[粕谷秀樹]名GKヘンダーソンが厳しい立場に追い込まれた 自分を磨くためにもユナイテッドを離れた方がいい

粕谷秀樹のメッタ斬り 048

ユナイテッドで思うような出場機会を得られないGKヘンダーソン photo/Getty Images

経験豊富なデ・ヘアを選んだ理由

GKは難しいポジションだなってつくづく思う。

再三にわたるファインセーブでチームを救っても、わずか一回のミスで失点すると敗戦の全責任を負わされる。しかも戦術的な交代がない。二番手はあくまでも二番手であり、試合に出場できるチャンスも限られてくる。スーパーサブはありえないポジションだ。

いま、マンチェスター・ユナイテッドのディーン・ヘンダーソンが厳しい立場に追い込まれている。プレミアリーグとチャンピオンズリーグがダビド・デ・ヘアで、ヘンダーソンの戦場は基本的に国内のカップ戦だ。昨シーズンはローン移籍していたシェフィールドで、リーグ3位となる「13」のクリーンシートを記録。実力を十分に証明し、デ・ヘアの牙城を崩すと期待されていたんだけどな。

オーレ・グンナー・スールシャール監督にすると、試す期間がなかったってことなんだろう。プレシーズンでほとんど調整できないまま2020-21シーズンが始まった。ヘンダーソンの力量は分かっているものの、DFラインとの連携も含め、経験豊富なデ・ヘアを選んだんじゃないかな。

でもね、このままだとヘンダーソンの試合勘は絶対に鈍る。チームのターゲットとして優先順位が低い国内カップ戦では、彼のためにもならない。自分を磨くためにもユナイテッドを離れた方がいいよ。年が明けたらローン移籍を考えるべきだ。

ただ、「デ・ヘアにアクシデントが生じた際はすぐに復帰できる」っていう条件つきでね。そのあたりはエド・ウッドワードCEO、うまくやっておくんなせえ。

で、移籍先はサウサンプトンがいいと思うよ。モダン・フットボールを志向しているし、GKは弱点だからね。ラルフ・ハーゼンヒュットル監督も大喜びさ。

「ヘンダーソンが来てくれるのかっ!?」

シュートストップ、コーチング、キックの精度など、ヘンダーソンは名GKになる素質を備えている。二番手に甘んじる選手じゃないよ。

図:[3-4-1-2]をもとに考えたユナイテッドの新布陣

スピード最優先の新布陣とは!?

冬の移籍市場では、構想外になっているマルコス・ロホとフィル・ジョーンズ、ジェシー・リンガード、セルヒオ・ロメロの就職先も斡旋しなくちゃね。失礼な言い方だけれど、マーケティングにも貢献できないし、このまま高額な週給を支払いつづけるのは無駄な出費だ。ウッドワードCEO、マジでうまくやっておくんなせえ。

さて、コロナ禍では冬の市場も控えめにならざるをえない。一流センターバックの獲得は見送りだね。とはいえ、現状を見過ごすわけにはいかないじゃん。そんなわけで、新布陣を身勝手に考えてみた(図参照)。

とにかく、スピードのある選手を最優先。ポール・ポグバとエディンソン・カバーニは、スーパーサブとして貢献してもらいましょう。生粋のウイングがいないのだから、[4-3-3]とか[4-2-3-1]にこだわる必要もないよね。[3-4-1-2]でカウンター重視が、現有勢力には適しているんじゃない? 

あとはスールシャールが、あっ、来年1月にはいないか……。

文/粕谷秀樹

スポーツジャーナリスト。特にプレミアリーグ関連情報には精通している。試合中継やテレビ番組での解説者としてもお馴染みで、独特の視点で繰り出される選手、チームへの評価と切れ味鋭い意見は特筆ものである。

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