対戦相手全てが実力以上のものを出してくる リヴァプールが迎える試練の時

アストン・ヴィラにショッキングな敗戦を喫してしまったリヴァプール photo/Getty Images

「誰もが僕らの負けるところを……」

昨季プレミアリーグで他を寄せ付けぬ強さを披露したリヴァプールだが、2020-21シーズンも前年と同じように独走というわけにはいかないか。ユルゲン・クロップ監督率いるチャンピオンチームに試練が降りかかろうとしている。

あのリヴァプールが7失点を喫して敗戦した。しかも、相手は中堅クラブと言えるアストン・ヴィラだ。プレミアでは中堅クラブの大物喰いも珍しくはないが、さすがにビッグクラブ側がここまで完膚なきまでに叩きのめされることは稀と言えるだろう。昨季までのリヴァプールの強さを考えると、この結果は誰も予想し得なかった。

しかし、2-7という衝撃の敗戦は事実として起きている。その理由は何か。先日、英『Daily Mirror』が原因として挙げたのはGKアリソン・ベッカーの不在だ。同メディアは「ハイラインを敷くリヴァプールに生じる広大な最終ライン裏のスペースをカバーできるのは守備範囲の広いブラジル代表守護神のみ。代役のアドリアンではそのタスクをこなすことはできない」と主張。たしかに、これもアストン・ヴィラ相手にリヴァプールが大敗を喫した原因の一つと言えるだろう。

そうなれば、クロップ監督が打つべき手としてはアリソン不在の間のみ、戦術の変更を行うこと。アストン・ヴィラ戦で負ったダメージは大きかったが、この敗戦を糧としてリヴァプールは次の試合に活かすべきか。

だが、問題はそれほど簡単ではないのかもしれない。リヴァプールの守備を統率するオランダ代表DFフィルジル・ファン・ダイクは、戦術とは違う部分でも今のチームは大きな試練の時を迎えていると主張している。

「トップに留まり続けるというのは、とても難しいことなんだ。今後僕らは大変な時間を迎えることになると思うよ。しばらくの時間をかけて、僕らはようやくチャンピオンとなった。本当に楽しい時間だったよ。でも、その次に待ち受けているのは王者としての宿命だ。誰もが頂点に達した僕らが負けるところを見たいと思い始めるのさ」

根本の問題は、リヴァプールに向かってくるライバルたちのモチベーションが今季いつになく高いということ。そうファン・ダイクは感じている様子だ。先日の試合で、徹底的にレッズが敷くハイラインの裏を狙ってきたアストン・ヴィラ。一人ひとりがきちんと自身のタスクをこなす姿からも、彼らのモチベーションの高さは窺うことができた。自分がしっかりと役割こなせば昨季王者からでも勝ち点3を奪い取れる。おそらく、アストン・ヴィラの面々はそんな思いを抱きながらあのリヴァプール戦に臨んでいたのだろう。

となれば、リヴァプールとしてはこの試合以降も厳しい戦いが続くことが予想される。開幕前からわかっていたことではあるものの、アストン・ヴィラ戦で喫した大敗は他のチームへこれまで以上に大きな勇気を与えたはず。自分たちもやれるはずと、今後対戦する相手はさらに高いモチベーションでリヴァプールとの一戦に意気込んで向かってくることだろう。

これから対戦するチームは全てがその実力以上のパフォーマンスを披露してくる。これは王者の宿命とも言える現象だが、リヴァプールはそれに対処しなければならない立場。道のりはますます険しくなっていくことが予想されるものの、リヴァプールは今後どのようにそのプレッシャーを処理していくのだろうか。一筋縄ではいかないのが“連覇”という偉業。2020-21シーズンのリヴァプールは、例年以上に苦しい戦いを強いられることとなるかもしれない。

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