セリエAでブレイクのときを待つ超攻撃型SB オランダ代表DFが狙う大逆襲

今夏ローマに復帰したカルスドルプ photo/Getty Images

熾烈な競争も大歓迎

新天地に馴染めないまま母国復帰という屈辱を味わってから1年、オランダ代表DFは再び挑戦するセリエAの舞台で今度こそ周囲の期待に応えることができるのか。ASローマに所属するリック・カルスドルプが、虎視眈々とイタリアでの本格ブレイクを狙っている。

2017年夏に一度フェイエノールトからローマに加入するも、その後在籍した2シーズンで思うように出場機会を掴むことができなかったカルスドルプ。そんな状況もあって、昨季はフェイエノールトへレンタルで一時的に帰還することとなった。当時、本人としては相当に悔しい気持ちがあったことだろう。

しかし、その悔しさをカルスドルプは力に変えた。慣れ親しんだオランダの地で同選手は完全復活。途中怪我による離脱こそあったものの、公式戦24試合に出場し2ゴール5アシストの活躍を披露した。超攻撃型サイドバックとして鳴らしていた頃の輝きを取り戻し、今季はレンタルバックという形でローマに舞い戻っている。

しっかりと調子を取り戻して臨む2度目のセリエA挑戦。本人も万全の態勢を整えて迎える再チャレンジには気合い十分といった様子だ。熾烈なポジション争いも大歓迎。現地時間29日に行われるヨーロッパリーグのCSKAソフィア戦前の会見に出席したカルスドルプは、次のように意気込みを語っている。伊『GianlucaDiMarzio.com』が伝えた。

オランダ代表にも選出されているカルスドルプ。代表における定位置奪取のためにも今季はブレイクを果たしたい photo/Getty Images

「ここにいられること、ここでプレイできることを本当に嬉しく思っているよ。夏にローマへ帰ってきたとき、今の僕ならすぐ試合に出場できると思っていた。もちろん、まだ改善の余地はあるけどね。再びチームの一員となれたことはとても嬉しいよ。ポジションの競争に関しては気にしていない。ビッグクラブでそういった競争があるのは普通のことだからね。むしろあった方がいいとまで思うよ」

“永遠の都”における評価を取り戻すため、全身全霊で2020-21シーズンの戦いに身を投じる覚悟のカルスドルプ。しかし、多くのロマニスタが気になっているのは、なぜここまで彼のやる気があるのかという点だ。昨夏、失意の中でフェイエノールトへと帰還した同選手は、地元メディアのインタビューに対して「トレーニングの際に誰とも話さない時間もあった。移籍して肩の荷が下りた気分だよ。それが決まった瞬間、すべての緊張が消えた」と発言。このコメントを見た人々は、その多くがもうカルスドルプがローマに帰ってくることはないと思ったはずだ。

だが、カルスドルプ曰くそのインタビューにおいて彼が残したコメントは、一部本人の意図しない形で人々に届くこととなってしまったのだという。オランダ代表DFはこれについて、次のように続ける。

「あのインタビューには、少しだけ翻訳ミスがあったんだと思う。レンタルでフェイエノールトに再加入した際、実を言うと僕はローマを離れたくなかったんだ。僕が言いたかったのは、若いオランダ人選手がイタリアで成功を掴むのは簡単じゃなかったということだけさ。母国に戻った方が周囲とのコミュニケーションは円滑になるって、当然のことを言っただけなんだ」

自分としてはいつまでもローマでプレイしたかったと、周囲の誤解を解いたカルスドルプ。とはいえ、真にファンの信頼を勝ち取るために最も必要なのはピッチ上での結果だ。先日のACミラン戦では守備面に大きな課題を露呈しただけに、この25歳は今後の戦いでファンのハートをキャッチすることができるか。最初の加入から3年の時を経て、オランダ産の超攻撃型サイドバックは本格覚醒といきたいところだ。

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