[西岡明彦]選手交代の増枠を! 指揮官たちの必死の訴え

プレミア最強ガイド 072

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マンC戦で負傷交代したアレクサンダー・アーノルドは12月初旬までピッチを離れることになった photo/Getty Images

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 マンチェスター・シティvs.リヴァプール。近年プレミアリーグのタイトルレースで主役を務める2クラブが激突した試合は1−1のドローに終わりました。試合後、2人の指揮官が言及したのは試合内容よりも選手のコンディションを維持するための対策でした。選手交代枠を増やしてほしいと訴えた彼らの言葉は反響を呼んでいます。

 この試合で右DFトレント・アレクサンダー・アーノルドがふくらはぎを傷め、63分に交代を余儀なくされました。リヴァプールのユルゲン・クロップ監督は、「FA(イングランド協会)は動き出すべきだ。代表選手が負傷離脱したことはガレス・サウスゲイト監督も悩ましいはずだ。交代枠を5枠に戻すことはビッグクラブのアドバンテージではない。100%必要なんだ」と訴えました。

 マン・シティのペップ・グアルディオラ監督も、「現状は悲劇でしかないし、選手のコンディションを守れていない。非常に厳しい状況である」とクロップ監督の訴えに賛同しました。
 欧州をはじめ世界中大半のリーグでは、選手交代枠を5枠にしてリーグを運営していますが、プレミアリーグは開幕前に2度に渡って20クラブに賛否を問い、3枠に戻すことを決定しました。ルール改定に必要な3分の2、14票に3票届かなかったのです。 反対票を投じたクラブの最大の理由は、選手層が厚いビッグクラブが優位になることを懸念した声です。先週末アーセナルに3−0で勝利したアストン・ヴィラのディーン・スミス監督は「我々は88分に1人を交代しただけだ。選手たちのインテンシティは充分だったと感じたからだ。欧州カップに参加しているクラブの苦労は理解できるが、シーズン途中でルールを改定していいのだろうか」と現行ルールの継続を支持しました。

 一方でウェストハムのデイビッド・モイーズ監督は「投票が行われる前、クラブの上層部には3人制を希望すると伝えていたが、最近の選手のコンディションを見て考えが変わった」とフラム戦後にコメント。「怪我人が増えることは予想していなかったが、これだけタイトなスケジュールで、まして代表選手を多く抱え、欧州カップ戦に参戦しているクラブは大変だと思う。たとえリーグ杯のような大会でも諦めたくないのは事実だろう」と付け加え、ルール改定を求めました。

 PFA(プロ選手協会)はこの騒動を受け、再投票の機会を設けるよう訴えています。プレミアリーグのCEOリチャード・マスターズはどのような判断をするのか、果たして3度目の投票を開催するのか。今後の動向に注目です。


文/西岡 明彦

※電子マガジンtheWORLD(ザ・ワールド)251号、11月15日配信の記事より転載

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