19日に行われたJ1リーグ第11節で、名古屋グランパスに0-1で敗れた湘南ベルマーレ。後半アディショナルタイムに相手のコーナーキックから失点を喫し、同リーグでの連敗が“5”にまで伸びたものの、試合内容からは復調の兆しが感じられた。
ベルマーレの浮嶋敏監督は、今季開幕よりベース布陣としている[3-1-4-2]をこの試合でも採用。石原直樹と岩崎悠人(57分よりタリク)の2トップ、及び齊藤未月と山田直輝(57分より松田天馬)の2インサイドハーフがグランパスの2センターバックや2ボランチに強烈なプレスを見舞ったことで、配球力に長ける相手MFジョアン・シミッチが効果的なパスを繰り出せなかった。
なかでも奮闘が光っていたのは、今節もアンカーポジションを務め、両軍のフィールドプレイヤー中2位タイのインターセプト数を叩き出したMF金子大毅(スタッツは『Sofa Score』より)。的確なポジショニングで自陣バイタルエリアのスペースを消し続けたほか、時折敵陣の深いところまでプレッシングを仕掛け、グランパスのビルドアップを妨害。チーム内トップの走行距離をこの試合でマークするなど(10.861km、Jリーグ公式サイトより)、中盤で献身性を発揮していた。
金子は試合後に行われたオンライン会見で、『theWORLD』の質問に回答。守備面で心がけたことや、チームの攻撃面の課題について語ってくれた。
--前節よりもチーム全体のプレッシングの強度が高かったように感じました。この試合で金子選手が守備面で気をつけていたことは何か、心がけていたことをどれほど実践できたかについてお伺いしたいです。
「まずはバイタルエリア(のスペースやパスコース)を消して、守備のスイッチを入れたときに全員でプレッシャーを掛けるというところですね。何回かバイタルを通されてしまったシーンもあったので、そこは修正しないといけないと思います。守備の戦術どうこうと言うより、全員が球際で負けないとか、走り負けないとか、そういう初歩的なところが一番大事ですし、この部分は前節と少し違ったと思います」
--特に前半の飲水タイム後から前半終了にかけて、遅攻がメインになっているような印象を受けました。縦に速く攻めることができそうな場面もありましたが、本当はチーム全体でスピードアップしたかったのか、それともあえて遅攻にしていたのか、どちらでしょうか。
「自分たちの狙いとして、良い形でボールを奪ったら速攻というのはずっと言われてきているんですけど、その意識が足りないところもあったと思いますし、相手に押し込まれていて、(前線へ人が)出ていくのが遅くなってしまう場面もあって、遅攻になってしまったのかなと思います」
各選手の攻守の切り替えの遅れやボールホルダーへの寄せの甘さが災いし、4失点を喫した前節(横浜FC戦)と比べ守備が改善されたベルマーレ。今後突き詰めるべきは、ボールを奪った後の攻めと言えるだろう。グランパス戦ではロングカウンターを発動できそうな場面が何度かあったものの、自陣での余分な横パスによって攻撃に時間がかかり、相手に守備陣形を整えられてしまうケースがしばしば。昨年まではボールを奪ったら直線的に相手ゴールに迫るスタイルに徹し、縦パスが通らなくともボールホルダーを複数人で囲むことで2次攻撃に繋げていたベルマーレだが、今季は攻撃のテンポがなかなか上がらない試合が続いている。グランパス戦では組織的な守備から試合の主導権を握るところまではできていただけに、今後はカウンターの質の向上に着手したいところだ。
●電子マガジンtheWORLD(ザ・ワールド)最新号を無料で公開中!
電子マガジンtheWORLD(ザ・ワールド)最新号は、欧州4大リーグのシーズンレビュー。コロナ禍の混乱があったものの、新たな若手が躍動したり、新指揮官が辣腕を振るったりと見所満載だったシーズンを、業界屈指のライター陣が振り返ります!
http://www.magazinegate.com/theworld/