デシャンが惚れ込む23歳の万能FW フランス代表で頭角現す“レジェンド2世”

11月の代表ウィークでフランス代表に初選出されたテュラム photo/Getty Images

若きFWのEURO行きはあるか

来年開催されるEURO2020に、フランス代表のディディエ・デシャン監督はどんな選手たちを連れて行くのか。2018年に開催されたロシアW杯で優勝した“レ・ブルー”だが、参加国が強豪揃いの欧州勢のみで開催される同大会を勝ち抜くためには、勢いに乗る若手の力も必要になってくることだろう。前回大会で優勝したポルトガル代表において、シンデレラボーイとなったレナト・サンチェスはその好例と言える。

では、現在各リーグで活躍するフランス人選手の中に、EURO本大会でそういった存在となれるだけのポテンシャルを秘めた選手はいるか。大化けに期待したいのは、ボルシアMGに所属するFWマルクス・テュラム(23)だ。かつてユヴェントスなどで活躍したリリアン・テュラム氏を父に持つ同選手。彼は今季ボルシアMGの10番を背負い、ここまで公式戦14試合で4ゴール6アシストを挙げる活躍を披露している。192cmの長身を活かした空中戦の強さ、トップスピードでも身体の芯がブレないドリブルなど、アタッカーとして必要なあらゆる武器を併せ持っており、身体能力も抜群だ。

そんなテュラムを、デシャン監督は11月のナショナルマッチウィークでA代表に初招集。指揮官は同期間に行われた3試合すべてで彼を起用し、その実力を確認している。そして、この3試合でテュラムはデシャン監督のお眼鏡に適ったのか。3試合目のスウェーデン代表戦ではA代表における初アシストも記録した23歳に関して、同監督はかなりポジティブな印象を抱いているようだ。

「私は長い間、マルクスの成長をこの目で確かめてきた。ギャンガンで注目を集め始めたときも、しっかりとチェックしていたよ。彼のプレイスタイルは本当に興味深いんだ。ピッチ上で違いを生み出すクオリティがある。ゴールへの飢えも文句なしに素晴らしい。まだ改善点はあるけどね。もちろん、代表に選出したのはマルクスの実力を評価したからだ。彼の父親とは特別な間柄だけど、それは全く関係ない。本当に素晴らしい選手だと感じたから、私は彼を選出することを決断したんだ」

仏『Le 10 Sport』によると、デシャン監督はテュラムに関してこのように述べている。どうやら、指揮官は11月の3試合で若きアタッカーのことをかなり気に入った様子だ。この調子でアピールを続けることさえできれば、テュラムのEURO行きは堅いか。

デシャン監督が彼を高く評価しているのは、同選手がセンターフォワードとしてプレイできる点も含めてのことかもしれない。現時点でフランス代表はCFにオリヴィエ・ジルーを配置することが多いものの、彼は所属するチェルシーでなかなか試合に絡むことができていない。デシャン監督としては前線にボールの収まりどころが欲しいのかもしれないが、コンディション面を考慮すれば同選手をこのまま起用し続けることには一抹の不安が残る。そんな状況でジルー役もこなすことが可能なテュラムが台頭してきたのは、まさに“渡りに船”だった。11月の代表ウィークでテュラムをCFとして試すことはなかったが、デシャン監督の頭の片隅にはそんな考えも少なからずあるだろう。

CFとしても、左ウイングとしても計算が立つテュラム。はたしてEURO2020の開幕時、同選手の“レ・ブルー”における立ち位置は現在と比べてどのように変化しているのだろうか。現状ではまだ“新入り”に過ぎない23歳だが、ここから彼が一気にチームの中心となっていく可能性は決して低くない。

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