14日にG大阪と対戦した横浜FM。中二日で今度はC大阪と対戦。過密日程の上に、アウェイの連戦となった。そしてその厳しさがもろにプレイに直結してしまった。
「疲れが見受けられた。スケジュール的にもタイトな中でやっていた。その中でも選手たちはすべてを出し切ってくれたと思う」(ポステコグルー監督)
チャンピオンチームであるが故、相手からのマークも厳しい。更に自分たちの築き上げてきたスタイルを貫こうにも、運動量を要求し続けるのは今の状態では相当厳しいようだ。
「この高い強度のサッカーを3カ月間続けてきたが、こういうサッカーがずっとうまくいっているチームは世界中探してないのではないか。引き続き与えられたこのスケジュールの中でどう戦っていくのかを、しっかり頭に入れながらやっていきたい」
厳しいスケジュールはコロナが故ではあるが、なかなか結果の出ないチームに指揮官は歯がゆい思いを隠せなかった。
実際G大阪戦で見せた運動量を横浜FMはこのC大阪戦では見せることができなかった。攻守の切り替えの部分で、C大阪のスピーディーな動きに後手後手に回ることが非常に多かったのだ。
同時にしっかりブロックを作って守るC大阪の守備網をどう崩し切るかという部分で、前線の3人の外国人だけに頼りがちになったことも問題となった。特に顕著だったのは左SBティーラトンが、対面のC大阪のMF坂元との1対1にことごとく負けたことも大きい。先制点の場面に顕著だったが、坂元が切り返し、切り返して上げたクロスが、FW奥埜のヘッドに見事にヒットした。この場面以降ティーラトンは坂元の深い切り返しに手を焼いた。当然ながらSBをより高い位置に置きたい横浜FMからすれば、翼を一枚もがれたようなものである。
逆にC大阪からすれば無双状態の坂元を中心に丁寧にサイドからの崩しを徹底。奪われればすぐに帰陣して守備のブロックを作るという、これまでC大阪がやってきたことを実践。更に中盤でMFデサバトが非常に高いボール奪取能力を見せるなど、やりたいことをしっかりやれていた。
奥埜の2得点に続いて、途中起用されたFW豊川までもが2得点を決めると、ロティーナ監督の采配もズバリとはまった。特に豊川の1点目は、年間最優秀ゴール賞クラスのゴラッソ。ただし豊川自身は「それがちょっと……。2点取った喜びより3点目を決めることができなかった悔しさの方がある。でも、悔しさを残していた方が次につながるのかなと思う」と悔しさが先に立ったようではある。お楽しみは次にということか。
スコアほど両者に大きな差があったとは思えないが、C大阪が自分たちのやりたいことを表現していたのは事実。来年のACL出場圏内をしっかりキープしている。一方の横浜FMは中位に沈み浮上のきっかけが見えてこない。更に続く連戦に、今後も厳しい戦いを覚悟しなくてはならないのかもしれない。
文/吉村 憲文