[粕谷秀樹]あのアーセナルが11節終了時点でわずか10得点!? いまこそエジルの起用を再検討すべきだ

粕谷秀樹のメッタ斬り 049

粕谷秀樹のメッタ斬り 049

今季前半戦では登録メンバー外となり、ベンチにすら入れない日々が続くエジル photo/Getty Images

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1ミリもおもしろくない定型文

この際ハッキリ言わせてもらう。

「つまらないっ!」

アーセナルだ。なんだかかなり窮屈そうに見える。“自由闊達” なフットボールはどこかに消え失せちゃったね。11節終了時点でわずか10得点。降格圏に沈むシェフィールド、バーンリー、ウェストブロムに次いで下から4番目。散々叩かれたウナイ・エメリ体制下の昨シーズンより6点も少ない。
ボールロスト後の対応が著しく進歩しているとはいえ、セオリーを気にしすぎじゃないかな。1ミリもおもしろくない定型文みたいな印象だ。マイボールのときは一人ひとりが自由な発想のもとに、もっともっとリスクを冒さないとゴールは生まれないでしょ。

わたしがディレクターなら、メスト・エジルの起用を進言するよ(現在は登録メンバー外だが、1月に変更が可能なため)。彼を構想外としたミケル・アルテタ監督の考え方も分からないではないんだ。攻→守の切り替えが鈍いので、ゲームプランには当てはまらない。

でも、今シーズンのアーセナルは独創性に欠ける、欠けすぎている。攻撃のスイッチを入れるためにも、エジルが必要だ。

守備面の対応でも、中盤センターにトーマス・パルティとグラニト・ジャカを配し、[3-4-2-1]とか[3-4-2-1]の二列目でエジルを活用できないかな。とくにパルティの強烈なフィジカルをもってすれば、エジルに足りない部分をある程度は補えると思うんだ。もちろん、パルティは “魔法使い” ではないから、攻撃のタクトはエジルに託す。持ちつ持たれつってやつね。

「エジルとの関係は極めて良好」

アルテタは繰り返して主張するけれど、構想外の選手が監督とうまく付き合えるわけないでしょ。対戦相手の分析も大切だけれど、いまのアーセナルになにが足りないのか、アルテタも分かっているはずだよ。

デニス・ベルカンプ、ロベール・ピレス、サンティ・カソルラ、ジャック・ウィルシャー、セスク・ファブレガス……。アーセナルっていうチームは、アイデアにあふれたMFの宝庫だったのになぁ。

エジルの復帰を望むバナーを掲げるアーセナルファン photo/Getty Images

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責任を問われる者も出てくるのか

14失点は昨シーズン比でいうと1点多い。攻撃だけじゃなく、守りも不安定なんだよね。フィールドプレイヤー全員が帰陣しているだけで、ボールホルダーに対する寄せが甘い。ライン間がスッカスカだから簡単に前進を許す。

ノースロンドン・ダービーでも脆かった。トッテナムのカウンターが、ハリー・ケインとソン・フンミンのシュートが凄かったとはいえ、アーセナルの守りが緩かったことは間違いないよね。

11節を終わって4勝1分6敗。プレミアリーグ発足以降ではワーストだ。また、この時点で6つも負けているチームがチャンピオンズリーグの出場権を得た例は、過去に一度もない。

期待が大きかった分だけ、失望の色も濃くなってきた。責任を問われる者も出てくるだろう。監督に問題があるのか、選手の実行力が乏しいのか。首位を行くローカルライバルとの差は、早くも11に開いた。

文/粕谷秀樹

スポーツジャーナリスト。特にプレミアリーグ関連情報には精通している。試合中継やテレビ番組での解説者としてもお馴染みで、独特の視点で繰り出される選手、チームへの評価と切れ味鋭い意見は特筆ものである。

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