[名良橋晃]Jリモートマッチでの開催に、各クラブの意地を見た

指示の声が聞こえるなど新鮮な楽しみ方があった

Jが再開した。少しでも盛り上げようと、各クラブが努力していた photo/Getty Images

 リモートマッチ(無観客試合)で再開したJリーグですが、試合中にサポーターの声援を会場に流したり、コレオグラフィーをスタンドに作るなど、少しでも盛り上げるべく各クラブが最大限の努力をしていました。実際にお客さんが入っている状態とはやはり雰囲気が違いましたが、私はリモートマッチをみていてそれぞれのクラブから「いまの状況に負けないぞ」という意地を感じました。

 また、監督や選手の声がマイクを通じて聞こえてくるのも新鮮で、これまでと違った楽しみ方がありました。細かい動きや戦況に応じた指示など相手に聞こえるとまずいネガティブな一面がある一方で、コーチングの声が通りやすいというポジティブな面があります。これによって「聞こえない」「伝わりにくい」ということがなく、微調整が可能です。

 そうしたなか、J1は見所が満載で、本当に見逃せない試合が多いです。チーム、選手ともに多くの注目を浴びています。ですので、私はこれからもJ2をどんどん推していきたいと思っています。さっそくですが、再開後の2試合(第2節、第3節)から感じたのは、大宮はつくづく勝てるチームだなということです。第2節千葉戦(○1-0)の前半は自陣に守備のブロックを作る相手に対して、ビルドアップするのに少し苦労していました。しかし、終了間際にFKからラッキーなカタチで先制しました。

 すると、後半は5バック気味のシステムを採用し、1点リードしている状況をよく理解して割り切って戦っていました。したたかに勝てるチームで、第3節群馬戦にも2-0で完勝しています。大宮はこれからも勝点を積み上げていくのではないかと考えています。

 水戸はチームとしてやりたいことがはっきりしています。「走りきる」「一つ一つのプレイをやりきる」というコンセプトのもと、攻守両面で非常にアグレッシブなサッカーをしています。素早くボールを繋ぐことを意識していて、攻撃がスピーディーです。いまのスタイルを続けていけば、間違いなくチームとして成長できるでしょう。

 第3節ではこの水戸と、尹晶煥監督のもと新しいチーム作りを進めている千葉が対戦しました。そして、これぞ今シーズンの千葉の勝ち方というスタイルで千葉が3-0の勝利を収めました。自陣にしっかりと守備のブロックを作って戦う千葉は、琉球との開幕戦に1-0で勝ったときもそうだったように先制点を奪うと強いです。

 水戸戦でも後半になると尹晶煥監督のカラーがいかんなく発揮されました。失点しないことを意識しつつ、精度の高いカウンターから追加点を狙う。もともと質の高い選手が揃っているので、攻守がうまくハマッたときは水戸戦のような結果を導き出せるでしょう。あとは、先に点を取られたときにどう攻撃でカラーを出せるかだと思います。

水戸のンドカに注目 一見の価値あり!

水戸のンドカはヤバイ選手だ。間違いなくブレイクす photo/Getty Images

 まだまだシーズン序盤ですが、早くも気になった選手たちがいます。大宮の西村慧祐は第2節千葉戦でJリーグにデビューし、3バックの一角を任されて安定感あるプレイで無失点での勝利に貢献しました。さらに、第3節群馬戦では初得点をマークしています。間違いなく即戦力といえる選手で、これからも活躍が期待できます。

 水戸の松崎快、山田康太、ンドカ・ボニフェイスも良いです。松崎快は中盤の右サイドからスピードあるドリブルで仕掛ける選手で、積極的に勝負する姿勢があります。DFにとっては止めるのが難しく、PKを獲得できるタイプです。山田康太は横浜FMからローンされているボランチで、攻守をつなぐ役割をしています。判断が早く、切り換えも早い山田康太は、スピーディーな展開を目指す水戸にマッチしていると思います。

 そして、みなさんにぜひ注目してもらいたいのがンドカ・ボニフェイスです。この選手はヤバイです。身体能力が高く、ヘディングだけでも一見の価値があります。全身バネのようで、打点が高く、ヘディングで打ち出されるボールに勢いがあります。父親がナイジェリア人、母親が日本人で過去にU-16日本代表候補になったことがあります。現在24歳のンドカがこれからどんなプレイをみせてくれるのか、考えるだけで楽しくなってきます。

 群馬の高瀬優孝は左利きで前方への推進力があります。千葉の髙橋壱晟は激しいポジション争いを制して、ボランチで出場しています。両名ともにこのチャンスを生かして、さらなる飛躍を遂げてほしいです。髙橋壱晟は青森山田高で日本一になって鳴り物入りで千葉に加入しましたが、これまで苦労してきました。今シーズンをキッカケに、よりよい選手へと成長してほしいです。

 J1にも気になる選手たちがいます。清水のGK梅田透吾はユースから昇格した2年目の若手だし、トップ下の鈴木唯人は市立船橋高から加入したばかりのルーキーです。横浜FCの星キョーワァン、仙台のGK小畑裕馬など、他にもフレッシュな選手たちがたくさんプレイしています。降格がない今シーズンは積極的な起用が可能なので、今後も次々に魅力的な選手が出てくるでしょう。

 そうしたなか、G大阪の遠藤保仁が第2節C大阪との大阪ダービーでJ1最多記録となる632試合出場を達成しました。若手が台頭するなか、ものすごい偉業です。もはや、リスペクトしかありません。これからも、どんどん記録を伸ばしてほしいです。

※電子マガジンtheWORLD247号、7月15日配信の記事より転載

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