位だ。[4-3-3]の中盤左インサイドが適性だとは思うけれど、左ウイングでもイケるみたいだな。まわりがよく見えていて、相手ボールになった際のリアクションも素晴らしい。フランク・ランパード監督も高く評価しているよ。

「メイソンのよさは献身性。プレスの足が止まらない」

来シーズンのチェルシーはハキム・ツィエクとティモ・ヴェルナーが加わり、前線の定位置争いが激しくなる。しかし、中盤とウイングをこなせるマウントであれば、多くのライバルを押しのけて監督、コーチの信頼を得るんじゃないかな。下部組織出身の成長株は、サポーターの期待も特大だ。

第2位はアーセナルのブカヨ・サカ。左サイドバックでも及第点だったとはいえ、丁寧なボール扱いと高いスプリント能力は、より攻撃的なポジションでこそ活かされる。

19-20シーズンは公式戦38試合に出場し、12アシスト。アーセナルで10代の選手が二桁のアシストを記録したのは06-07シーズンのセスク・ファブレガス(現ASモナコ)以来だから、実に15年ぶりの快挙だ。大切に育てたい選手のひとりだね。

早くもユナイテッドで必要不可欠な存在となっているグリーンウッド photo/Getty Images

ファン・ペルシーを彷彿とさせる

第1位はマンチェスター・ユナイテッドのメイソン・グリーンウッドで決まり。独断と偏見ではなく、「ボックス内のクールでテクニカルな動きは、ロビン・ファン・ペルシーを彷彿とさせる」という絶賛は、読者の皆さんにも届いているでしょ。

ファン・ペルシー本人も「メイソンの落ち着き、左右両足で正確なシュートを撃てる技術は天性のものだ。私が18歳のときよりもすぐれている」と、舌を巻くほどなんだ。

この先、経験を積んでいけば、マーカス・ラッシュフォードと並ぶユナイテッドの二枚看板になれるし、グリーンウッドがいるのだから、ジェイドン・サンチョ(ドルトムント)の獲得に大金を使う必要はないよ。

ちなみにTOP3の共通点は下部組織出身者。すでにワールドクラスの扉を叩いたトレント・アレクサンダー・アーノルドも、リヴァプールのアカデミーが産んだ傑作だ。さらにチェルシーのビリー・ギルモアやエヴァートンのトム・デイビスも含め、プレミアリーグには若い才能があふれている。

チーム創りの基本は自前の若者を育てることだ。下部組織の重要性を、プレミアリーグ全体で見直してほしいな。

文/粕谷秀樹

スポーツジャーナリスト。特にプレミアリーグ関連情報には精通している。試合中継やテレビ番組での解説者としてもお馴染みで、独特の視点で繰り出される選手、チームへの評価と切れ味鋭い意見は特筆ものである。

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