[MIXゾーン]“1本のシュート”が決まらない神戸 ホーム最終戦も課題消えず

ノエスタのサポーターに勝利を届けることは、またしてもできなかった photo/Getty Images

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浦和は意地の勝利

 アウェイのチームにとっては神戸のホームであるノエビアスタジアムはなかなか手強い相手のようだ。浦和の大槻監督は「ここはすごく良いグラウンドだが、去年もここにきて、最初は慣れるのに非常に苦労した。そういうところも含めて前半から給水くらいまでは慎重に入った」と話した。

 日本では珍しいハイブリッドターフを採用しているため、アウェイチームの選手が足を滑らせるシーンは決して珍しいことではない。ただそうはいいながら浦和には前半からアグレッシブにならなけれはならない理由があった。先日の試合で横浜と対戦し6失点の惨敗を喫していた。

「ああいうゲームをした後のメンタルコントロールは、切り替えろと言ってもバチっとスイッチを切り替えられるようなものではない。選手たちは非常にこの何日間を、試合中も含めてトライしてくれた」
 アウェイの連戦が続くという難しい状況の中でありながら、大槻監督は選手の取り組みが素晴らしいものだと讃えた。

 拮抗した展開の中での試合だったが、この試合で唯一のゴールを決めてみせたのがFWマルティノス。

「ランニング、(MF山中からの)クロスの質、すべてが良い方向に、良い結果に結ぶようなボールが飛んできた。右足でとらえるのはそう簡単ではなかったが、良いゴールが決まった」

 まさにパーフェクトを絵に描いたようなゴールだった。ただし彼自身は波のあるチーム状態を冷静に見ていた。

「一番重要な要素として、試合が良い方向に向かっているときは走行距離が多いと思う。勿論相手が組織的にしっかりとボールをつかんで、我々を無駄走りさせてくるようなチームが相手になると、時折良くない方向に行いく」

 彼の言葉から逆算すれば、神戸は浦和を無駄走りさせるまでにはいかなかったということになるのだろうか。

 それでも神戸としては決して悪いサッカーをしている訳ではない。試合後のホーム最終戦のセレモニーで三浦監督は「リーグの成績は残念な結果になったが、我々のやっていることは間違っていないと思う」と話した。ボールを丁寧に扱うサッカーは充分にチームに浸透している。ただ最後のアタッキングサードの部分をどう改善するのかが現状では見えてこない。シーズン序盤であればここに外国人選手の補強というテコ入れをすればいいのかもしれないが、目前に迫ったACLではそれも不可能である。現有戦力で底上げを図るしかない。

「今日の試合でも感じたのはペナルティーエリアでの精度。ACLの相手も守備を固めてくるチームばかりだと思うので、最後のところのシュートの精度をもっと上げていかなくてはいけない」(MF郷家)

 課題はここに尽きるだろう。1本のシュートを決めることができれば、相手は前に出てくるしスペースは生まれる。そこにどうやって持っていくのか。

「これ以上応援を頼むことをできないほど、いつも応援してくれているファンの皆さん。カタールで試合をプレイをする私たちは心で、頭で、皆さんのことを考えながらピッチに立ってプレイすることを誓います」

 イニエスタの言葉に期待したい。


文/吉村 憲文

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